りょーこのマネージャーな日々

ブログタイトル仮変更。子供達のマネージャー状態な日々をダラダラ書いてます。

嘘だらけの日米近現代史

2013-09-28 09:22:05 | れっつすたでぃ
読書感想文です。

今回読んだのは倉山満「嘘だらけの日米近現代史」、2012年9月1日初版発行。
どこでどうやってこの本を知ったのか忘れてしまったんですが(おそらく保守系のサイトで名前が挙がってたんだと思うんですけど)、図書館で結構な順番待ちして回ってきたんです(ちなみに今現在で30人待ちの本です)。

実際読んでみたら、すーごくおもしろかったです!
175ページの単行本なので、量もそれほどでもないのですが、なにより内容と筆者の論調がおもしろくて、一気に読めてしまう本でした。
目次だけ見てもおもしろいですよ、「ただの極悪人だったリンカーン」「小国アメリカからの使者ペリー」「笑いが止まらないスターリン」「GHQは“落ちこぼれ”の吹き溜まりだった」「民主主義は二の次だったアメリカ」「おい、クリントン、世界を返せ!」などなど。
これだけ見ても、なんかおもしろそうだなって思いませんか?
日本はアメリカに戦争で負けて、WGIPと言われる洗脳政策を敷かれたせいもあり、どうしても「アメリカってすごい国!かっこいい国!」と思いがちですが、実はアメリカなんて所詮こんな国ですよっていう、筆者の毒舌ぶりが痛快です。
アメリカの建国なんてこんな悲惨なことをしてきたんだぞっていうようなことは、戦争論の3巻でも読んでいたんですが、さらにそこを掘り下げた内容もおもしろかったですし、日本にやってきた当初はまだアメリカなんて小国だったということ、また第二次世界大戦開戦当初まではまだ日本のほうが軍事的に強かったのだということ(というか日本帝国陸海軍は当時世界最強だったということ)、結局のところ日米が争って一番得をしたのはソ連だったということ、そしてその後の冷戦期になにが起こっていたのかなど、単純に私が無知だったから初めて知ったという内容も多かったのですが、目からうろこの話もかなりありました。

特に印象に残ったのは3点。
第1点は、先ほども書きましたが、アメリカと日本が出会った頃はまだアメリカなど小さな国であったこと、そして第二次世界大戦開戦当初の日本軍は世界最強であったことです。
以下、このあたりの文章を本書から2ヶ所、抜粋させていただきます。
本書は、最初にアメリカに対する一般的な通説が述べられ、それについて筆者が反論していく、というかたちで進められています。

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<通説>
十九世紀半ばの日本。世界は科学技術や軍事力などに優れた欧米帝国主義先進国が席巻しているにもかかわらず、日本は江戸幕府の下で「鎖国」を続けていた。江戸幕府は時代の流れについていけず、「野蛮な外国と付き合いたくない」と「鎖国」を続けようとしたが、アメリカのペリー提督率いる四隻の黒船に怯え、渋々開国した。まさに蒸気船という最新鋭の技術、そして砲艦外交をも辞さない白人に恐怖したがための結果だった。もし「鎖国」を続けていたら日本が白人の植民地となっていただろう。その意味でペリーは「日本開国の恩人」とも言える。

 自分で書いていて何ですが、意味がまったくわかりません……。

 ここで当時の日本が置かれた環境を考えてみましょう。クリミア戦争で英露が目の前で戦っているさなか、ロシアとアメリカが開国を求めてきました。ロシアは根本的には一番近い大国です。最初に結ぶ相手をロシアにしてしまえば、のみ込まれるかもしれません。かといってイギリスを選べば、ロシアに侵略の口実を与えます。世界一力が強く頭のいいイギリス人が、日本のためにロシアと戦ってくれると考えるほうが愚かです。では、二百五十年の友好国オランダはどうか。残念ながら、すでに小国に落ちぶれていますから何の力にもなりません。
 そういった理由から、ほどほどの小国であるアメリカを選んだのです。戦国時代の大名同士の同盟がどういうものか――例えば、織田家と徳川家の関係――を思い出してください。国と国が仲良くするということは、戦と同じで労力が必要です。
 だから、江戸幕府とペリーの交渉はギリギリのせめぎ合いになるのです。その結果、日米は最大の友好国になります。英露が日本に不平等条約を求めてきたとき、日本はどちらについても不利なので、最初にアメリカと締結します。安政の不平等条約です。もしアメリカというちょうどいい相手がいなければ、日本は英露のどちらかと最初に条約を結ばざるをえず、どちらかの植民地にされたでしょう。繰り返しますが、日本はギリギリのせめぎ合いのなかで最初にアメリカと条約を結べたから、帝国主義の時代を生き残れたのです。決してアメリカは日本を脅し、「鎖国」を力づくでこじ開けたのではありません。日米はその後、最大の友好国となっているのです。

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 そもそも、日米は対等の条件で戦ったのではありません。これまで見てきた通り、日本は「ソ連との片手間の中国との片手間のイギリスとの片手間に、アメリカの喧嘩を買った」のであり、しかもそれでも勝ちそうになった、それくらい強かったのです。
 ミッドウェー海戦は、いまだに世界中の海軍がシュミレーション演習をして、日本側が負けるのが至難であるといわれるほど、日本にとって負けるはずのない戦いだったのです。それでも緒戦の優位を失い互角に戻っただけです。
 天王山はガダルカナル島で、日米はここに総力を注ぎ込みます。ところが、日本は兵力の逐次投入という最もやってはいけないことをやってしまいます。戦死者よりも餓死者のほうが圧倒的に多いという悲惨な補給状況です。そもそも、何のためにここで戦っているのか、国家の意思統一もできていません。日本の戦った範囲を地球儀で確認してください。地球の四分の一に及びます。南はガダルカナル、東はハワイ、北はアラスカの手前のアリューシャン、敗戦直前には西のインドにまで突撃しています。これでは負けるために戦っているとしか言いようがありません。
 ガダルカナルひとつとっても、アメリカは、同盟国の英領オーストラリアを守るべく、最大限の努力をします。アメリカは互角の戦力で戦ってはかなわないことを知っているからこそ、知恵を絞り、何倍もの兵力と武器が準備できなければ戦わないのです。圧倒的な海空戦力で、制空権を奪って空爆を加え、制海権を握って艦砲射撃を加え、さらに十分な火力の援護のもとに上陸し、占領するという戦法をとりました。個人の力量ではなく、組織戦闘で対処したのです。
 アメリカの勝因は四つあげられます。第一は圧倒的に優位な生産力、第二は戦時体制の構築による国家意思の統一、第三は敵を強いと認めたうえで合理的に戦訓を抽出する能力、そして第四は情け無用の国際法違反です。通商破壊で民間船舶だろうがなんだろうが沈め、無差別都市空爆で民間人を平気で殺傷しました。間違いなく戦争に負けていたら責任者は全員処刑です。特に原爆は非人道兵器の使用ですから二重の意味で国際法違反です。
 自分が国際法を守れば、相手も破るはずがないと甘えていた日本人とは大違いです。負けたくないなら、そこまでやるのがアメリカ人なのです。
 確かに帝国陸海軍は世界最強でした。当時の日本に一騎打ちでかなう国など存在しません。本来は負けるはずのない戦いであり、個々の軍人はよく戦いました。
 しかし、それでも負けてしまった国の政府や軍上層部とは何なのでしょうか。

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なるほど…と思いました、このような視点はまるでなかったし、学生時代に教わってきたことってなんなんだろうなって思いますね…。

第2点は、やはりソ連という国は恐ろしいところだったのだということ。
これは今までに読んだいくつかの本の中にも出てきていてそのたびに恐ろしいなぁと感じていたことではありましたが、改めてソ連のスパイ活動というのは本当にすごかったんだなと。
今、秘密保全法について話題になっていて、反対している人もかなり多いようですが、スパイの実態を知ったら、日本にスパイ防止法的なものがないことを本当に恐ろしく感じますよ。
たいがい、秘密保全法に反対している人って、同時に9条護憲の平和主義者が多いような気がしますが(もちろん改憲派が戦争起こしたいと言っているわけではないです)、「最近の研究では、ソ連は世界中にスパイを放ち、特に日本の近衛内閣とアメリカのF・ルーズベルト政権の中枢を固め、日米両国を戦争に向かわせて共倒れに持ち込んだということが明らかになっています」と本書内にもある通り、結局日米のあの戦争はソ連のスパイによって焚き付けられたものなんですよね、それが分かったら、スパイ防止法がないほうが戦争起こるかもよって理解できるはずなんですけどね。
そういえば、本書にも名前が出てきたゾルゲ事件、昔母親と一緒に、本木雅弘とかが出てた「スパイ・ゾルゲ」って映画観に行ったよなぁと思い出しました…内容は残念ながら断片的にしか覚えていないのですが、最後にゾルゲが絞首刑になる時に「共産主義万歳」とつぶやいてから足元の床が開いたシーンは鮮明に覚えています。
にしても、あの当時になぜ私は母親とあの映画を観に行ったのだろう…(笑)

そして第3点ですが、アメリカの歴史というのはたかだか200年(それすら誇張であるというのは本書を読めば分かりますが)だというのに、その歴史すら捏造だらけだということ。
捏造はお隣の国々の専売特許かと思っていましたが、そういうわけではないのですね。
歴史の捏造だけでなく、アメリカというのはなにかと卑怯なところも多いなとも感じました。
たとえば、このような記述がありますが、これを読むと、「あれ?」と思ってしまいます。

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 中国の離反で孤立感を深めていたソ連は、突如として息を吹き返します。カーターはソ連がイランに擦り寄ることを恐れ、イラクのサダム・フセインを支援して対抗させるというなりふり構わぬ態度に出ます。サダムはバース党一党支配のファシスト政権です。
 また、ソ連がアフガニスタンに侵攻すると、イスラム原理主義者の傭兵、ウサマ・ビン・ラディンらを戦わせてソ連に対抗します。民主主義も何もありません。あるのはむき出しのエゴのぶつかり合いです。

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フセイン?ビン・ラディン?あれ?アメリカの敵じゃなかった?という。
イヤ、こんなのご存知の方も多いですよね、私が無知なんですよね。
最近ちょうどフィフィさんもツイッターで「アルカイダは元々は米国が作った組織。攻撃を正当化するマッチポンプ作戦で都合よく登場するんだよ」「アルカイダが冷戦期にアメリカによって作られた組織だと知らない人が多いんだよね。こんなの国際政治における常識なのんだけど、これすら「陰謀論」とか言ってる人は、自分の無知を恥じた方がいい」とつぶやいていたのですが、本当にこういうこと知らないって恥ずかしいことだなって思ったし(私はなーんとなくどこかで聞いたことがあったなぁ程度でした)、知ってると世の中の見方がまるで変わるなぁと感じます。
そういえばフィフィさんは、日本がTPP交渉参加するかどうかで大騒ぎになっていて、同時に北朝鮮がミサイル発射するしないって話になっていた時、アメリカと北朝鮮は裏ではズブズブで、ちょっと北朝鮮に日本を挑発させて日本がアメリカの言うことを聞くように仕向けているんだというような発言もしていましたが、そういうもんなんでしょうかね、言われてみればあまりにもドンピシャなタイミングでしたしね。
アメリカのことは、あまり信用しすぎてはいけないですよね…まぁ昔ほど親米派ってそれほどいない気もしますけど…。

内容的にとてもおもしろかったし、文庫本でお安いのでいずれ買って手元に置いておきたいなと思えた1冊でした。
フィフィさんの最近発売になった本も読んでみたいものです。

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