はい。こちら農水省製麺局ラーメン課

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[閉店] 極麺王

2005-06-17 21:06:45 | ラーメン店調査 (46~50点)
■■ 閉店しました ■■

第5代目ラーメン王の立石憲司氏がプロデュースした話題の店。最近これといった変化がなかった巣鴨のラーメン・シーンに旋風を巻き起こしている。いや、巣鴨のみというよりは首都圏のラーメン業界に大きな衝撃を与えていると言っても良いだろう。それもそのはず。この店のラーメンは既存のラーメンの枠を破った諸処の要素をアバンギャルドに採り入れ、ラーメンの常識を超えたラーメンを創り出している。これはある意味、ラーメン業界に対して新たな挑戦状を突きつけていることと同義だと言っても過言ではない。立石氏の大胆不敵な笑みが浮かんできそうである。

まずは、麺のインパクトの大きさ。何と茹で時間が8分もかかる超極太麺を使用し、そのビジュアルはあたかも名古屋名物きしめんのごとし。幅が1センチ近くはありそうなその超極太麺は噛み切るだけでも多大なる労力を必要とし、否応なく食べ手を麺との壮絶なる格闘へと巻き込んでいく。私はこれまで数多くのラーメンを食べてきたが、これくらいインパクトの強い麺を見たことがない。

このような麺と合わせるスープともなれば、相当インパクトの強いものでなければスープが負けてしまうような気もするのだが、ところがどっこい、立石氏はこの麺に魚介系のスープを合わせている。通常、魚介系のスープと言えば繊細な麺と合わせ「和風」を演出するのがセオリーみたいなところがあるのだが、その常識を完全に覆すような組み合わせだ。ラーメンをよく知れば知るほど、超極太麺と魚系スープの組み合わせの斬新には唖然としてしまうことだろう。

もちろん、魚系のスープではあるものの麺に負けない存在感を演出するために魚系の持ち味を活かしつつも醤油のかえしを濃厚にし、飲めば飲むほど噎せ返るような醤油の存在感が全面的に立ち上がるようなガツン度の高い味付けにしている。

幅の広い超極太麺がこのスープを存分に絡めないはずがなく、麺とスープのバランスは絶品の域。麺を持ち上げればその麺にスープが付着しているのが見た目にも容易に判るほどであり、スープを単独で啜らずとも麺を全て啜り終えただけで自ずからスープの分量が半分以下になってしまうほどである。

二郎を彷彿とさせる具の野菜も新鮮でシャキシャキ感の高い逸品。ここまでインパクトの強いラーメンながら食べ手の健康に対する留意すら感じさせるものである。チャーシューと煮卵は平凡なので取り立ててチャーシューをトッピングオーダーする必要はないだろう。チャーシューをトッピングするのであれば、この店でしか味わうことのできない麺を増量する方がお得感は強いであろう。

私は今回はデフォルトのラーメンの大盛に煮卵をトッピングさせていただいたが、聞くところによれば麺のインパクトをより存分に味わうことができる油そばも好評なようだ。

ただし、私が食べに行った時には偶々だったのであろう。先輩と思しき者が見習いの店員にラーメンづくりを実地で指導しており、私はその先輩の指導を受けて見習いが作ったラーメンを食べさされることになってしまった。ラーメンづくりを指導するのであればせめて客のいない時間に練習用のラーメンで行ってほしいものである。

評価としては麺:12点、スープ:14点、具:3点、バランス:10点、将来性:10点の合計49点。

ここでしか食べることのできないきしめんライクな麺、麺とスープのバランス、将来性のポイントが極めて高い店である。非常に個性的なので好き嫌いが分れてくるとは思うが、一度は訪れてみる価値のある店なのではなかろうか。


所在地:巣鴨
実食日:2004年3月

採点方法について
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竹家ラーメン

2005-06-17 21:06:03 | ラーメン店調査 (31~35点)
前身は「竹家食堂」という北海道帝国大学前に店を構えていた中華料理店であり、日本で初めて「ラーメン」という言葉をメニューとして用いた店として知られている。札幌ラーメンの祖でもある。こららの詳しい経緯についてはここでは詳しく書かないが、店内の蘊蓄書きに余すところなく書き尽くされているので、興味のある御仁はこの店まで足を運んでいただきたい。

さて、私は開店直後である11時30分過ぎにこの店を訪問した。おじさんひとりとおばさん2人が切り盛りする温かみのある店内だ。セットメニューとして醤油らーめんと小やきめしのセットである「Aセット(800円)」と味噌らーめんと小やきめしのセットである「Bセット(850円)」がある。

いずれのセットもよく出るようであるが、特にBセットの評判が上々だ。私も札幌ラーメンの祖ということで「味噌らーめん」をデフォルトであると判断し、Bセットをオーダーした。

出てきたらーめんは現在主流となっている味の濃いコッテリとした味噌らーめんとは異なり非常にアッサリしたスープを用いている。私が幼い頃にイメージしていた味噌らーめんそのもののテイストであり、味噌らーめんのルーツを感じさせてくれる懐かしい味だ。しかし、その当時としては非常に旨いと評判になったのであろうが、「この味が現在も通用するのか」と問われれば誠に残念ながら疑問符を付けざるを得ないところである。決して不味くはないのだが旨くもない。味に奥行きが感じられないのである。

麺は何ら特徴のない極々普通の中細麺を用いており、スープとの絡みなどを計算したものであるとは思われない。また、湯切りも当然のことながら甘いので麺が心持ちふやけてしまっているような気がした。いささか厳しすぎる見方であろうか。

しかしながら、麺、スープのクオリティの割には具のチャーシュー、そして、特にサイドメニューのやきめしの旨さは最高レベルである。ラーメン課とは無関係になってしまうのだが、私個人としてはこの店で「大やきめし」のみをオーダーしてもそれで大満足できると思う。それくらい旨いやきめしなのである。やきめしだけであれば是非とも再食したい。

評価としては麺:8点、スープ:10点、具:3点、バランス:6点、将来性:7点の合計34点といったところではあるが、とにかくやきめしは旨い。


所在地:兵庫県神戸市灘区
実食日:2004年3月

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どらいち

2005-06-17 21:05:05 | ラーメン店調査 (46~50点)
麻布十番から魚藍坂に到るまでの界隈は港区でも有数のラーメンストリートと言われており、麻布十番に近い方から「義丸」「麻布ラーメン」「笑の家」「盛運亭」「壱参ラーメン」などがひしめきあう激戦区である。その一画、ちょうど「盛運亭」の向かいあたりに2003年5月、新たにひとつのラーメン屋が産声を上げた。それが「どらいち」である。神奈川県藤沢にある名店「どら一」の支店だ。

私が訪問した平日の夜は客数も疎らであり、訪問時の先客は0、食べている間にも客は1人しか来なかったが、なかなかどうして思わず唸ってしまうような絶品ラーメンを食べさせてくれる。

オーダーしたのは「優麺(ゆうめん)」と呼ばれるラーメンに味付け玉子。ちなみに「優麺」は載せる具をチャーシューとトリの2種類の中から自由に選ぶことができる(しかも同額だ)。私はこの前食した大久保の「八兵衛(閉店)」のトリそばの具(トリ)の旨さが忘れられず、思わず「トリ」をオーダーしてしまった。

おそらくデフォルトはチャーシューなのだろうけど、まぁこういうこともある。4人掛けの広々としたテーブルに静かに腰掛けてラーメンを待っていると、5分くらい経って親切そうな店主がテーブルまで品を運んできてくれた。

まずは、ラーメンをマジマジと眺める。事前に入手していた情報によれば「サーモンからダシをとっている」とのことだったので酒ならぬ鮭臭いスープを想像していたのだが、サーモンの使用はスープに微かな甘みを添える程度に抑えられている。私はこの店を訪れる前「鮭臭いスープなど本当に旨いのだろうか?」との疑問を抱いており、正直言って、あまり訪問することに乗り気ではなかったのだが、良い意味で見事に予想を裏切られる結果となった。

サーモンの代わりに前面に押し出されているのは醤油の旨味であり、サーモン特有の天然の甘みに力強くサポートされた醤油スープの味はぐいぐいと食べ手を惹き付けるだけの魅力に満ちあふれている。

このスープに合わせている麺も硬めに茹で上げられた細平ストレート麺であり、平麺特有の食感が心地よい上に臭みや雑味などとは一切無縁の境地を現出している。しかも、ストレート麺ながら表面積が大きい「平麺」はスープの持ち上げが良いため、わざわざレンゲで一々スープを掬わなくとも麺を
啜り上げるだけでスープの旨さを存分に堪能することができるのだ。よって、麺とスープのバランスも非常に良好であると言えよう。完食は必至。

具のトリや味付け玉子についても首都圏における一流店の水準には十分に到達しており、不満は全くない。

麺:12点、スープ:16点、具:4点、バランス:9点、将来性:7点の48点であり、現在、古川橋近辺のラーメン屋でライバルとしてこの店と真っ向から勝負できるのは「笑の家」くらいのものではないのだろうか。それくらいクオリティが高いラーメンである。


所在地:白金高輪
実食日:2004年2月

採点方法について
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