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せんべえ空間

淋しがりやの一人好き。
あまのじゃくなせんべえの矛盾に満ち溢れた日々。

心に風を。

『リレキショ』

2006-10-11 00:37:19 | 
中村航『リレキショ』
僕は“姉さん”に拾われて“半沢良”になった。
「大切なのは意志と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ」
ある日、
バイト先の深夜のガソリンスタンドで受け取った一通の招待状。
その招待状をきっかけに、
いつもと少しだけ違う世界が、ひっそりと動き始める。
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清々しくてのびやかで気持ちのいい小説。
あたしがこの本を読んだのは
雨のたくさん降る昼間の教室の中だったけど
キレイに月が輝く涼しい夜に読みたい一冊でした。
僕が半沢良になることとなった経緯は語られないままだし、
特に何か特別なことが起こるわけでも
何かが完結するわけでもないけど、
なんとなくすっきりした気持ちになれました。
そういう謎解きめいたことや説明のようなものは
この話の中ではすごく余計なもので、
全く必要ない感じがする。

出てくる人たちが皆とても魅力的でちょっと変わっていて、
でも誰もが登場人物の一人一人の中に自分を見てしまいそうな気がする。
姉さんがとっても好きです。
考え方にめちゃめちゃ共感してしまう。
あたしは人を拾ったりしないけどね。
離婚について語ってるシーンとか特に好き。
一人勝ちだと言ってのける様がすごくかわいかった。
それから、山崎と姉さんの作るご飯が、特にサラダとしいたけが、
本当においしそうだった。

『ミカ!』『ミカ×ミカ!』

2006-10-06 18:36:27 | 
伊藤たかみ『ミカ!』
スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!
活発で男まさりの小学生の女の子ミカ。
思春期の入口にたち少し不安定である。
そばで見守る双子の兄ユウスケ。
両親の別居や姉の家出。
こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。
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伊藤たかみ『ミカ×ミカ!』
ある日、ミカがユウスケに質問する。
「女らしいってどういうこと?」
家で飼ってる青いインコが言うには、
ミカはどうやら好きな男の子にフラれてしまったらしい。
恋をして変化していくミカに戸惑うユウスケ。
そんなユウスケにも告白してくる女の子が現れる。
中学生になった双子の日常を描く「ミカ!」の第二弾。
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一気に読めました。
ちょっとヒマが空いたときにさらっと読める本です。
凝ったストーリでもなく、
すごくおもしろい展開があるわけでもない。
でもなんか良かったです。
ほんわかとしててかわいくて優しくて。
オトトイとか、ユウスケには喋るインコとか、
両方ともにちょっと不思議な生き物が出てくるのだが、
どちらもすごく魅力的。
特にオトトイ。
固くてすっぱいキュウイを二日かけて食べるオトトイ。
悲しみの涙を吸収して大きくなるオトトイ。
すごいステキ。
『ミカ!』の方は第49回小学館児童出版文化賞受賞作らしいんだけど、
オトトイとかの発想がすごく児童文学らしくてステキだと思う。
この人って角田光代の旦那さんなんですよね。
なんか、作家同士の夫婦って大変そうだなぁ。。。

『牛乳アンタッチャブル』

2006-10-06 18:08:11 | 
戸梶圭太『牛乳アンタッチャブル』
雲印乳業の製品を飲んだ消費者が
下痢や嘔吐を起こして次々と病院に担ぎ込まれた。
大規模な食中毒事件であるにも関わらず、
経営陣はどこか他人事のような雰囲気。
あまりにもいい加減なその体勢に社員達は決起し、
雲印乳業を立て直すべく特別チームを作って
大掛かりな首切りを決行する。
平社員はもちろんのこと、偉いさんだってお構いなし。
抱腹絶叫のサラリーマンバトル!
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あの、集団食虫毒事件のパロディー。
あの事件を元にはしているけど、
会社の危機管理とかに関する問題提起とかの社会派小説ではないです。
あくまでパロディー。
エンターテイメント小説。
有名な『私は寝てないんですよ!』って発言も出ちゃいます。
最初は雲印だって気付かなくて“ゆ○じるし”だと思って読んでました
前に読んだ『なぎら☆ツイスター』みたいに
アホみたいな勢いで人が死んだりはしないので、
ちょっと読みやすかったです。
日本ワル協会だったか、そんなのが出てくるところは
もうくだらなくて大笑いしました。
せっかくの特別チームでバカなことやっちゃうやつがいたとこも
すごく呆れちゃって楽しかった。
最後ちょっと温かいところもあってよかったです。
一番好きなのは特別チームの向井。
冷徹でむかつくこと言うやつだけど、なんか憎めないキャラです。


そういえば、前に『なぎら☆ツイスター』の感想を書いたとき、
トラックバックがあったのですが、
なんとそれが、戸梶圭太さん本人のブログからでした。
びっくり
ご自身の本の感想とかチェックしてらっしゃるんでしょうか。
すごく驚きました。
でもあたしは戸梶さんのブログにTBする勇気はないです。。。
すみません。
でもうれしかったです。

『SPEED』

2006-09-22 01:32:39 | 
金城一紀『SPEED』
憧れの女性だった家庭教師の彩子さんが自殺した。
そんなばかな。
岡本佳奈子、16歳。
お嬢様学校に通う、真面目で平凡な女子高生。
彩子さんの自殺の真相を探る途中で、
佳奈子は南方たちゾンビーズに出会う。
ゾンビーズとの冒険が始まる。
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『レヴォリューションNo.3』『Fly, Daddy, Fly』に登場する
ゾンビーズのシリーズの第3弾。
今回は女の子の手助け。
あいかわらずな山下もおもしろかったけど、
何よりアギーがステキでした。
そりゃあモテるよ、って感じで。
佳奈子が後半で感じていた、
女の子であることへの苛立ちみたいのはよくわかるなぁ。
どれだけ仲良くても、
どれだけ同じようにはしゃいで騒いでも、
もし同じだけの体力があっても、
どうしても女の子には混ざることのできない男の子特有の空間がある。
それを目の当たりにしたときに男の子になりたくなってしまう。

高校生のときに読みたかった一冊です。

『しょっぱいドライブ』

2006-09-22 01:22:10 | 
大道珠貴『しょっぱいドライブ』
34歳の実穂と60代の九十九さんの
微妙な恋愛関係を描く「しょっぱいドライブ」、
中学2年生の不登校の女の子と26歳の相撲取りという
不思議な組み合わせのカップルを描く「富士額」、
若い女性同士の主従関係があるような友人関係を描く「タンポポと流星」。
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母がダヴィンチを読んでいて、
この人の名前を見かけ、
「この人!この人のしょっぱいドライブってやつすごい気持ち悪かった~!
 何か、30ぐらいの女の人がおっさんと付き合っとる話ねんけど、
 そのおっさんがまたステキなおじさんとかじゃなくて
 なんとかかしらとか女言葉使うような気持ち悪いおっさんで、
 その女の人も別にこのおっさん好きなわけじゃなくて
 ただなんとなく妥協で付き合っとるような感じで
 とにかく気持ち悪いの!読んでみ!」
と、酷評しながら勧めてきた
そんな気持ち悪い本読みたくないって言ってんのにしつこくて、
とうとう図書館からわざわざ借りてきたので読んでみました
別にそんなに気持ち悪いとも思わなかったけど、
おもしろいとも思わなかった。
あっさり書こうとしてんのに却ってしつこい感じになっちゃったように見える。
芥川賞受賞作品なのだから、純文学に分類されるのだろうけど、
こういうの純文学っていうのかな。
なんかいまいち。
そもそも、登場人物の名前が妙に凝ってるのはあまり好きじゃない。
そんなとこに手間かけてどうすんだとか思っちゃう。
それに、その人物がいまいち頭とか心に馴染まないから読みにくい。
前に読んだやつは別に嫌いじゃなかったんだけどな。
最後の方にデビュー作の広告が出ていて、
前に読んだ「金の皿に銀の林檎を」とあんまり設定違わない気がして、
同じようなのばっかり書いてんのかな、って思ってがっかりしちゃった。
もうこの人のはいいやー。

『かもめ食堂』

2006-09-19 15:06:00 | 
群ようこ『かもめ食堂』
フォンランドのヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。
日本人女性のサチエが店主をつとめるかもめ食堂の看板メニューは、
サチエが心をこめて握るおにぎり。
けれども、お客といえば、自称日本通の青年トンミぐらいのもの。
そんなかもめ食堂に、
ミドリとマサコという訳あり気な日本人女性がやってくる。
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これって最近映画やってたんですよね。
サチエが小林聡美、ミドリが片桐はいり、マサコがもたいまさこで。
見たいー!!
はやくDVDにならんかなぁ。
サチエが小林聡美ってぴったりじゃん!って思ったら、
これは映画の案を受けて書き下ろしたものだそうで、
最初からそれぞれのイメージで作ったのかなぁ?
挿絵のマサコなんてもたいまさこにしか見えないし。

感想としてはまず、おにぎり食べたいなーって気分になりました。
ほんとおいしそうなんだもの。
シナモンロールも。
そしてフィンランドにも行きたいなぁ。
フィンランドとかスウェーデンとか、
ああいう北欧の国行きたいんだよなぁ。
んで、食器いっぱい見たい。
そういえば夏休み前に本屋で北欧の食器の写真集を見つけて
すっごく欲しかったのにそのとき金欠だったから我慢したんだよなぁ。
あれまだあるかなぁ。
絶対買おう。

群ようこって、昔何冊か読んだ気がするけど、
こんな文章書く人だっけ?って感じでした。
さっぱりしていてほっこりした気分になって、
とても気持ちのいい本でした。
かもめ食堂もサチエも、
こじんまりとしているけど堂々としていて
とても魅力的。
ぜひ行きたい。
いいなぁいいなぁ。
かもめ食堂に住みつきたい。
このお店に取り付いた幽霊とかになっちゃいたい。
悪いことなんてしないからそこに置いといてくれーって気分だ。

ふら~っと旅行行くときに持って行きたい一冊です。
ああ、でも、さらにどこか行っちゃいそうになるかもー。

『FLY,DADDY,FLY』

2006-09-17 23:55:20 | 
金城一紀『FLY,DADDY,FLY』
鈴木一は、ごく普通の平凡なサラリーマン。
学生時代に知りあった妻と結婚し、
17歳になるひとり娘・遥が唯一の自慢。
ある日、娘が何者かに殴られ入院したという知らせが入る。
娘に怪我を負わせたのは、石原という男。
ボクシングの高校生チャンピオンで、父親は有名な俳優であり、
学校では品行方正で通っているという。
復讐を決意した鈴木は、包丁を手に石原の通う高校を目指すが、
そこは石原のいる高校ではなく、
その高校の生徒である朴舜臣に一発で殴り倒されてしまう。
目を覚ました鈴木から事情を聞いた舜臣とその仲間のゾンビーズは、
夏休みに鈴木を特訓させて石原を倒すという計画を立てる。。。
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以前読んだ、『レヴォリューションno.3』に出てくる
ゾンビーズというグループのシリーズ第2弾。
別に、前作を読まなくても読める作品です。
んでもって、岡田准一と堤真一で映画になったのの原作です。
それぞれの感想はコチラ↓
(『レヴォリューションno.3』『FLY,DADDY,FLY(映画)』)

先に映画を見てる分、どうしても岡田准一と堤真一として読んじゃうなぁ。
本だと、舜臣はそんなに男前でもなさそうなのに。
まぁ、性格は男前だが。
今回は、前作ほどゾンビーズが前面には出ていないんだけど、
やっぱり彼らの若々しさっていうか、
とにかくおもしろいことに一生懸命で、
自分達が世間から受ける差別とか偏見に立ち向かってるところとか、
そういうのが清々しくて好きです。
読んだあと、スッキリした気持ちになるんだよなぁ。
山下ほんとステキなキャラだわ。
かわいい。憎めないねぇ。
欲を言えば、前作のときみたいに、
“ギョウザ大好き!”とかおバカな掛け声やってほしかった

『真夜中のマーチ』

2006-09-15 02:46:08 | 
奥田英朗『真夜中のマーチ』
青年実業家気取りのパーティー屋ヨコケンこと横山健司。
むっつりすけべの一流商社マン、ミタゾウこと三田総一郎。
高飛車で強がりの元モデル、クロチェこと黒川千恵。
ひょんなことから出会った3人と
クロチェの賢い愛犬ドーベルマンのストロベリーは
10億円を奪う完全犯罪に乗り出す。
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めっちゃ軽く読める本でした。
おもしろいっちゃあおもしろいんだけど、
なんか物足りないんだよなぁって気分です。
本を読んだという気分ではなかったかも。
映画見てたみたいな感じ。
映画向きな作品なのかもしれない。
なんでこの題名なんだろう。
もっと洒落た題名あったと思うんだよなぁ。。。

つまらなくはなかったです。
ちょっと空いた時間にさらっと読むエンターテイメント作品といった感じ。

『なぎら☆ツイスター』

2006-09-09 17:11:05 | 
戸梶圭太『なぎら☆ツイスター』
飛行場もなく、新幹線も通らない、
あるのは場違いなほどでかいショッピングモールだけ。
そんな閉塞した田舎町・那木良。
この街で紛失した一千万円と共に消えた組員を探すために
東京のインテリヤクザ桜井は組員の滋野と乗り込んだ。
しかし桜井は、
様々な誤解から地元のヤクザと抗争を起こすハメに。
地元の暴走族、リストラ親父3人組、
そして正体不明の謎の生物“シャンバラヤン”…。
任侠度ゼロのヤクザ小説!
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連続してヤクザものだけど、
その前に読んだプリズンホテルとは中身は全然違います。
こっちはほんと任侠度ゼロだし、人情味も溢れてない。
命がまぁ軽いこと軽いこと。。。
でも好きです。
おもしろかった。
途中ちょっとエグいし、
あまりにも簡単に大勢の人が死にすぎて
ちょっとついていけなくなりそうだったけど、
なんだかんだでおもしろかった。
シャンバラヤンとかもうわけわかんないし。

たぶん、上手いんだと思うこの人。
すごいスピード感あって、テンポもいいし。
小さく場面を分けてるから、
どんどん進んでってるってのを味わえる。
読ませ上手だなぁ。
結局今日も図書館でこの人の本借りちゃったし。

『プリズンホテル3冬』

2006-09-07 01:42:35 | 
浅田次郎『プリズンホテル3冬』
今回我らが奥湯元あじさいホテル、
通称プリズンホテルにやってくるのは、
<血まみれのマリア>の異名をとる阿部看護婦長、
天才アルピニスト、
患者を安楽死させた医者、
リストラ寸前の編集者、
家出少年。
命への慈しみに満ちた癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。
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シリーズの1、2の感想はコチラ↓
(「プリズンホテル1夏」 「プリズンホテル2秋」)

続けざまに今まで手をつけたことのなかった作家さんの作品ばかり読んで
ちょっと疲れたので、安心して読めそうなものを。
おもしろかったです
1も2もおもしろかったんだけど、
2がちょーっと不満が残る感じだった分、
3はそれをぐーんと突き抜けてくれた気分でした。
いいね、この安定感というか安心感というか。
結果見えてるのにおもしろいというのは、
水戸黄門とかみたいなシリーズもんの時代劇とか、
特撮ヒーロー(特に戦隊モノ)とかに通じるものがある。
ちゃんと最後にはしっかり収まるって分かってるから
ドタバタしても何が起こっても気楽に読めるような。
今回はちょっと落ち着いた感じだったと思う。
前半は結構笑えたけど、
後半はほろりとさせるような。
笑いよりも人情味がたっぷり溢れてました。
んで、みんなめっちゃ愛らしいキャラになってる。
特に仲蔵親分。
今回は情けないだけなのかと思ったら
やっぱり決めるとこは決める。
そして母は強し。
あと、考ちゃんもめっちゃ愛らしい。
やっと素直になれて読んでるとほくほくしてしまう。
それから今回一番好きだったのは繁だな。
ホテルのみんなに育てられていい男になっちゃってるし。
アニタも好きだ。
あー、ここ行きたいなー。