「人生相談 谷川俊太郎 対談集」谷川俊太
郎ほか(朝日文庫)
1961年から1981年に発表された6つ
と、少し間が空いて2004年に発表された
1つ、計7つの対談からなるアンソロジー。
対談者は、谷川徹三、外山滋比古、鮎川信夫、
鶴見俊輔、野上弥生子、谷川賢作の6人。
数のズレは、谷川徹三との対談が2つあるこ
とにより、また、谷川賢作とはあとがきとし
て2021年に本書を振り返ってもいる。
文学系によらず、対談物で師弟関係ではなく、
血縁関係の親子が対談をしているのは珍しい
のでは。
そうした対談では、もちろん親子ならではの
話にも及んではいる。
しかし、基本的には一般的な対談と同じく各
々の専門分野を話題の中心として、個々の差
異や特徴を過去に探るものが多い。
1931年生まれである谷川俊太郎は30代
から50代の壮年期、時代背景は高度成長期。
その谷川俊太郎が自分のためにしている対談
という印象があり、知識的な方面で為になっ
たり、没入感が強いというものではない。
専門的な知識は不要で、気軽にサクサクと読
め、谷川家三代や対談相手のことを知る対談
集になっている。
谷川俊太郎の詩に触れ、この詩人はどういう
人なのだろうと興味を持った人におススメ。
また、1930年代あたりの生まれの方は、
生きた時代の共有という方面でも楽しめるの
かもしれない。
個人的には、人生の、環境の不公平を思い知
る作品でもあったが、それはあまりにも個人
的な感想なので。