顧問弁護士(法律顧問)

顧問弁護士(法律顧問)の日々のメモです。残業代請求、解雇、借金、交通事故の問題にも注力しています。

交通事故の裁判例

2010-11-25 18:01:00 | 交通事故
このブログでは、各業界の企業の顧問弁護士をしている者の立場から、一般的に役立つと思われる法律知識や裁判例などを紹介しています。テーマは特に限定していませんが、個人の方の法律問題としては、多重債務(借金)の返済の問題、不当な整理解雇の相談、未払いの残業代の請求、交通事故の示談交渉や慰謝料交渉、知人が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護の相談も増えているため、扱うテーマもそういう偏りがあるかもしれません。なお、法改正や新判例などにより、記事をアップしたときには新しい情報であっても、現時点では情報として古いものになっている可能性があります。また、それなりに気をつけていますが誤植など不完全な内容があるかもしれませんので、ご了承ください。実際に法律問題に直面した会社の方は、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士がいない企業も多いようです。顧問弁護士の費用やサービス内容は区々ですから、企業の顧問弁護士をしている法律事務所のホームページなどをよく調べることをお勧めします。個人の方で、不当解雇、交通事故、債務返済(借金返済)、刑事事件、残業代請求などの法律問題について相談したい方は、弁護士にご相談ください。

交通事故の裁判例を紹介します。原告の本件受傷による後遺障害の症状固定日は、平成一三年一二月二八日で原告は当時二五歳であること、原告の年収は、三四八万八二五七円であること、原告の後遺障害は、骨盤骨に著しい変形を残すものとして後遺障害等級表一二級五号に該当するものであること、原告が症状固定後にも歩行時に軽度の左膝関節痛があると訴えている点については、左大腿骨顆上部骨折後、変形なく骨癒合が得られており、訴え症状の将来的残性を説明しうる有意な所見も見られないことから自賠責上の後遺障害としては該当しないこと、原告の左膝関節の可動域は良好であること、しかしながら、原告としては、症状固定後も、左膝痛とともに左膝周辺が重くてだるく、力が入りにくい状態であり、通常の歩行は特に不都合がないが、長時間歩行すると左膝の痛みが強くなりその影響でびっこを引くようになり、走ることはできず、階段を降りるときも左膝痛や力が入りにくいことから普通よりゆっくり降りている状態が続いていること、原告は、平成六年四月、建設省国土地理院に入局し、平成七年四月から中部地方測量部に配属となり、測量業務に従事している公務員であるところ、本件受傷後も特段収入の減少はなく、仕事面でも同僚に重量物を運んでもらったり、測量現場への出向回数を減らしてもらうなどの配慮を受けて、現在までのところ昇格で不利益を受けることもなく、今後解雇等されることがないであろうこと等の諸事実が認められる。なお、原告は、後遺障害として、骨盤骨の著しい変形とともに左膝痛が残存しており、骨盤骨の著しい変形は後遺障害等級表一二級五号に、左膝痛は同表一二級一二号にそれぞれ該当し、これらの後遺障害を併合すると同表一一級相当となる旨主張するが、上記認定事実に照らして、原告の同主張は採用できない。以上の事実によれば、原告に一二級五号の後遺障害が認められるものの、後遺障害による逸失利益は特段の事情がない限り現実の損害がなければ認められないところ、原告には、現実の減収がないから、原告の特別の努力により減収を防止ないしは回復している等特段の事情の主張立証がない本件においては、原告の本件後遺障害による逸失利益は認め難いといわざるを得ず、原告の職場での不自由、昇格面や長期的将来における不安等の諸問題については、後記の後遺障害の慰謝料額について考慮することが相当である。blog