2年前と同じ先生たちが目の前に並んでいる。ダミヤンにファブリチオ、ホールに入ると、懐かしい顔があった。
「salut?」と近づいてきたのは、スペイン人のFederico。2年前はニーニョと呼ばれていた男の子だ。ほっぺたにキスをして挨拶する。2年前に比べて随分背が高くなっていた。英語も勉強したようで、簡単な会話は英語で出来るようになっていた。
前回マルタイン(私と一緒にカルテットを組んでいた女の子)の友人のオランダ人ニーナも来ていた。
イギリス人のBach、スイス人のメラニー、フランス人のアントナン、そのほかにも数名前回参加していた人たちがいた。みんな名前も覚えていてくれて、挨拶とキスをしてきた。思ってた以上にたくさんの知った顔がある。なんだか懐かしい友人との再会がとても嬉しかった。それぞれ新しい友人を連れてきていたため、お互いの友人を紹介しあっていた。
浅リンと私は、伸さんの友人である福さんにも会うことができた。福さんはとてもおしゃべりで個性的な人で、人見知りをする様子もない。私たちはすぐに打ち解けることができた。
回りを見渡しても日本人の女の人はいなかった。つまり、今回参加の日本人は全部で3人。福さん、浅リン、そして私の3人だったのだ。ということは、ルームメイトが日本人になることはまずない。
パーティーでジュース(もちろんワインも出ている)、スナックを食べ、先生たちとも会話を交わす。みんな、覚えていてくれたことが何よりも嬉かった。
パーティーの後バスに乗り込み、宿舎へ向かう。2年前と同じく絶景が広がる。ナポレオン街道を登り、宿舎へとたどりついた。
恒例の部屋割りがあり、今回は、スイス人のメラニーとフランス人フランソワ、私の3人部屋になっていた。フランソワはグループBだったため、数日後にやってくる。最初は2人でのスタートだ。
メラニーは細くて背が高く、ブロンドの長い髪のおとなしい女の子だった。2年前にはお互いに学校にいたことは知っていたが、話したことはなかった。2人ともお互いを覚えていたため、過ごしやすいルームメイトだった。彼女はジュネーブからきていて、もちろんフランス語を話す。英語が苦手と言っていた。私が話していることは分かるらしいが、自分が英語で話せないから、と言っていた。まあ、なんとかなるだろう。
浅リンは福さんと同じ部屋。2人部屋だったのかな?その部屋は楽しいこと間違いなし!だったのだろう。
さてさて、荷物を解く十分な時間もないまま、夕食の時間となった。今回は、宿舎に他の団体も結構いるようで、テーブルの上に"SAXO"と書いてあるところが私たちの食べる場所となっていた。
今回は前回ほどナーバスにならずに食事のテーブルについた。何が出てくるのか大体予想はついているし、もう、虫つきサラダも味のない野菜スープも、分離したマスタードドレッシングも、朝食のハエ入りジャムも、驚かない。むしろ懐かしい。
人は意外と、いやなことや驚いたこと、苦労したことなんかが思いでに残りやすい。おいしいと思ったものもいくつもあったはずだが、やはり今しがた挙げたものを強烈に覚えている。
浅リンはフランスに来たからその土地のものを楽しもうというすばらしい考えの持ち主で、このGapの食事も興味津々に楽しんでいた。
食事の後は、カフェへ。懐かしい再会をした数名といろいろ話した。
カルロスはその後結婚、マルタイン、ジェロームはパリ音楽院へ。ひげがザラザラしていたクマのようなThomasも結婚したそうだ。Federico以外のスペイン人もみんなカルロスのことを知っていた。どうやらカルロスは先生のようだ。
懐かしい話をしながら、1日目の夜は更けていった。明日からまた学校が過密スケジュールで始まる。でも、今回は様子が分かっているから、楽しみな気分も半分あった。
部屋に帰ると、部屋は既に真っ暗で、メラニーはもう眠っていた。彼女はびっくりするくらい規則正しい生活をしているのだ。メラニーを見ているとアルプスの少女ハイジの世界が想像できるようだった。メラニーはハイジの見た目とはかけ離れているが・・・。
今回は学校でどんなことが待ち受けているのだろうか?