satopのいろいろ日記

外資系金融に勤める31才OLの食、美、投資の日記

一人前になる為には

2007-07-23 | Weblog
山崎元さんがファンドマネジメントという本で「何年で一人前になるか」ということについて興味深いことを述べていました。H.Aサイモンらの研究によると、超一流の学者(ノーベル賞受賞者の中でも上の部に入るような)やモーツアルトのような作曲家、あるいはチェスの世界チャンピオンといった「傑出した仕事」をする為の一つの必須条件として、10年あるいはそれ以上の期間にわたってのその分野へのひたむきな注意の集中が必要だそうです。

またサイモンは、一つの意味のまとまりを持つ知識に「チャンク」という独特の単位を使用していますが、世界一流の「傑出した仕事」の背景には、その分野におけるチャンクをざっと5万ほど獲得する必要があり、この5万という数は、教養人の自国言語における語彙数に匹敵し、この獲得に約10年の集中的な努力が必要といっています。モーツアルトも羽生善治氏なども一流の領域に達するまで10年前後の集中的な努力を行ったと思われています。また山崎さんは、一人前のファンドマネージャーの修行期間として(一人前の線引きに個人差はあるがと断った後) 2年間の集中的な努力が必要としています。チャンクで言えば、1万語を超えたあたりで、これくらいのレベルになれば、なんとかその業界で会話らしい会話をできるのではないでしょか?私もよく、アナリストやベンダーに質問をした後、まだまだレベルに来ていないとよく言われたものです。(今でもよく言われますが)
たしかに、その業界で活躍している人々と会話をする為には、その会話が分かる程度の知識は必要です。クオンツ業界だと、BARRAのマルチファクターモデルを知らないと話にならないし、もう少しつっこめば、アルファってどう作るの?どう分析するの?なんて質問にも自分なりの考えを答えられないといけないですね。

英会話でもファイナンスの勉強でも、勉強はその効果が表れるのに、少し時間がかかります。イメージは、X軸に時間軸、Y軸にその効果をプロットしたら、底がeの指数関数のような感じ。始めは、その効果が表れるのに時間がかかりますが、徐々にその効果は目に見えるようになってきます。(やったらやった分の効果がでてくる)この時間がかかる部分を学生時代にできたら、一番良いことです。学生時代は、誰にも(仕事とかに)邪魔されず、まとまった勉強をするのにとっても適しているからです。私は金融や英語等の知識に関して、全然学生時代に勉強しなかったので、その効果が表れるのにすごく時間がかかりました。でも多少あきたり、へこたれたりしながらやり続ければ、効果は出てくると思います。

また最後に山崎さんは、これからファンドマネージャーを志す人は、ともかく2年間、集中的に頑張ったあかつきには、現在の自分とは一線を越す「プロ」になれると考えて努力してみてくださいと綴っています。逆に管理者から見ると、2年経って戦力化しないファンドマネージャーは、必要な努力をしていないか、適正がない可能性が高いので、2年がいわば損切りの判断だそうです。なかなかシビアな世界です。

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