WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

現代社会の縮図

2006-11-24 | Movie
最近、現代の日本の社会で問題になっていることを、
象徴しているような映画をDVDで二本借りて見た。


一つは「誰も知らない」。
2年前に長男役の柳楽優弥君がカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞して、
話題になった映画だ。ご覧になった方も多いと思う。
ストーリーはうっすらと把握していて、
ずっと見たいとは思っていて、レンタル店で何度となく手を伸ばしたのだが、
どこかにためらいがあった。
満を持してというべきか、機が熟したというべきか、やっと見ることができた。

ネグレクトの話。
実際に東京であった話をベースにしていると冒頭の字幕に出てくる。
母親は「私が幸せになってはいけないの?」と、4人の子供たちを、
置き去りにしていく。
長男が懸命に残されたみんなの世話をする姿が痛ましくて、
思わず目を背けたくなる。
ドキュメンタリーのようなタッチのカメラワークに、日常性を感じる。
これは特別な話ではない、目を向けないから分からないだけで、
結構あなたの周りで起こっているのだというメッセージを読み取る。
お金が尽きて困窮した長男にコンビニの店員が言う。
「警察か施設に連絡すれば?」
「そうなれば、兄弟4人一緒に暮らせない」
この言葉に、日本の福祉施策の弱点を見たような気がした。


もう一本は「明日の記憶」。
若年性アルツハイマーの話。

最近人の名前がとみに思い出せない私は、
身につまされるような内容である。
広告会社の部長渡辺謙が発病し、
樋口加奈子がそんな夫を支える妻を好演している。
部下の名前が思い出せない。
永年通いなれた会社の場所が分からなくなる。
そんな状況に置かれたら、ものすごいショックだろう。

養老 孟司の「唯脳論」ではないが人間の世界は脳が認知している世界。
哲学でいうところの現象学の分野になるが、
私には青に見えている色が、他人には緑に見えているかもしれない。
記憶がなくなり、日常生活の繋がりがなくなっていく。
そうなったらそのことを認知して生きていけるだろうか?
病気だからと割り切って前向きに生きられるだろうか?
果たしてそんなことも考えられないのだろうか?
周りの人間は引きずられて、その人生をふってしまわないか?

二つの映画とも決してハッピーな終わり方ではない。
むしろ救いようがない。
解決できそうもない問いを投げかけたまま。
私も見終わった後、呆然と考え込んでしまった。

しかしこんな映画が日本で作られて、
興行できそこそこヒットするようになったというのは特筆に価すると思う。

2 コメント

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コメントありがとうございました (PCU広報)
2006-11-25 01:10:08
この2つの映画面白そうですね。
「明日の記憶」は原作を読もうか、DVDを借りようか迷っていましたがまずDVDをみてみます。

テンプレートカスタマイズいいですね!
緑とオレンジのコントラストが、森の音様の
ブログの自然な雰囲気とマッチしていると思います。
クリスマスの雰囲気とも合いますし。

私もカスタマイズに取り組んだときには
2週間くらい、写真を貼っては変えを繰り返し
やっとちょうどいいバランスになりました。

gooブログは、ウェザースティッカーやブログペット
アマゾンの検索枠など使えないので
発展性は乏しいのですが、落ち着いた感じに
仕上がるので±0というところでしょうか。

また、フライフィッシングなどいい写真が
とれたら是非トップ画像にお願いします。
楽しみにしています。
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PCU広報さまへ (森の音)
2006-11-25 11:27:37
ブログのカスタマイズ、
本当に参考になりました。
goo内のcssのマニュアル長ったらしい割りに、
肝心のことが書いていなくって。
凝りだしたら色々、出来そうですね。
頑張ります。

「明日の記憶」
厳しい映画でした。
私の拙い介護経験から言っても、
認知症の方が心に刻んでいる思い出は、
無茶苦茶楽しかったことか、
苦しかったことかのどちらかです。
どうせなら前者になりたいですね。

コメントありがとうございます。
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