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Four Season Colors

現代詩と映画、読書、ゲーム、スポーツなど雑文を掲載
詩集4冊(各110円)をAmazon「Kindleストア」で販売中

ラストNote

2024-12-12 | 
日常から離れ立ち止まり

追い抜く舌打ちを横目に

スライドの照合が始まる

不確かに鮮やかな着色に

転嫁された甘味が絡まり

時空の跳躍に動く耳石に

サウンドの波長が狭まる

鼻奥こびり付いた香料に

ぼんやりと焦点が定まり

呼び起こす記憶のノート

読書のよもやま(2024.12.09)

2024-12-09 | 雑文
「エンド・オブ・ライフ」佐々涼子(集英社
文庫)

著者の作品は「駆け込み寺」「紙つなげ!」
「エンジェルフライト」と読み、本作で4作
目となった。

取材で知り合った訪問看護師に重い癌が見つ
かり、本人からの依頼により書籍化を前提に
話を聞き続けた日々をまとめている。

在宅による終末期医療に多く携わった看護師
による、患者となった自身を通した訪問介護
について、後進向けに本にまとめる。

そのはずだったのだが、著者が取材に赴いて
も、看護の専門的な話は一向に出ず、そのま
ま最期の時を迎える。

裏表紙ではノンフィクションとされているも
のの、本書は終末期と死とテーマとしたエッ
セイに近い。

癌が見つかる前に取材した在宅医療と、患者
である看護師と、著者の過去を交え、在宅医
療と死について考え、語る。

そもそもノンフィクションを目的とした取材
ではなかったから、仕方がないのかもしれな
いが、内容はわりと雑多な感があり。

構成はよくある今と過去を交互に進める形式
を取っているが、ただ交互であるだけで、内
容に交わりもなく、必然性は薄い。

良くも悪くも、対象に一歩踏み込むことはな
い(なくなった)著者であるから、在宅医療
の実話を集めたものとして読めてしまう。

そこに著者の在宅医療と死について思うこと
を挟み、結果的に、読者はそこから終末期の
在宅医療についてを考えることとなる。

3冊目の「エンジェルフライト」の著者紹介
で、著者の佐々さんが9月にお亡くなりにな
ったことを知った。

本屋で気軽に手に取ることができる一般向け
のノンフィクションやルポルタージュは、本
当に貴重なものである。

今後、佐々さんの新著が増えることはないと
いうことを、とても残念に思う。佐々涼子さ
んのご冥福をお祈りいたします。

Chase to Chase

2024-12-05 | 
ルールが少し違うなら

いつまでも終わらない

ラン・ラン・チェイス

トーンが少し違うなら

いつまでも終わらない

ラブ・ラブ・チェイス

タームが少し違うなら

いつまでも終わらない

ラグ・ラグ・チェイス

読書のよもやま(2024.12.02)

2024-12-02 | 雑文
「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」佐
々涼子(集英社文庫)

ここのところ、著者の作品を立て続けに読ん
でおり、本作で3冊目の読み終りとなった。

現在、4冊目を読み進めているが、含めて著
者の作品の中では、本作「エンジェルフライ
ト」が断然、一番面白い。

本書は、国内の外国人の遺体、国外の日本人
の遺体を適切に処置して本国に送り届ける会
社の人々のルポルタージュである。

そういった内容であるから、面白いというと
誤解を招きそうでもあるが、間違いなく本書
が代表作といえるのではないか。

自分は、既読の「駆け込み寺の玄さん」と
「紙つなげ!」は、職業的ルポによる記録の
色が強いという感想だった。

しかし、本作は、著者も冒頭で述べるように、
元々著者が興味関心を持ち、拒否されても何
度も取材を依頼した題材となる。

ここには、決して依頼や探し出した題材では
ない対象への熱があり、既読の2作品よりも
明らかに対象に踏み込んでいる。

現代の日本では、大災害や大事故でもない限
り、死体に触れることは少なく、国内の外国
人、国外の日本人の死体は、言うまでもない。

国内の日本人の死者に比べれば、断然に少な
い数であるが、かの人々の死体は、確かに発
生して、多くは送還される。

しかも、多くは準備のない、予期せぬ死であ
り、送還する先の遺族もまた、準備のない死
の受け取りとなる。

であるから、国内外の関係者から絶大な信頼
を得るその会社による送還は、ただの送還で
はない。

死者と遺族のために、出来得る限りの最大の
処置を行い、細心の注意を払い送り届ける。

誰しもにできる職業ではないこの仕事に、妥
協なく従事する姿には感銘を受け、敬意しか
ない。

テーマは「死」と重いものであるが、知らな
い世界を知り、考えることができる、間違い
なくオススメの作品。