大航海時代~ロイルート編~

大航海みたいな日々の事。そんな日のこと。

『この虹の先へ…』第十四回

2006-10-03 | 小説

 「この量、一人でやったのか?」
コーヒーを飲みながら尋ねた。
「え、ええ…はい」
歯切れの悪い返事。まぁ、そりゃそうか。一人ではきついもんがあるからな。
「……」
…ぎゅっと、手を握りしめる麗菜。何だ?まるで、何かを我慢しているような…。うつむいていて、長い前髪で表情が見えない。
「何かあったのか?」
思い切って尋ねてみた。はっ、と顔を上げてすぐさま笑顔。
「何もないですよ~」
無理に笑顔を作っているのがバレバレだ。
「さあ、もう少しですから片付けてしまいましょう」
立ち上がり、作業に戻る麗菜。……ま、無理に追求しても仕方ないしな。ぐいっとコーヒーを飲み干し整理を再開した。
 部屋の整理も午後1時過ぎには終わり、家族全員で昼飯を食べた。その後は部屋でのんびりしてからアルバイトに向かった。
 俺のアルバイトは、ずばり!スーパーだ。品出し、整理が俺の仕事だ。俺の勤務時間である夕方から夜は、夕方こそ晩御飯の材料等を買いにくる客で忙しい時があるが、スーパーは何もここだけじゃない。ライバル店がいくつかある為そちらにも人は流れていく。したがって、ピークは2時間くらいで終わり残りの時間はまったりとなってしまった。くそ…今日は近くの店がウチより安売りしまくったか…。
 閉店作業を終え、職場仲間と少しゲームセンターによる事にした。ふと、1台のUFOキャッチャーが目に止まった。景品は可愛らしいウサギの人形だった。
ふと、麗菜の顔が思い浮かんだ。そして、気がつくとコインを投入していた。
「お?またずいぶんと女の子が好きそうなもの取ろうとしてるな」
職場仲間の一人が声かけてくる。
「彼女?」
「さあな」
適当にはぐらしておく。しかし、そう上手くはいかず一回目失敗。めげずに、2回目………。
……………。
…………。
………。
……。
…。

けっきょく、600円使ってしまった。そんで、せっかくだから姉さんの分まで取ったら1000円になってしまった…。まぁ、喜んでくれるだろう。
たぶん。