緩和ケアとは何(2)
何故、今になって表現の難しい「緩和ケア」について記事にしようと考えたのかは、私自身に思う所が有ったからです。あくまで個人の考えですので、異論もあると思いますがご容赦願います。まず緩和ケアと聞いて、最後が近いんだ、治る見込みが無いんだ、苦痛に悩まされるんだと理解する人が多数を占めると思います。しかし、逆説的に思考すると、生きている期間を伸ばすために医療用麻薬を打ち痛みを和らげながら(必ず行うものではありません)対処療法を行うことや、新薬が見つかり癌の進行が遅くする(治癒する?)などの医学の進歩が考えられ、緩和ケアは、そのチャンスを患者に与えるための治療だと言えるのでは無いでしょうか。これらの要件を含めて長生きさせて頂けることは、これはこれで有りだと私は思います。そう遠くない先に、すべての癌治療を行い効果が無い人には、臨床試験(何段階もある)をすべて通過していない薬剤を使用することもできるそうなので、ゆえに諦めない心を持つことで最後を遠ざけるとになるのでしょう。もしかすると、80歳まで生きていたりして?。
緩和ケアを受ける時期は?(冊子より)
緩和ケアを、癌の進行した患者さんに対するケアと誤解し「まだ緩和ケアを受ける時期ではない」と思い込んでしまう患者さんや家族は少なくありません。しかし、本来、緩和ケアは、患者さんの体や心の辛さを和らげ、生活やその人らしさを大切にする考え方ですから、癌の病状によって緩和ケアを受ける、受けないを決めるというものではありません。実際にはほとんどどの癌の患者さんは、治療に伴う副作用やこれからのことへの不安、痛みなどの辛い症状を出来るだけ少なく過ごしたいと考えているでしょう。例えば、癌と診断された時には、ひどく落ち込んだり、落ち着かなかったり、眠れないこともあるかもしれません。抗癌剤や放射線治療では食欲がなくなったり、吐き気などの副作用が起こることもあります。痛みは癌の早い時期にも進んだ時期にも見られる症状です。痛みが強いままでは癌の治療も辛く、また生活への影響も大きくなってしまいます。また、癌が進行した時期に、痛みや吐き気、食欲不振、だるさ、気分の落ち込み、孤独感などに対して適切な治療やケアを受けることは、生活を守り、自分らしさを保つことにつながります。緩和ケアは患者さんのどのような症状であっても、どのような時期でも受けることが出来ます。
癌の治療と緩和ケアの関係
過去の考え方→癌に対する治療が終了するまで苦痛緩和治療を制限し、治療終了後に緩和ケアを行う。
現在の考え方→癌に対する治療と平行して緩和ケアを行い、状況に合わせて割合を変えていく。
参考資料:WHO(世界保健機構)の緩和ケアの定義(2002年)
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである。
追記:私自身の治療は当然ですが緩和ケアです。