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せんべえ空間

淋しがりやの一人好き。
あまのじゃくなせんべえの矛盾に満ち溢れた日々。

心に風を。

『一瞬の風になれ』

2007-04-06 23:49:34 | 
佐藤多佳子『一瞬の風になれ』第一部~第三部
「速くなる」
…ただそれだけを目指して走る。
白い広い何もない、虚空に向かって…………。
春野台高校陸上部。
とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。
ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変える。
「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」
思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。
(出版社からの内容紹介より)
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本屋さん大賞の候補作品を全部読みきりたいな
と思い読み始めたのですが
終末のフールとこれと劇団ひとりのやつしか読まずに決定してしまいました。
この作品が今回の本屋さん大賞だそうです。
本屋さんからすれば3冊あるのは
売上的においしいってのもあるんじゃないかと思ったり

まぁそれなりにおもしろかったです。
熱くてかわいかったです。
主人公の神谷くんが
不自然なくらい健康的にまっとうな青年で
ひゃーとかきゃーとか思わず叫び出しそうなくらい
真っ直ぐにひたむきでかわいらしい。
読んでて恥ずかしくなってくるぐらいです。

中でも好きなキャラクターは根岸。
いい男だー。
あと、風水とかが好きな先輩(名前忘れた)も憎めなくていいし、
キャプテンもかっこよかった。
全体を通して嘘みたいに爽やかでした。
たまにはこういうのもいいなーと。

谷口さんとのこと、健ちゃんのこと、
かなり消化不良です。
えーっ!!と声をあげそうになりました。
まるで100mの最後の最後で追いつけないまま終わったみたい。

早く走るってどんなだろう。
私は歩くのは早いけど走るの遅いので
すごい早さで走る人の感覚がものすごくうらやましい。
どんなことを感じるんだろう。
どんな景色見てるんだろう。


レース中の文章は少し興奮気味で読めるのに
突然中学生みたいな文章になるのは何なんだろうね。
文章の上手さにものすごくムラがあると思った。
3冊にしなくても厚めの2冊でいいんじゃないかと思うけど
3冊の表紙を並べてあるのはキレイ。
やっぱりこれは3冊がいいんだろうな、と。
印刷スペース?が小さく、
行間はあまり詰まってないので
割と早く読めると思います。

『終末のフール』

2007-03-20 02:33:12 | 
伊坂幸太郎『終末のフール』
「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。
秩序崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は…。
「太陽のシール」「篭城のビール」など全8編を収めた連作短編集。
(Bookデータベースより)
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本屋さん大賞にノミネートされてるそうですが
他の伊坂作品の方がずっとずっとおもしろいと思います。
というかこれで賞をとってほしくない。
んーでも色んな年代の人が読める作品ではあるのかな。
悪くはないけど期待しすぎたかもしれん。
あんまり、伊坂幸太郎読んでるんだという気がしなかった。
惑星オタクの男性は伊坂作品ぽいと思ったけど。
それから、櫓を作ってるおじさんはすごく好きだなー。

もしあと8年後に地球が滅亡します
なんて発表があったらどうするかなー。
まず疑うよね。
なかなか信じられない気がする。
少しずつ恐くなるんだろうな。
発狂するかもしれん。
でもこの本の中で自殺した人みたいに
「死ぬぐらいなら死んでやる」発想にはならない気がする。
あー、でも自信ない

キックボクサーの苗場さんの
「あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
がすごく印象的でした。
ひっ!と思いました。

『マリコ/マリキータ』

2007-02-27 11:56:47 | 
池澤夏樹『マリコ/マリキータ』
南の島、異国の子供たちと暮らすマリコ。
研究者の僕に日本を脱け出し、
彼女を追う生き方ができるだろうか(「マリコ/マリキータ」)。
前人未踏の遺跡を探検した僕とピエールは、静謐のなか忘我の日々を過ごした。
でも僕には、
そこにとどまり現世と訣別する道は選べなかった(「帰ってきた男」)。
夜に混じり合う情熱の記憶。
肌にしみわたる旅の芳香。
深く澄んだ水の味わい、5篇の珠玉の短篇集。
(「BOOK」データベースより)
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むむむ。
「マリコ/マリキータ」「梯子の森と滑空する兄」「アップリンク」
は好きだけど
「冒険」「帰ってきた男」
は馴染めなかったなぁ。

↑この表紙はかなり好きなんだけど。

『八月の路上に捨てる』

2007-02-27 11:51:42 | 
伊藤たかみ『八月の路上に捨てる』
暑い夏の一日。
僕は30歳を目前に離婚しようとしていた。
現代の若者を覆う社会のひずみに目を向けながら、
その生態を軽やかに描く。
第135回芥川賞受賞作ほか1篇を収録。
(「BOOK」データベースより)
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好きなタイプの本でした。
こういう、特に何も起こらないような感じのは好きです。
文章も読みやすいしね。
短いので一気に読んだ。
でも芥川賞受賞作と思うと???て気も。

あるある!って思わせるような内容でした。
離婚はおろか結婚もしてないのにね。

『卵の緒』

2007-02-23 00:45:06 | 
瀬尾まいこ『卵の緒』
自分を捨て子だと信じる小学生の育生。
ちょっと変わった母親。そのとぼけたボーイフレンド。
理由がないまま登校拒否をする同級生。
「誰よりもあなたが好き。それはすごいすごい勢いで、あなたを愛してるの。
 今までもこれからもずっと変わらずによ。
 ねぇ。他に何がいる?それで十分でしょ」―――(卵の緒)
七子と七生。名前を見れば兄弟だとわかる私たち。
似ているのは名前だけではない。顔つきもそっくり。
でも私と七生は正しい兄弟じゃない。
七生は父の愛人の子どもだ。―――(7's Blood)
家族であること、家族になることを描いた表題作と書き下ろし一編。
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久しぶりに最後まで気持ちよく読める本に出会いました。
どちらが好きとも選べないぐらい
2つともみずみずしくてほんわりとしてて
ちょっぴり哀しい気もしてでも幸せな気分だったりして・・・。
不思議な感覚です。
「7's Blood」はNHKでドラマやってたそうです。
「七子と七生」という題名で蒼井優ちゃんが。
再放送しないかなー

瀬尾まいこさんって中学校の国語の先生なんですよね。
授業受けてみたい

『ドロップ』

2007-02-22 01:11:24 | 
品川ヒロシ『ドロップ』
東京・狛江を舞台に、
退屈な中学生活に飽き足らず喧嘩と悪戯に明け暮れる日々。
一緒にいればどんなに殴られてもへっちゃらだった。
落ちこぼれたちが必死にもがく様を綴った青春小説。
不良になると決めたから、不良でいよう。
表紙は不良漫画『クローズ』の著者・高橋ヒロシの描き下ろし。
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むむむ。
なんだか微妙だ。
マンガにしときゃよかったのに。
誰かに絵書いてもらってさ。
いや、でも不良マンガはものすごくたくさん世に溢れてるからもっと厳しいかな。

前半は特に文章力が気になるし、
最後の方の事件は無理に泣かせようとしてる感じがするし、
全体的に無理矢理さが目立ってると思う。
小説というものの枠にとらわれすぎてるというか
オリジナル感が感じられない。
こういうの何度も聞いたわー読んだわーってなっちゃう。
後半に母の強さが出てくるけど
それまでに強い部分を少しも感じさせなかったのに
‘泣き虫だけど強い人’なんて言われても、はぁ?って感じちゃうし。
それから、主人公が“信濃川ヒロシ”て名前だと
あまりにも品川の顔がちらつきすぎて困るんだよなぁ。

達也というキャラの
アイドル顔で金髪でケンカが強くて
って設定を見ると、
『今日から俺は!』ってマンガの三橋を思い出すなぁ。
三ちゃんはあんまりヒドいことしないけどね。
大好きだったなぁ三ちゃん。
あと、不良マンガで好きだったキャラと言えば
GTOとかのシリーズの龍二。
GTOではそんなに目立たないけど
湘南純愛組の龍二はほんとすごく好きだった。
読んでたの中学生の頃だったかな。
ほとんど恋しちゃってたね(笑)
もう一度昔読んだ不良マンガを読み直したくなってきたなぁ


そうそう、実は高橋ヒロシ、
元ご近所さんだったりします。
ほんとか嘘かわかんないけどね。
松本で住んでたアパートのすぐ近くにある大きい家、
高橋ヒロシの家だと友達に聞いたんですよね。
確かに表札に高橋って書いてあるけど何で松本に家が??
どうも信じられない。
その友達のバイトしてる居酒屋かバーか知らないけど本人が飲みに来るとか。
うちの近所のお店にイラスト入りのサイン色紙置いてるし。
一度ぐらい見てみたかったなぁ。
マンガ読んだことないけどね

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同じく芸人の本だったら、これ読んでみたいなぁ↓
『板尾日記』
365日のことを綴った日記らしいのですが
一日だけ“今日のことは書かれへん”って日もあるんだとか
板尾さんらしいなぁ。

『青空の卵』

2007-02-14 01:24:16 | 
坂木司『青空の卵』
自称ひきこもりの鳥井真一。
複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと
僕、坂木司は身の回りで起こった不思議な出来事の解決を願い出る。
謎解きと、人との出会いによって成長していく二人を描く連作短編集。
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うーん。
全てにおいて中途半端でいまいちだった。
鳥井のキャラは嫌いじゃないけどさ。
あと木村さんっておじさんは好きですけども。
でもいまいちだなーって感じがずっと付きまとってて
読後感はあんまり気持ちよくなかった。
読みやすいとは思うけど。
推理モノとしておきながらその推理は子供じみてて
あまりにもこじつけすぎるし大したトリックも無いし。
だったらマンガのコナン読んだほうがよっぽどおもしろいと思う。
それから、二人は少しずつ成長していくようなんだけど
いい年して何言ってんのって思うようなことばかりなんだなぁ。
普通は中学生や高校生の頃に考えただろーって思うようなことを
今さらやっと気がついて涙したりするもんだから呆れてしまう。
今までそんなことも考えずに生きてきたの?
そっちのが驚きだよ!
って具合に。
それぞれのキャラクターの描き方は悪くないんだけどね。
説明がクドいとも思うけど。
ほんとになんだかいまいちでした

『二〇〇二年のスロウ・ボート』

2007-01-31 22:05:21 | 
『二〇〇二年のスロウ・ボート』
僕は生まれ育った東京からの脱出計画を練り
3度にわたり実行をめざすがいずれも失敗し、その度にガールフレンドを失った。
それは三たの喪失であり、三たびの敗北だった。
はたして、本当にどこにも出口はないのか。
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村上春樹の「中国行きのスロウ・ボート」のリミックスらしい。
小説のリミックスとはまぁ。
あー言われてみれば村上春樹の匂いがするかも、
とも思ったが、
村上春樹にすごく影響を受けてきた人の作品だな、
というだけにも思える。
どちらも音楽的だな、とは思うけど。
まぁ村上春樹の方も読んでないし、
リミックスであることも最後にあとがきを読んで知ったので、
単純に一つの作品として読みました。
文体に慣れるのに少し時間がかかったけど、
ポップさみたいのが気に入った。
速度が急激に変わるような感覚を何度か味わって、
他にもこの人の本読んでみたいな、と、興味をそそられた。

この表紙デザインかなり好きです。

『ニシノユキヒコの恋と冒険』

2007-01-31 21:41:04 | 
川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』
姿よしセックスよし。
女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。
だけど最後には必ず去られてしまう。
ニシノユキヒコはそんな男。
「どうして僕はきちんと女のひとを愛せないんだろう」
真実の愛を探してさまよったニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、
交情あった十人の女が思い語る10編。
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ふう。
ほんとどうしようもないやつだニシノユキヒコ。
でもきっと実際に出会ったら簡単に好きになってしまう自信があるなぁ
本気になんてならないぞってジタバタしながらね。

かわいそうな奴だ、ニシノユキヒコ。
みんながそうしてるように、
何とか折り合いをつける、というようなことができないんだろう。
いい意味でも悪い意味でも純粋なんだろう。
んで、その周りの女の子たちもなんだかかわいそうで哀しい。
出てくる人たちみんなかわいそう。


“夏の終わりの王国”の例子みたいな感じで
好きだなぁ以前に即物的なことを思って
その男の子に興味を持つことは私にもよくある。
というかそっちのが多い。
おおーっと、私のことかい?なんて思いながら読んだなぁ。
例子みたいに行動できないけどね。
でも一番好きだったのは最初の“パフェー”かな。

『まぶた』

2007-01-29 23:08:27 | 
小川洋子『まぶた』
高級レストランの裏で出会った中年男と逢瀬を重ねる15歳のわたし。
男の部屋でいつも感じる奇妙な視線の持ち主は?(「まぶた」)
など、8編。
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恐らく読み始めたのは今月の初め頃。
何かと忙しくてちょこちょこと一話ずつ読んでいたら
なかなか読み終わりませんでした。
薄い本なのに。

「飛行機で眠るのは難しい」、「詩人の卵巣」
が特に好き。
表題作の「まぶた」や「匂いの収集」は
いかにも小川洋子だな、と。
そんなこと言えるほど小川作品読んでないけどね。
体のパーツの中のほんの小さい部分に焦点をあてる人、
というイメージを持ってたりする。
「バックストローク」は
ユダヤ人処刑場を見学しに行く途中に壊れたプールを見て
背泳選手だった弟を回想するという、
そんな話の流れが独特だなぁというか驚いたというか、
ほうほう、という気持ちに。


朝方の変な時間に突然目が覚め
その後全く眠れる気がしないまま、
何か夢見たな、悪い夢だったようないい夢だったような、どっちだろ、
なんてことを
ぼーっと思ってるときみたいな
そういう不思議な読後感。