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顧問弁護士(法律顧問)

顧問弁護士(法律顧問)の日々のメモです。残業代請求、解雇、借金、交通事故の問題にも注力しています。

刑事事件の裁判例

2011-02-02 15:50:17 | 交通事故
このブログでは、逮捕などの刑事事件についての裁判例を紹介しています。
1 本件公訴事実の要旨は,「被告人は,行政書士でなく,かつ,法定の除外事由がないのに,第1 共犯者甲と共謀の上,業として,別表1記載のとおり,平成18年6月25日から平成19年3月6日までの間,前後3回にわたり,北海道斜里郡の被告人方において,3名から依頼を受け,事実証明に関する書類である家系図合計3通を作成し,その報酬として合計33万8685円の交付を受け,第2共犯者乙と共謀の上,業として,別表2記載のとおり,平成18年7月10日から平成19年4月1日までの間,前後3回にわたり,前記被告人方において,3名から依頼を受け,事実証明に関する書類である家系図合計3通を作成し,その報酬として合計56万7000円の交付を受け,もって行政書士の業務を行った。」というものであり,同公訴事実を記載した起訴状には,別紙として,依頼日,依頼者,家系図交付日,報酬額等を記載した「別表1」及び「別表2」が添付されていた。 第1審判決は,上記公訴事実どおりの事実を認定した上,刑法60条,行政書士法21条2号(平成20年法律第3号による改正前のもの。以下同じ。),19条1項を適用して被告人を懲役8月,2年間執行猶予に処し,原判決もこれを維持した。すなわち,原判決及びその是認する第1審判決は,被告人が作成した家系図合計6通(以下「本件家系図」という。)は,行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」に該当するとして,被告人が業として本件家系図を作成した行為は同法19条1項に違反し,同法21条2号に該当すると判断した。2 所論は,本件家系図が上記「事実証明に関する書類」に該当しないと主張するところ,原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。(1)本件家系図は,戸籍の記載内容を図に表し,親族の名,続柄,出生の年月日及び出生地,死亡の年月日及び死亡地,婚姻の年月日等を記載し,右側上部に「何々(姓)家系図」,左側下部に日付及び「A工房」の文言を付記した巻物状のものである。(2)被告人は,依頼者に送付した被告人作成のパンフレット等に,家系図は1枚の和紙に記載し,その表装はプロの表装師が行い,桐の箱に収めるなどと記載し,現に,取寄せた戸籍謄本等をもとに,パソコンのイラスト作成ソフトを用いて家系図の原案を作成すると,その電子データを印刷業者に送って美濃和紙に毛筆書体で印字させ,こうしてできたものを表装業者に送って掛け軸用の表装具を使って表装させ,さらに,これを保管するための桐箱を木箱製作業者に作成させるなどして本件家系図を作成した。(3)上記パンフレットには,「こんな時にいかがですか?」という見出しのもとに「長寿のお祝い・金婚式・結婚・出産・結納のプレゼントに」,「ご自身の生まれてきた証として」,「いつか起こる相続の対策に」と記載されているものの,本件の各依頼者の家系図作成の目的は,自分の先祖の過去について知りたい,仕事の関係で知り合った被告人からその作成を勧められて作成した,先祖に興味があり和紙で作られた立派な巻物なので家宝になると思った,自分の代で家系図を作っておきたいと考えたなどというもので,対外的な関係での具体的な利用目的を供述する者はいない。3 上記の事実関係によれば,本件家系図は,自らの家系図を体裁の良い形式で残しておきたいという依頼者の希望に沿って,個人の観賞ないしは記念のための品として作成されたと認められるものであり,それ以上の対外的な関係で意味のある証明文書として利用されることが予定されていたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。そうすると,このような事実関係の下では,本件家系図は,依頼者に係る身分関係を表示した書類であることは否定できないとしても,行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」に当たるとみることはできないというべきである。4 したがって,被告人が業として本件家系図を作成した行為は行政書士法19条1項に違反せず,被告人に同法違反の罪の成立を認めた原判決及び第1審判決は,法令の解釈適用を誤った違法があり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決及び第1審判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。 よって,刑訴法411条1号により原判決及び第1審判決を破棄し,同法413条ただし書,414条,404条,336条により被告人に対し無罪の言渡しをすることとし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官宮川光治の補足意見がある。
なお、企業の担当者で、従業員の逮捕など刑事弁護事件についてご相談があれば、契約している顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当な解雇保険会社との交通事故の示談交渉未払いの残業代請求多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返還(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

交通事故の裁判例

2010-11-25 18:01:00 | 交通事故
このブログでは、各業界の企業の顧問弁護士をしている者の立場から、一般的に役立つと思われる法律知識や裁判例などを紹介しています。テーマは特に限定していませんが、個人の方の法律問題としては、多重債務(借金)の返済の問題、不当な整理解雇の相談、未払いの残業代の請求、交通事故の示談交渉や慰謝料交渉、知人が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護の相談も増えているため、扱うテーマもそういう偏りがあるかもしれません。なお、法改正や新判例などにより、記事をアップしたときには新しい情報であっても、現時点では情報として古いものになっている可能性があります。また、それなりに気をつけていますが誤植など不完全な内容があるかもしれませんので、ご了承ください。実際に法律問題に直面した会社の方は、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士がいない企業も多いようです。顧問弁護士の費用やサービス内容は区々ですから、企業の顧問弁護士をしている法律事務所のホームページなどをよく調べることをお勧めします。個人の方で、不当解雇、交通事故、債務返済(借金返済)、刑事事件、残業代請求などの法律問題について相談したい方は、弁護士にご相談ください。

交通事故の裁判例を紹介します。原告の本件受傷による後遺障害の症状固定日は、平成一三年一二月二八日で原告は当時二五歳であること、原告の年収は、三四八万八二五七円であること、原告の後遺障害は、骨盤骨に著しい変形を残すものとして後遺障害等級表一二級五号に該当するものであること、原告が症状固定後にも歩行時に軽度の左膝関節痛があると訴えている点については、左大腿骨顆上部骨折後、変形なく骨癒合が得られており、訴え症状の将来的残性を説明しうる有意な所見も見られないことから自賠責上の後遺障害としては該当しないこと、原告の左膝関節の可動域は良好であること、しかしながら、原告としては、症状固定後も、左膝痛とともに左膝周辺が重くてだるく、力が入りにくい状態であり、通常の歩行は特に不都合がないが、長時間歩行すると左膝の痛みが強くなりその影響でびっこを引くようになり、走ることはできず、階段を降りるときも左膝痛や力が入りにくいことから普通よりゆっくり降りている状態が続いていること、原告は、平成六年四月、建設省国土地理院に入局し、平成七年四月から中部地方測量部に配属となり、測量業務に従事している公務員であるところ、本件受傷後も特段収入の減少はなく、仕事面でも同僚に重量物を運んでもらったり、測量現場への出向回数を減らしてもらうなどの配慮を受けて、現在までのところ昇格で不利益を受けることもなく、今後解雇等されることがないであろうこと等の諸事実が認められる。なお、原告は、後遺障害として、骨盤骨の著しい変形とともに左膝痛が残存しており、骨盤骨の著しい変形は後遺障害等級表一二級五号に、左膝痛は同表一二級一二号にそれぞれ該当し、これらの後遺障害を併合すると同表一一級相当となる旨主張するが、上記認定事実に照らして、原告の同主張は採用できない。以上の事実によれば、原告に一二級五号の後遺障害が認められるものの、後遺障害による逸失利益は特段の事情がない限り現実の損害がなければ認められないところ、原告には、現実の減収がないから、原告の特別の努力により減収を防止ないしは回復している等特段の事情の主張立証がない本件においては、原告の本件後遺障害による逸失利益は認め難いといわざるを得ず、原告の職場での不自由、昇格面や長期的将来における不安等の諸問題については、後記の後遺障害の慰謝料額について考慮することが相当である。blog