大航海時代~ロイルート編~

大航海みたいな日々の事。そんな日のこと。

『この虹の先へ…』第十九回

2006-12-17 | 小説
 夜道を歩く。二人で歩くのはこれで二回目だ。そういえば、麗菜はホラーは駄目だから夜道は怖いのではないかと思ったが…本人を見ればそんな事はないのは分かった。…そうだ、良い事を思いついた。
「…学校でも行くか」
「…えと、どうしてですか?」
そう聞かれると理由は言えない。なんとなくの思いつきだからだ。だが、そんな思いつきもすぐさま却下。
「………警備員に見つかるか」
そう、先生達が遅くまでいる場合が多いせいか大学は夜遅くまで開いているのだが、その分警備員が常時見回りしているだろう。静かにしていればいいだろうが、麗菜が大きな声で悲鳴あげれば飛んでくるだろう。そうなれば、何かと面倒だ。寄り道せずにレンタルビデオショップに行くか。麗菜が安堵したように見えたのは気のせいでだろうか。
 ビデショップに到着し、二手に別れて借りるものを探す。ホラーかアクションだな、うん。悩んだ末、ホラーを一本借りた。もちろん、返却も忘れなかったぞ。
『さて、麗菜はっと…』
探すとラブストーリーコーナーにいた。真剣な顔でパッケージをいくつも見ていた。
「麗菜」
「あ、兄さん…」
俺を見た後に手に持っている袋を見る。そして、苦笑してこう言った。
「ごめんなさい、もうちょっと待っていただけませんか?」
16分後、ようやく決まったようで店から出た時は妹は笑顔だった。しばらく映画もビデオも見ていなかったようで、見たかったものが多くあり、どれを先に見たらいいかという理由で悩んでいたそうだ。歩きながらニコニコしている麗菜を見て思う。そんなにラブストーリーが良いのかねぇ。偏見かもしれないが、俺にはどうもそれが分からなかった。その事を麗菜にも言ってみたところ、逆に『ホラーという怖いのが良いというのがわかりません』と返されてしまった。とはいえ、アクション系は大丈夫のようで今度一緒に見るかという話になった。
 家に着いて早々『おやすみなさい』と挨拶を交わしてお互いの部屋に入る。
さて、この借りてきたビデオだが『ホラー』であると同時に『お笑い』の要素もある。さっそく見てみる事にしよう。
………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。
2時間30分後。俺はドサリとベッドに倒れた。
「お、面白かった…」
そして、笑い疲れた。いくつか驚かされる場面があったのでホラーであるのは間違いない。が、それ以上に笑える部分が多かった。というか、『お笑い』が強すぎて怖くない。これなら、麗菜も安心して見れるだろう。明日にでも、見せてみよう。
 ----後日談だが、話そのものより『ゾンビ』や『ドラキュラ』自体が駄目だったらしく麗菜に怖がられてしまった…。
                           続く