WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

Apocalypse Now

2018-05-10 | Movie
私が観た映画の中でベスト1の映画は?
と聞かれれば迷うことなくこれをあげる。

「Apocalypse Now」
「地獄の黙示録」
今まで何十回と観たこの映画。
久々にまた観てみた。

午前10時の映画祭でスクリーンで観られるようだから行ってみようかな…

ということでなんか記事を書こうかなと思いましたが、
以前に書いた記事を見たらこれ以上書くことなくって、
すこし加筆訂正いたしまた。

フランシス・フォード・コッポラが
大ヒットしたゴッドファーザーの利益を
全て投げ打って撮った大作だったが
批評家の評判は分かれていて、
どちらかというと駄作という評価が多かった。

公開当時、中学生だった私はわくわくして劇場に足を運んだ。



多くの批評の通り、前半のロバート・デュバル演じる
キルゴア大佐のヘリコプターによる殺戮シーンにはしびれた。
ワグナーの「ワルキューレの騎行」をバックに、
ベトコンの村を襲撃する大迫力。

これは、全くの余談だが、
古代から中世の戦争では騎兵隊というのは
戦闘の切っ先を制して、敵を撹乱する役目を負う。
馬をヘリコプターに換えて、騎兵隊と言うのは
塩野七生のローマ人の物語を読んだときに気付いた。



プレイメイトが基地に設置された舞台でセクシーに踊り、
色気に飢えた兵士たちが扇情される圧倒的な欲望が表出されたシーン。



それに対してカーツ大佐に遭ってからの
後半の哲学的な静かな展開は、
トーンダウンして難解にうつったのは否めない。



この映画は2001年に特別完全版として53分もの
未公開シーンを追加して再映された。
それも観に行ったが、フレンチプランテーションのシーンと
プレイメイトとの再会のシーンが付け加えられて、
作品としての理解しやすさが増した。
しかし、どちらかというと、私は当初公開版の方が好きかな。


その後立花隆著「解読『地獄の黙示録』」を
読んで作品理解にとても役立った。
またメイキングの「ハート・オブ・ダークネス」を観たし、
妻のエレノア・コッポラの「撮影全記録」も読んだ。
そして原作であるジョゼフ・コンラッドの「闇の奥」も読んだ。

私なりに長い年月をかけてこの作品の理解を深めていき、
今ではかなりのところまで理解しているつもりである。

マーティン・シーン演じるウィラード大尉が、
不適切な言動をしているカーツ大佐に逢いに行って
その言動を断つという秘密任務を負う。
カーツは川の上流の奥深くに現住民を従えて、
王国を築いているという。

ベトナム戦争の真っ只中、
河を遡り、カンボジア国境あたりまで行って
カーツの王国に潜入しそして・・・



先ほど述べたキルゴアはサーフィンをするために、
ベトコンの潜む林をナパーム弾で焼く。
その狂気とカーツの狂気は一体何が違うのか。
ウィラードは自問しながら河を遡る。

ド・ラン橋での戦いでは、麻薬を打ちながら夢か現かわからない
兵士たちが銃を撃ちまくる幻想的な世界。

この映画が公開されたのと前後して、
「ディア・ハンター」「タクシー・ドライバー」や
「プラトーン」「フルメタル・ジャケット」など
たくさんのベトナム戦争を題材とした映画が公開された。

しかし真の意味でベトナム戦争の無意味さ、情けなさ、異常さを
表現したのはこの映画が随一だと思う。

アメリカがそれだけ行き詰まって戦争をしていた。
その大義名分に多くの若者が犠牲になっていった。
そんな時代に生きる人間がする戦争の滑稽さ、無力さ。

カーツ大佐を暗殺するという行為に一体どれだけの意味があるのか?

そんな根本的な苦悩を抱えながらウィラードは、
カーツの暗殺を決行する。



実はカーツ大佐を演じるマーロン・ブランド。
彼の出演料は膨大で、エンディングの脚本ができないまま、
映像撮りの日程が進んでいった。
エンディングを描けないコッポラはほとんど心神喪失状態で、
ブランドとの撮影を行った。
そういった情報を得て観ると確かにその苦悩が映像の中に、
垣間見られる。



そんなこんなを全て包括して
やっぱりこの映画の存在感はすごい。
ものすごい迫力を持って私たちの前に立ちはだかる。

意味のない戦争によって、
意味のない殺戮を犯す。

そんなことは全く必要のないことだと思うのだが、
意味のないことをするのが人間なのである。

人間は生きているからこそ死んでいく。
あるいは、死んでいくからこそ生きている。
表裏一体のこの逆説的なテーゼこそが唯一
人間の人間たる所以なのかもしれない。

もういいというほど観ているが、
なかなか飽きがこない理由はそのあたりにありそうである。
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