クイズおじさん

　私が小学生のときの話です。一回だけ会った変なおじさんのことです。

　当時の私は、友達と家へ帰るところでした。校門を出て少し歩いたところに、一人のおじさんがバイクにまたがってそこに笑顔で立っていました。彼は４０～５０歳代で、どこにでもいそうな普通の人でした。
　「（誰かを迎えにきたんだろうか？まぁいいや。）」
と思い、その場を去ろうとしたそのとき、

「それでは問題です。」

　彼がいきなり話しかけてきたのです。私はびっくりして立ち止まってしまいました。もっ、問題ってなんだ？友達もぽかんとして、おじさんのほうに振り向きました。

「『ソラ』の上には何があるでしょうか？」

　は？クイズ？彼はいきなりクイズを出してきたのです。私は必死になってクイズを解こうとしました。今思えば、なんて警戒心がないんだろうと反省しています。「変な人にかかわっちゃいけない」って、先生にも言われていただろうに、いざとなると忘れてしまうんですね。
　ソラ？空？空の上には何があるんだろう？・・・・結局、クイズの答えはわかりませんでした。

「答えは『シ』です。ドレミファソラシィ～・・・・だから。」

　なるほど、それの『ソラ』か！当時の私は、本当に心から納得しました。次に２問目も出してきました。問題はなんだか忘れましたが、それの答えは解けたんです。

「わかった！答えは○○でしょっ！？」

　私が笑顔で答えると、彼は何もいわず、微笑みながら、バイクで走っていってしまいました。クイズに答えてしまったからでしょうか？私は彼の姿が見えなくなるまで、目で追っていました。

　その後、学校で「変質者に注意しなさい」と担任の先生からいわれました。あのクイズおじさんのことだったんでしょうか？