今回は、残業代請求に関する判例を紹介します。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
本件は,被告に雇用されて就労していた原告が,〔1〕その退職勧奨に応じて被告を退職したことについて,当該退職の合意が錯誤又は信義則違反により無効であると主張し,雇用契約に基づいて,その地位の確認及び退職日後から平成21年1月までの基本給及び季節賞与の支払を求めるとともに,〔2〕雇用契約に基づいて,在職中の所定時間外勤務(残業)及び深夜勤務に対する就業規則及び給与規程上の時間外勤務(残業)手当(残業代)及び深夜勤務手当(以下,これらを併せて「時間外勤務(残業)手当(残業代)等」という。)の支払を求めた事案である。
なお,原告は,当初,〔2〕時間外勤務(残業)手当(残業代)等のみを請求する訴えを提起したが,本件審理の過程において,同訴えを交換的に変更することにより〔1〕の請求を追加し,雇用契約上の地位の確認並びに過去分の給与及び時間外勤務(残業)手当(残業代)等(ただし,上記退職に伴って支払われた退職金相当額を控除した後のもの)を請求することとなった。
2 判断の前提となる事実(特に証拠等を掲記していないものは当事者間に争いがない。)
(1)当事者
ア 被告
被告は,通信機器の開発,製造,販売及び保守等の業務を営む株式会社であり,平成19年4月1日,日本アルカテル株式会社(以下「日本アルカテル」という。)と日本ルーセント・テクノロジー株式会社が合併し,発足した(〈証拠略〉)。
イ 原告
原告は,雇用契約に基づいて,平成18年6月26日から日本アルカテルにおいて,平成19年4月1日から同年10月31日まで被告において,プログラム・マネージャーとして就労してきた者である。
(2)原告と日本アルカテルないし被告との間の雇用契約の内容
原告は,平成18年6月13日,日本アルカテルとの間で,その労働条件等について合意文書を作成することにより,以下の内容の雇用契約を締結した(〈証拠略〉)。
期間 定めなし
給与 総額 (目標)1220万円
内訳 基本給 月額67万1000円
季節賞与 134万2000円(6月及び12月)
インセンティブ・ボーナス 146万4000円
交通費 自宅と主要勤務地との移動に必要な交通費
採用日 平成18年6月26日
業務等 プログラム・マネージャー(オペレーションズ部門のディレクターであるAに報告する立場)
(3)日本アルカテルの就業規則及び給与規程の規定
ア 日本アルカテルの就業規則の規定
原告に適用される(弁論の全趣旨)日本アルカテルの就業規則(以下「本件就業規則」という。)には,以下の規定がある(〈証拠略〉)。
「第〈3〉―1条 就業時間
1 所定労働時間は1週実働37.5時間とし,1日の労働時間は休憩時間を除き7.5時間とする。
2(略)」
「第〈3〉―2条 始業・終業時刻,休憩
1 始業・終業時刻ならびに休憩時刻は次の通りとする。
始業:9時
終業:17時30分
休憩:12時~13時(1時間)
2(略)」
「第〈3〉―3条 休日
1 社員の休日は次の通りとする。
(a)土曜日
(b)日曜日
(c)国民の祝日および国民の休日
(d)夏期休日(8月14日,15日)
(e)年末年始(12月29日~31日,1月2日,3日)」
「第〈3〉―6条 時間外勤務(残業)および休日勤務
1 会社は業務上必要がある場合は,第〈3〉―1条に定める労働時間を超えて勤務させ・・・ることがある。
2 所属長から事前の命令または許可を受けて時間外・・・勤務した場合支給対象社員には,別に定める「給与規程」により割増賃金を支給する。
3(略)」
「第〈3〉―8条 適用除外
1 監督もしくは管理の地位にある社員,機密の事務を取り扱う社員,その他特定の職務にある社員については,本章(第〈3〉章)に定める就業時間,休憩,休日,時間外勤務(残業)および休日勤務の規定を適用しないことがある。」
「第〈6〉―1条 給与
1 社員の給与に関する事項は,別に定める「給与規程」によるものとする。」
企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士の費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉、解雇、刑事事件や借金の返済、敷金返還や原状回復(事務所、オフィス、店舗)、遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
本件は,被告に雇用されて就労していた原告が,〔1〕その退職勧奨に応じて被告を退職したことについて,当該退職の合意が錯誤又は信義則違反により無効であると主張し,雇用契約に基づいて,その地位の確認及び退職日後から平成21年1月までの基本給及び季節賞与の支払を求めるとともに,〔2〕雇用契約に基づいて,在職中の所定時間外勤務(残業)及び深夜勤務に対する就業規則及び給与規程上の時間外勤務(残業)手当(残業代)及び深夜勤務手当(以下,これらを併せて「時間外勤務(残業)手当(残業代)等」という。)の支払を求めた事案である。
なお,原告は,当初,〔2〕時間外勤務(残業)手当(残業代)等のみを請求する訴えを提起したが,本件審理の過程において,同訴えを交換的に変更することにより〔1〕の請求を追加し,雇用契約上の地位の確認並びに過去分の給与及び時間外勤務(残業)手当(残業代)等(ただし,上記退職に伴って支払われた退職金相当額を控除した後のもの)を請求することとなった。
2 判断の前提となる事実(特に証拠等を掲記していないものは当事者間に争いがない。)
(1)当事者
ア 被告
被告は,通信機器の開発,製造,販売及び保守等の業務を営む株式会社であり,平成19年4月1日,日本アルカテル株式会社(以下「日本アルカテル」という。)と日本ルーセント・テクノロジー株式会社が合併し,発足した(〈証拠略〉)。
イ 原告
原告は,雇用契約に基づいて,平成18年6月26日から日本アルカテルにおいて,平成19年4月1日から同年10月31日まで被告において,プログラム・マネージャーとして就労してきた者である。
(2)原告と日本アルカテルないし被告との間の雇用契約の内容
原告は,平成18年6月13日,日本アルカテルとの間で,その労働条件等について合意文書を作成することにより,以下の内容の雇用契約を締結した(〈証拠略〉)。
期間 定めなし
給与 総額 (目標)1220万円
内訳 基本給 月額67万1000円
季節賞与 134万2000円(6月及び12月)
インセンティブ・ボーナス 146万4000円
交通費 自宅と主要勤務地との移動に必要な交通費
採用日 平成18年6月26日
業務等 プログラム・マネージャー(オペレーションズ部門のディレクターであるAに報告する立場)
(3)日本アルカテルの就業規則及び給与規程の規定
ア 日本アルカテルの就業規則の規定
原告に適用される(弁論の全趣旨)日本アルカテルの就業規則(以下「本件就業規則」という。)には,以下の規定がある(〈証拠略〉)。
「第〈3〉―1条 就業時間
1 所定労働時間は1週実働37.5時間とし,1日の労働時間は休憩時間を除き7.5時間とする。
2(略)」
「第〈3〉―2条 始業・終業時刻,休憩
1 始業・終業時刻ならびに休憩時刻は次の通りとする。
始業:9時
終業:17時30分
休憩:12時~13時(1時間)
2(略)」
「第〈3〉―3条 休日
1 社員の休日は次の通りとする。
(a)土曜日
(b)日曜日
(c)国民の祝日および国民の休日
(d)夏期休日(8月14日,15日)
(e)年末年始(12月29日~31日,1月2日,3日)」
「第〈3〉―6条 時間外勤務(残業)および休日勤務
1 会社は業務上必要がある場合は,第〈3〉―1条に定める労働時間を超えて勤務させ・・・ることがある。
2 所属長から事前の命令または許可を受けて時間外・・・勤務した場合支給対象社員には,別に定める「給与規程」により割増賃金を支給する。
3(略)」
「第〈3〉―8条 適用除外
1 監督もしくは管理の地位にある社員,機密の事務を取り扱う社員,その他特定の職務にある社員については,本章(第〈3〉章)に定める就業時間,休憩,休日,時間外勤務(残業)および休日勤務の規定を適用しないことがある。」
「第〈6〉―1条 給与
1 社員の給与に関する事項は,別に定める「給与規程」によるものとする。」
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