年のはじめに

年が改まった。
なのにこの閉塞感は何だろうなと思う。
いろいろな年明けがあり、
私もまた例年のごとく、近所にある山頂で初日の出を待った。
地平にどんよりした雲のたなびく初春。
予想時刻より30分ほど遅れて、
雲の上から顔を出した太陽。



万物は決して一つところに留まらず生々流転する。
それは地球上のもののみならず、
膨張し続ける宇宙においてもさもありなん。

行き詰まりを感じていた30歳代中ごろ。
人生をやり直したいという衝動に駆られ、
うつ病になった。
そんな感覚は今も残ってはいるが、
その人生があってこその今の自分がいる。
40歳も半ばになって、ようやくそんなことが理解できるようになった。

万事は巡り巡りながら現出の様に辿りつく。
ゲームのようにリセットすれば何もかもおしまい。
そんな人生は果たしてないのである。

嫌であろうがなかろうが爪あとを残して生きるのが人の生き様。
各地で無差別の殺人や自殺があとを絶たないが、
それは跡を消そうとする人間の行い。

しかし生きていること自体、多かれ少なかれ他人に何らかの迷惑をかけ、
世話をしてもらい、そして悲しみや喜びを分かち合う。
そんなことで人生の足跡を残しているということを認める。
案外そんな基本的なことが心底分かっている人間が少ないように思う。

それこそが人としての業。
それを認めて尚且つ生きる。
それこそが人生の最も過酷なことだと思う。

厳しいことかもしれない。
加えて厳しい時代である。

そんな時代こそ我々大人と言える人間が、
若い世代にそれを受け継がなければ・・・
と思いつつ2009年激動の年は幕を明ける。

実は案外難しいことなのかもしれない