ちょっと前に話題になったこの記事なんですが…ペットショップの問題は難しいですね(◎連載となっているので他の記事も読んでみて下さい。記事を読まないと意味不明の記述があります)。
そもそも犬の寄生虫であるジアルジアや糞線虫またはコクシジウムなどは、個別に隔離し寄生虫の卵などで汚染された糞便汚れをしっかり掃除できていれば、薬で駆除することは簡単なのです(猫のトリコモナス・フィータスは、ちとややこしい)。
しかし多頭飼育などで糞便汚れをクリーンにできない環境であったりすると、根絶することができません。
そのためかブリーダーやペットショップ(これはクーリクだけの問題ではありません)では、飼い主さんに引き渡す一週間前とかになってから薬を与えて誤魔化しているようなケースがけっこうあるように感じます。
飼い主さんの家へ行けば自動的に個別管理化するため再発リスクも減り、再発したとしても信頼できる動物病院へ行けば、大抵はそんな費用もかからず治ってしまうのです。
…そうなると負担も少ないことから、責任の所在があやふやにできてしまうのでしょう。
きちんと検便してターゲットを絞り、適切な薬を適切な用量で適切な期間与えれば治るのですが、子犬は体重が変動することもあってか、用量も期間も中途半端になっていたりするのではないでしょうか?
高用量や投薬期間が長いと副作用が出てしまう可能性があり、低用量や投薬期間が短いと効きも悪く、耐性を持つものが生まれてしまう可能性さえ出てきます。
それを防ぐには、信頼できる獣医師によるこまめな検便などのチェックが不可欠なのですが……
ブリーダーもペットショップも、しっかりチェックする口うるさい先生の病院へは足が向かわず、言われるがままテキトーに薬だけ出してくれる優しい先生の病院にばかり行ってしまうのでしょう。
しっかり管理していくには、それなりのコストと厳格さが必要なのです。
が…それと、世にはびこる安心半額プラン――あんまり変わらないか、逆に損してませんか?――などのような定期引き落とし術により、いつの間にか高度最先端などを装うだけと化すキラキラ病院のボッタク理論が混ざり合っていき…一般の方はもちろん、当人さえも判別不能となります。
そこに下痢など初期症状では区別がつきにくいパルボウイルスなどがからんでくるから更に複雑になっていきます(寄生虫感染で発熱することはあまりない)。
上述のような寄生虫感染だけでは、よほど長期間放置しない限り命にかかわることはなくても、パルボやジステンパーウイルス(初期の呼吸器症状は命にかかわることがないケンネルコフと同様でまぎらわしい)の感染では命にかかわるし、入院が必要なので費用も高額となってしまうのです。
混ざり合ってきてしまうことなのですが、ここをごちゃ混ぜにしないことが重要です。
パルボウイルスはアルコールが効かず、コロナウイルスより消毒剤への耐性が強いことで有名なウイルスです。しかも、感染すると46日くらい便の中にウイルスを排泄する可能性さえあるとのことです。
効果的な消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム0.37%なら15分、0.75%なら1分以上おく――0.18%だと30分以上?!)はあるのですが、環境中に有機物(土壌、糞便、血液、敷物、ゴミ)があると、本来なら効くはずの濃度でも効かなくなってしまうようです。
そんなわけで、とっても厄介なウイルスなのですが、それを面倒な清掃消毒や個別管理、確実なワクチン接種を免責する言い訳にし過ぎないことが大切です(糞便汚れをしっかりふき取り、濃い消毒液で時間をかけて消毒しましょう)。
ペットショップでこのようなトラブルが起こってしまったとしても、従わざるを得ない立場の店員さんに怒りをぶつけるのはやめましょう。
下に押し付け逃げ回ることも多いので難しいかもしれませんが、なるべく上の立場の方となるべく冷静に瑕疵担保責任(契約不適合責任)について交渉するしかありません。
想定外のことが起こって怒りが込み上げてくることもあるでしょう…数十万以上払って犬や猫を受け入れたのに……。
でも、そうなってしまった時点では、一番大切なのは批判ではなく、その子ができるだけ健康に生きていけること…そして負担も最低限であることを目指しましょう(病院選びによっては更なる悲劇!)。
また考えてほしいのは、可愛さや小ささなど表面的なことばかりに目を奪われる人が多いから、そういう子ばかりが交配され血が濃くなり、先天的に弱かったり、膝蓋骨脱臼などの遺伝疾患を持つようになってしまうであろうことです。
そういう所に弱いのが人間ですから仕方ないことなのですが、見た目がいまいちだったりしても、特別な何かを持ち、かけがえのないものを感じさせてくれる子がいます(一緒に暮らして愛情のキャッチボールができていれば必然的にそうなっていくとも言えますね)。
犬種による性格の傾向なども調べ、自分のライフスタイルと合うかどうか考慮することも必要ですが、最終的には、その子の気質――見た目だけでない何かを少しでも観察してほしい!と思います。