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せんべえ空間

淋しがりやの一人好き。
あまのじゃくなせんべえの矛盾に満ち溢れた日々。

心に風を。

『ブランコのむこうで』

2006-07-16 06:46:21 | 
星新一『ブランコのむこうで』
ある日、
学校の帰り道で“ぼく”はもうひとりのぼくに出会った。
鏡から抜け出たようにぼくそっくりな男の子。
ぼくはその男の子をつけてみた。
見えない糸に引っ張られるかのように。
その子はしばらく歩いて、知らない家に入っていき、
ぼくも続いて中に入ろうとした。。。
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星新一初めてです。
あんまりSFってのに興味がわかなかったんだけど
表紙がちょっとかわいかったので買ってみたら、
意外と読みやすかった。
すごくかわいい感じのお話で。
オチは当たり前の感じだけど、
ぼくが色んなことを感じて考えるのがすごくすてきに描かれてる。
ちょっとずつ大人になってくみたいで。
夏休みに実家に帰るときに、
ファンタジーが大好きな伯母に持って帰ろうと思った。

『薬指の標本』

2006-07-10 19:07:39 | 
小川洋子『薬指の標本』
あらゆる人々が思い出の品々を持ち込む“標本室”。
そこで働いている“わたし”は、
標本技術士に黒い靴を貰った。
「これからは、毎日その靴をはいてほしい。
 電車に乗る時も、仕事中も、休憩時間も、
 僕が見ている時も見てない時も、
 とにかくずっとだ。いいね。」
靴はあまりにも“わたし”の足にぴったりだった。(「薬指の標本」)
プールで出会ったミドリさんに付いていくと、
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『博士の愛した数式』で有名な小川洋子の本。
↑も気になってるんだけど、映画見てから読もうかなって思ってて、
結局小川洋子の本は初めてでした。
『薬指の標本』はちょっとしたホラーとファンタジーの間みたいだった。
やばいっ、これ以上読んだら大変なことになるかも、恐いかも…
てな感じでぞくぞくそわそわした。
で、妙にエロい感じがするというか、艶やっぽい話だったなぁ。
男性が女性の靴を自ら履き替えさせるという動作はとても色っぽく思える。
想像するとちょっと照れる。。。
これはフランス映画になるらしい。
日本人だったら、標本技術士の役は加瀬亮にやってほしいなぁ。
“わたし”の役は、すごく細い人だな。
スタイルがいいってわけじゃなくて、胸とかも薄いような女の人。
『六角形の小部屋』は、まぁ、普通の話だった。
好きでも嫌いでもないような。

『夏の庭』

2006-06-28 21:20:08 | 
湯本香樹実『夏の庭』
小学6年の夏、“ぼく”と山下と河辺は、
人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、
もうすぐ死にそうだとウワサされているおじいさんを見張ることにした。
でも、おじいさんは死ぬどころか
どんどん元気になってくみたいだ。
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なかなかおもしろかった
おじいさんが憤慨しながらも元気になっていたり、
3人が来るのを待っていたり、っていう部分がとっても微笑ましかった。
展開はめっちゃ普通だけど、
少年たちの一生懸命な悩みとか
おじいさんにも過ごしてきた人生があるということを知っていくとことか、
温かいものだった。
最後の方の、山下くんのセリフがとっても好きだ

『陽気なギャングの日常と襲撃』

2006-06-28 21:10:41 | 
伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』
人間嘘発見器・成瀬は刃物男騒動と遭遇、
演説の達人・響野は「幻の女」を探し、
体内時計の持ち主・雪子は謎の招待券の真意を追い、
天才スリ師・久遠は
前作『陽気なギャングが地球を回す』で活躍した強盗4人組が
それぞれ巻き込まれたバラバラな事件。
しかし、
銀行襲撃の裏に突如浮き上がった「社長令嬢誘拐事件」と
それぞれの関わった事件が奇妙に連鎖していく。
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前作の感想はコチラ

第一章はそれぞれの事件で、
第二章から今回の本題である「社長令嬢誘拐事件」が始まる。
期待してたよりおもしろかった。
こういうのって2作目はつまんないことがよくあるし。
でも、前作の勢いそのままな感じ。
相変わらずの、広辞苑のパロディもおもしろかった

欲を言えば、もっと銀行強盗をやってほしかったし、
慎一くんにはもう少し登場してほしかったし、
響野のうっとおしい演説ももっと聞きたかったな。
あぁ騙されたーっていう感じは前作の方が多かったかな。

雪子さんのキャラがちょっと違ってきてる気がする
それはそれでおもしろいんだけど。

『リビング』

2006-06-23 19:59:48 | 
重松清『リビング』
引越し運の悪い夫婦・ひろ子と‘僕’。
今秋の新居は完璧だったはずなのに…。
暗黙の了解に満たされた幸せなはずの夫婦と
お隣に越して来た夫婦との交わりを
季節毎に描いた連作短編「となりの花園」を主軸に、
さまざまな夫婦や家族を描いた12コの短い物語。
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「となりの花園」の、お隣さん・太田さんの奥さんは
以前住んでいた土地の石井さんから“スローガンの人”と言われていた。
いるよなぁ。そういう人。
まっすぐすぎる人、一生懸命すぎる人、は周りを疲れさせる。
これは正しい!って思ったりとか信じたりできるものを持っていることは
すごくいいことなんだろうけど、それを周りにも伝染させようとするのは困る。
本人は別に押し付けたりする気も無く、
本当に相手のためを思ってしてくれることもあるんだろうけど、
でも何か困っちゃうんだよなぁ、ってことがある。
自分がそうならないように、って気をつけてはいるけど大丈夫かな。

人の家庭と自分の家庭を比較しても仕方ないし、
幸せそうな人をうらやんで、その人と同じ境遇を求めるのも無意味だと思う。
同じ境遇を得ても、きっと幸せを感じれない。
それはその人の幸せでしかないし。
自分が求めるのはもっと別のもので、元々いた場所にあるだろうし。
今の場所で幸せを見つけられなければ、
どこへ行っても、どんな状況になっても幸せにはなれないんだろうな。
なんか、そんなことを考えた。

「となりの花園」のシリーズで色とりどりの庭が見られなくなって
何だか物足りなくなっているひろ子のように、
あたしもいつか今のお隣さんの下手くそなギターや歌や
真夜中でも早朝でも構わず大騒ぎしてる物音や奇声と離れたとき、
それらを懐かしんだり物足りなく思ったりする日が来るんだろうか。
今の時点ではありえないけど

『レヴォリューションno.3』

2006-06-23 17:12:04 | 
金城一紀『レヴォリューションno.3』
“君たち、世界を変えたみたくはないか?”
有名進学校が立ち並ぶ地域に一つだけ存在しているオチコボレ高校。
そこに通っている南方たちは教師のそんな言葉に衝撃を受け、
遺伝子政略に風穴を開ける為に「ザ・ゾンビーズ」を結成する。
彼らの武器はmoney、Penis、頭脳、上腕二頭筋、そして努力!
厳重な監視にがっちりガードされた
お嬢様女子高の文化祭への突入を目指す表題作の他2編。
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以前見た『フライ、ダディ、フライ』に出てくるゾンビーズのシリーズの1作目。
マンガみたいな勢いでさーっと読めるけど、
考えさせられるとこもちゃ~んとある。
いいなぁ、こういうの。
こういう男の子たちと友達になりたかった。
くだらないことに一生懸命になれるのは
一つの才能だし、すごくステキなことだなぁ。
眩しいくらいの青春。
高校生活を全力疾走してる。
もっともっと無茶なこといっぱいしてくればよかったな。
まだ遅くはないかな。

『オーデュボンの祈り』

2006-06-09 01:32:27 | 
伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
会社を辞め、コンビニ強盗に失敗した伊藤。
警察に追われる途中で意識を失い、
目が覚めると見知らぬ島にいた。
その島は約150年間、外部との交流を持たない孤島だった。
そこには、言葉を話し、
未来を予知するというカカシ「優午」がいた。
さらには、反対のことしか言わない芸術家、
300キロ以上の「ウサギ」、
殺人を繰り返す、島の法律のような存在の「桜」など
伊藤には驚くことばかり。
しかしある日、何者かによって優午が「殺害」される。
なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのだろう。
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この本のせいで水曜日は1限を寝過ごしちゃった。
最初に30ページぐらい手をつけてあって、
火曜の2限の授業のときに続きを読み始めたのだが(不真面目ですみません)、
昼過ぎに一旦中断して、夜に再開したら、
もう止まらなくなってしまった。
城山という警官の考えることが恐ろしすぎて、
どうにか早くこいつを始末してくれないか、って、
そればかり祈ってて、最後まで読まずには眠れなかった。
で、結局、5時半過ぎになってしまった。
7時には起きてシャワーを浴びようと思ってたのに。
実際、おもしろかった。
読み応えあるし。
欲を言えば、島に住む人たちのキャラや生活は、
もっともっと変というか、現実離れしててもいいと思う。
ファンタジーではないのだからこれでいいのかもしれないけれど、
もっと、異空間っぽさがあった方が好きだな。

今後の島民の暮らしが気になるなぁ

『エ・アロール』

2006-06-06 02:00:27 | 
渡辺淳一『エ・アロール』
東京・銀座にあるオシャレな施設「ヴィラ・エ・アロール」。
そこの経営者である来栖は、
仕事や世間から解放された人々に、楽しく気ままに暮らしてもらおう
という方針を持ち、自由な雰囲気の施設を目指し、
三角関係などの恋愛問題が絶えず起きても
エ・アロール(フランス語で“それがどうしたの?”)精神で乗り切っていく。
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これは、以前トヨエツが主人公の来栖役でTBSでドラマをやっていたものの原作。
トヨエツ目当てで見たら意外とおもしろくて、
主題歌もドリカムのLAT.43°Nのカバーでうれしくて、
結局夢中で見ていた。
そのときは、来栖は父親が経営していた施設を引き継いだ形だったけど、
原作だと自らこの施設を造った人で、54歳らしい。
んで、来栖の彼女の麻子役は木村佳乃がやってた。
今、公式HPでキャストを見ると
ホームの入居者は意外とピッタリな感じのキャストなんだよなぁ。

まぁ、ドラマの話はいいとして、本の感想です。

こういう、年甲斐もない高齢者の話とかってかなり好きなのかもしれない。
生々しい雰囲気の。
でも、やっぱり他人事って感じがするから楽しめるのかな。
もしも、あたしの両親のどちらかが亡くなった後、
残された方が再婚したいと言い出したらあたしはどうするだろう。
喜んで賛成できるだろうか。
賛成してあげたいとは思ってるんだけど、
本当にそうできる自信があまり無いなぁ。


元々、ドラマが好きで読んだ本だったから
話はおもしろかったんだけど、
文章がちょっとクドいというか、うっとおしかった。
同じ文章を何度も使うし。
それさっきも聞いたよ?って気分になっちゃって。
そんなに何度も同じこと言わなくても覚えてられるっつーの。
って思っちゃった。
あと、高齢者の性欲に関する調査について述べてるところは
数字の羅列が多かったり、説明口調になりすぎて
何かの報告書だとか授業で提出するレポートのための資料を読んでる気分だった。
もうちょっとあっさり読ませてくれたら
もっとおもしろかったかなぁ。

『龍宮』

2006-05-31 12:17:48 | 
川上弘美『龍宮』
女にはもてるのに人間界にはなじめなかった蛸、
七世代前の先祖にひとめぼれする二百歳の女、
曽孫の前に突如現れて放浪の果てに自然神となった曽祖母、
男の家から海へと帰る海馬など、
人と、人ではないものとの関わりを描いた
8つの幻想的なお話。
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何で、官能小説でもないのにこんなに官能的なニオイがするんだろう。
濃密だ。
濃厚だ。
あっさりとした文体なのに、なぜかすごく濃いものとなる。
こういうとこが、
あたしがどうしても川上弘美の文章にとりつかれてしまう理由なんだよなぁ。
最初の2~3コのお話はそんなに引き込まれなかったんだけど、
結局のめりこんでしまったなぁ。
特に、7世代前の先祖にひとめぼれする『島崎』というお話が好きだな。

『GO』

2006-05-30 12:54:11 | 
金城一紀『GO』
「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」
在日韓国人の杉原の恋の物語。
僕はあっけなく恋に落ちた。
彼女はムチャクチャ可愛らしい日本人だった
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映画の感想はコチラ

色んな人種差別とか、
詳しくは全然知らないんだけど、
差別をしないためには
差別そのものを知らない方がいいんじゃないかって以前は思ってた。
知らなければその差別されてる人たちにヒドいことをしないだろうと。
でもやっぱり違うよなぁ。
知らないからこそ傷つける場合がある。
無知は一つの罪だと感じた。

加藤や元秀のその後のこととか杉原との今までのこととか
映画ではいまいち描かれてなかったけど、
その辺の部分がすごく好きだったな。