本当に、世も末です。
ニュースフラッシュ:体罰の女性教諭を懲戒処分 /北海道 - 毎日jp(毎日新聞)
この記事によると、給食の時間に席につかない子供をしつけようとしたところ抵抗したたので、頭をはたいたら、その子供がキレて味噌汁をお椀ごと投げてきたので、あとでその手を叩いた、という、いたって普通の指導を行った先生が、なんと「減給1カ月(給料の10分の1)の懲戒処分」ということになったようです。
この事件は、叩かれた子供の親(世間的ににはモンスターペアレントっていうんですかね)が出てきて大騒ぎし、その事態を収拾するために先生が生贄にされたという最悪のパターンでしょう。その子供の親のキレた言動が目に浮かぶようです。
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その後、しつけをした先生が依願退職されたようですが、彼女が自ら退職という道を選んだことは、私にはすごく理解できます。
おそらく、自分が間違いないと思っていた教育方法に対して、まったく理解できない対応をとられてしまったことで、今後ともその学校でやっていく自信がなくなってしまったんだと思います。
私が同じ立場なら、やはり辞めていたでしょう。
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誤解を招く表現かもしれませんが、恐れずに発言すると、小学生くらいの子供はまだまだ考える能力の足りないちいさな「動物」だと私は思っています。
もちろん考える機会を与える必要はあると思いますが、それは、行った行動が悪いということを知ってからです。
大人と子供では悪いことをしたときの認識と罰を受ける順序が逆です。大人は自分が悪いことをしたことを知って罰を受けますが、子供は罰を受けてから、それが悪いことだったということを知ります。そうやって悪いことと良いことの認識を積み重ねていくことで、良識ある大人に成長していくと私は考えています。
自分でそれが正しいことなのか、そうでないのかを判断できない子供に、「しつけ」と称して言葉だけで指導するのは、言葉の通じないペットがお漏らししてしまったとして、それを「こんなところでおしっこしてはダメだよ」と口だけで言ってるようなもの。意味が通じないどころか、ペットには悪いことをしたという認識がありませんから、一生改善されることはないでしょう。
こういうとき、ペットの犬に対してならどういうしつけを行いますか?
犬の体を叩いて、鼻をつかみ、お漏らしをしたところに鼻を近づけながら叱るということを、その場所でおしっこすることがダメだということを犬自身が理解するまで何度も続けるはずです。少なくともうちではそうしてきましたし、ペットの教育に関する本にもそう記載されています。しかし、叱ったあとは必ずやさしく抱いてあげたり、なでてあげたりして、あなたが嫌いになったのではないよ、ということを犬自身にちゃんと伝えて信頼関係を崩さないようにします。この2つは常にセットで行うことが、強い信頼関係を築くためのペット指導の基本です。
これと同じことを、さらにもう少し突っ込んでやるのが、人間の子供の教育だと私は考えます。
まず言葉だけで指導し、それでもダメなら「叩く」。痛みを感じることで、「その行為をすると叩かれる」と子供は理解し、最初は「叩かれるのがイヤだからやらない」という認識をします。が、ここで放置してしまってはペット以下の教育。ただの恐怖政治です。叩くという指導をしたあとは、今度はやさしく、ちゃんとその子供と向き合って、なぜ自分が叩かれたのかを、自分で考えさせるんです。そうやって、自分で納得いく答えが出せたら抱きしめて褒めてあげるんです。少し大きくなった子供なら、握手するなり、肩をだいて褒める。そうやって、自分の考えによって叱られたことを補完することで、「その行為をすると叩かれるからやらない」から、「その行為はやってはいけないと思うからやらない」という、自らの判断で行動を抑制することに繋げていくんです。もちろん、子供の考えることですから、最初からすべてうまく補完できるわけではないでしょう。でもそれを繰り返すことで、まず自分が何か行動を起こすときに、それがやっていいことなのか、正しいことなのかを自分で判断して決める人間が少しずつ出来上がっていくんです。同時に、ペットと人間のように、教師と子供、親と子供の間で強い信頼関係が結ばれていくはずです。面倒くさいからといってこの行為から逃げてしまえば、子供は成長するチャンスを失うばかりか、お互いの関係も少しずつこじれていき、いつしか「力で押さえつける側」と「服従する側」という信頼関係とは程遠いものになってしまいます。
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この処分によって、学校は二つのものを失いました。
ひとつは、叱るときに決して殴るという本当の暴力にいたらなかった、分別と才能のある有能な教師。
もうひとつは、叱られた子供が自分が悪いから叱られたんだという事実を理解し、大人へと成長するタイミング。
教育現場に最も必要と思われる2つを、自らの手によって同時に失ったんです。
こんなことが当たり前として行われているなら、日本の教育現場は根底から腐ってるとしか言いようがありません。
このニュースが、特殊な例だけを取り上げ、勝手に「体罰」呼ばわりしたものであることを祈るばかりです。