響きあうA"LIFE & ~『ピッコロの冒険』~

ピッコロの自分探し、広大な内なる意識へと冒険の旅の物語
&つれづれの内なる対話、 A"LIFE&ONENESS

グレイトゲーム & キップリングと『 キム』1

2010-09-07 03:40:05 | 冒険者たちへのオマージュ

The great game                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
グレイトゲームという言葉を知ったのは、キップリングの小説『キム』を読んだときでした。(日本版は「少年キム」)

ほう..此の時代19世紀から20世紀にかけて、アフガニスタンの争奪で、緊迫したイギリスとロシアのせめぎ合い、水面下でのスパイ合戦、もちろん東には清という中国もいて....プレイヤーにはアメリカやその他の国々もまた虎視眈々..

インドを支配下に置いたイギリスはことのほか、ロシアの南下を警戒していて...チベットやアフガニスタン、中央アジアを取り囲み、にらみ合いをしていたんだあ..

それを、アーサー・コノリーという人がチェスのゲームに例えて
The great game(闇戦争とか大勝負)と命名したんですね。
それから、キップリングが『kim』の中で、この言葉を使って、この呼び方が一般的に広まり、今に至っています。


キップリングはその状況を時代背景として、キム少年を、そしてインドの風土、人情、を活き活きと描き出しているのです。
もともとキップリングはインド生まれのイギリス人ですから、実態も知ってる、思い入れもあるんですね。

インドという国やインド人に何らかの郷愁を感じている人ならば、(ちなみに、私はすご~く感じているので)この本は、より共感するところがあるに違いありません。


小説『キム』は、キップリングの縦横無尽な筆力と感性的な天分が、ぐぐっと豊かに走ったみたいな、インドらしく濃厚でありながら、冒険という道行きが、清浄な愛に貫かれて.....

というのも、キムの慕うお坊さんは解脱を目指しての旅路であり、修行を積んだ精神の透明さ、高邁さにキムは出会った瞬間から、無意識的に感応したんですね。

彼は、行きがかり的にスパイの手先となって、インド育ちの少年らしく(実はイギリス人の孤児なんですが)、賢く、はしこく走り回り役割を果たしつつ、
かたや、浮世離れしているお坊さんの身辺で、かいがいしく面倒を見る。
ある期間、離ればなれになっても、互いの純粋な愛が貫かれ、ふたりのそれぞれのヴィジョンである目的へと向かう..

ほかの好きな本と同じように、時をおいては、くりかえして、また楽しませてもらえる..そんな本のひとつです。

そして『キム』によってグレイトゲーム(The great game)へと私の冒険!の矛先は向かったのです。



つづく                                    
                           




追記

世界には『キム』のファンは多いですね。
ある期間、キップリングは帝国主義とされ、最近まで、あまり表立ってとりあげられなかったそうですが、確かにイギリス帝国主義のプロガバンダ的な、というより、まさにその為の詩など、そう言われても仕方がない作品がありますが。..最近ではまた、見直されてきたというお話。

しかし、物書きとしては飛び抜けて力量の持ち主であることは、誰もが認めるんじゃないでしょうか。その都度、歯に衣を着せぬ、自分の感じたことを言い切る強い性格だからこそ、名文、名作も出来るんだろうと思います。

余談ですが彼のもう一冊、お気に入りの旅行記があります。
『キップリングの日本発見』
キップリングの豊かな感受性と見識と筆力に感服です。そして、内容は日本のその頃の素敵さに涙がでそうです。
そしてもちろん、面白い!
読み手が日本人なら、なお面白い!


















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