おおひなたごう◆SILVERY NOTE

ギャグ漫画家おおひなたごうのブログ

「世界の図書館化」を考える

2007年03月24日 11時59分17秒 | マンガ・本
宮台真治のポッドキャストが面白い。

インターネットの広がりによって、映像や音楽などの、アクセス可能なアーカイブスがどんどん広がると「世界が図書館化」してしまい、膨大な過去の遺産によって、新しい作品が売れなくなるとしている。

これはマンガも例外ではない。
現に今、過去のマンガのデータ化がどんどん進んでいる。
まだその一部がケータイなどで読める程度だが、近い将来、過去の作品のほとんどがデータ化されることだろう。
そしてそのデータはどんなにブロックを掛けたところで、それを打ち破る技術も開発されるだろうし、いずれ一般に流出することになる。
そうするとYouTubeのマンガ版のようなサイトも現れるだろうし、iPodの進化版ではダウンロードしたマンガを大量に保存し、いつでも気軽に取り出せ、読めるようになるかもしれない。

膨大な過去の作品が無料で誰でも読めてしまう…
そんな時代が来る日もそう遠くないのではないか。

そうなるとユーザーはわざわざ高い対価を支払ってまで新作を読むということをしなくなる。これは我々現役の漫画家にとっては非常にゆゆしき問題であると言えよう。
いや、ひいては漫画界全体の問題とも言えるかも知れない。
だからといって、名作を幾つも抱える出版社が作品のデータ化を取りやめるということはしないだろう。目先の利益の方が重要だからだ。

こんな不毛な未来を感じつつも、生活のために今日も新作マンガをせっせせっせと描く。
ということで、週刊ヤングジャンプ4月26日売りより新連載が始まります。
1999年から不定期で掲載していた『犬のジュース屋さん』完全週刊連載化です。
名作といわれる過去の偉大な作品群を凌駕するのは並大抵のことではないですが、取りあえず今できることは前に進むこと。より多くの人に笑いを提供できるように。

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