こちらの鈴木其一による、「夏秋渓流図屏風」です。
屏風全体を見る前に、もうひとつ!追加で!点苔(てんたい)のおはなし(しろみどりのコケのこと)です。
この白色と緑色のお花っぽいもの、ご存じですか?
実はこれ、苔(コケ)なんです。
「点苔」(てんたい)という名称がついています👏
点々で囲むから?それとも点々と付いているから?
おそらく点で囲むからでしょう。
作品によりますが、手のひらや草鞋くらいの大きさで描かれた、大きな点苔もあります。
点々とささやかについているなんて言えるものではありません。
「点による、苔の描写」、という昔の中国の画法に由来していたかと思います。
しかし、この点苔ですが、中国ではそんなに流行していないのではないでしょうか。
点苔はラストに仕上げで描きこむものなのですが、
あるのとないのとでは、全然違い、
点苔を描くことによって、作品全体が引き締まります。
私も人生で最初に点苔を描いてみた時、
出来上がった作品のあまりの違いに、
「いや~…。コケ、すごい。…。」
と言ったきり、しばらく言葉が出てきませんでした。
この形状が、この色が、デザインが、
「世界を包んでしまう」とでもいうのでしょうか。
かなりショックを受けました。点苔衝撃です。
点苔、
といっても、様々なデザインがありますね。
美術館などで、その作者なりの苔デザインなどを感じたりするのも
愉しみのひとつといえます。
昔の、工房で描かれたような作品ですと、
「これは、下の方のお弟子が担当するのでしょうか?」というような点苔もよくあります。
あまりうまい下手がなくて、どう描いてもそれらしくなり、
絵のバランスを学ぶのにとてもよい題材です。
時には、「苔に頼りすぎではないかい。」
という作品も、ままあり、
人間らしさがあるので、
いろいろな視点から愛情と尊敬をもって味わっております。
では、次のブログに続きます。