琳派墨絵保存倶楽部・部誌 「なてし子」

江戸琳派の祖、酒井抱一家に伝来する本格的な琳派の画法を継承している「琳派墨絵保存倶楽部」の活動日誌ブログです。

⑧屏風絵のたのしみ「夏秋渓流図屏風」 左右から見える光景

2021年12月14日 | 琳派、日本画、酒井抱一

この、大変な技巧を持った画家が、うっかりして不自然な点苔を描くことはないでしょうが、

「世界がこのように見えた」、という理由があるのでしょう。
では、なぜこのような点苔の表現に行きつくのでしょうか?

屏風絵のたのしみ「夏秋渓流図屏風」その7 左右から見える光景

 

(前回から)

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では、また前回と同じように、

左側だけを抜き出してみます。

同様に夏からいきますね。

もう、この時点で 「華やかな世界」が

明確なような気がしますね!

 

では、繋げます。

春のお祭りのような、にぎやかさです。

秋の屏風も同じようにしてみましょう。

 

 

其一の大好きな、紅葉した桜の葉がいっぱいです。

苔だらけの幹なんか、忘れて

自由に金色の空を、山を、渓流を

遊んでいます。

 

 

では、この左側から見た夏秋を繋げてみると

どうでしょうか。

 

百合の花や、紅葉。

好きなもの、美しいものでいっぱい。

 

ひのきの葉も見えています。ひのきの葉の紅葉した部分は、

巧妙に隠れています。

秋のしのぶまでもがひょっこりと顔をだして。

 

木の陰に隠れていた百合も、こちら側では

すくっと立って全身を見せています。

 

地形が、どうでしょうか。

樹木、渓流、山、空、岩、熊笹、

傾く方向を、右下へ、次は左下へ、また右下へ、左下へ、と

交互に交わりながら

躍動感でいっぱいです。

点苔も、こちらから見ると、動きがあります。

 

この明るさ、本当に感動しますね。

実際の屏風は、金色の背景がいっぱいに輝いていて、

眩しいような光景です。

 

右側、左側からの光景に、

これだけの差が見られるのです。

 

次回は、

この左右の屏風を並べてみてみましょう。

 

 

 



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