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2005-05-07 11:41:40 | ラーメン店調査 (41~45点)
高田馬場の「渡なべ」で有名な渡辺樹庵氏がプロデュースした2002年12月オープンの新店。メニューはらーめんとつけめんの2種類を主軸とした構成であり、それぞれ味付玉子が付いた「味玉らーめん」「味玉つけめん」、チャーシューが付いた「ちゃーしゅーめん」「ちゃーしゅーつけめん」のバリエーションが存在する。

場所は、池袋東口改札からサンシャイン通りを経て東急ハンズの信号をすぐに左折。高速高架下の道を暫く直進すると左手に見えてくる。

茶褐色系統の色彩で統一された穏やかで落ち着きのある店内はほのかに暗く、バーを想起させるような雰囲気が醸成されており、デート帰りのカップルの使用にも十分に耐えうる造りとなっている。同じく渡辺氏プロデュースの店で比較すると中目黒の「中華蕎麦ぷかぷか」に極めて近似したトーンである。いずれにせよ、渡辺氏プロデュースのラーメン屋は、どれもこれもラーメン屋らしからぬ内装をその特色としており、いつも同じような造りだと思わなくもないが、それはそれで一般客からの評判は良いだろうことは想像に難くない。また厨房と客席が隔離されており、客は店員からの視線を気にすることなくゆっくりとラーメンを食べることに集中できる。

らーめんの味は「渡なべ」に最も近いとされている。行列の長さや営業時間の短さなどの障害により必ずしもアクセスが容易であるとは言えない「渡なべ」の抑えとして使われることも多いようであり、期待に違わない味として評判も上々だ。よほど嬉しいのだろうか。私の隣に座っていた若者などは、味濃いめと味薄めで2杯のらーめんを連食しており、絶えず苦しそうなゲップを吐き出していたほどなのである。

私はらーめんは頼まず、敢えて味玉つけめんを頼んだ。周囲を見渡すと12席あるカウンター席に座っているどの客も「らーめん」を頼んでいる。この店、らーめんの方がつけめんよりもかなり人気が高いようであり、オーダーした後、少し後悔してしまった。つけめんは「渡なべ」には存在しないこの店ならではのオリジナルメニューだから誰も頼む人がいないのだろうか。

10分ほど経って出てきた味玉つけめんは、丁寧な湯切りがなされ、一滴も余分な水分が残っていそうにもない平太麺が皿に盛られ、いかにも魚介類系の成分を前面に押し出したような油分の強いつけダレが付いてくる。もちろんらーめんにはこのような平太麺を使ってはいないので、らーめんとつけめんで別々の麺を用いていることになる。

つけめん専用のこの平太麺の弾力性は極めて強く、噛んでも噛んでも麺の方から舌を弾き飛ばしてくるような勢いだ。平太麺なのでつけダレとの絡みもすこぶる良好であり、惜しげもなく抽出された煮干しや節のエキスが容赦なく攻撃的に口内を刺激してくる。たちまち口内は魚介類のパワフルなエキスで充填されるが、それに加えて、畳みかけるように襲いかかってくる重戦車のようなネットリとした油分が極めて官能的。

ただし、麺の味がしっかりしすぎているためなのだろうか、食べ進めていく内に麺自体から匂い立つ独特の臭みが鼻に付くようになってくる。それも魚介系を主軸としたこのつけダレとは相容れないような臭みであり、この点については改善の余地がある。加えて(あつ(温かい麺)でオーダーしなかったこともあるのだろうが)それにしてもつけダレが冷めてしまうタイミングがあまりにも早く、後半は風味が飛んでしまったタレに匂いが強い麺を投入しながら食べるという、なかなか悲惨な事態に陥ってしまった。おそらく、元々つけダレの温度がぬるめ設定なのだろう。魚介類ベースのスープは、この店に限らず、概してぬるいことが多いのだが、らーめんならばまだしも、つけ麺でデフォルトがぬるいのは致命的である。この点についても更なる改善の余地があろう。

麺:10点、スープ:14点、具:3点、バランス:6点、将来性:8点の合計41点といったところであり、おそらく「渡なべ」に準ずる旨さを誇るであろうと思われるらーめんとの格差は激しいものがある。41点という評価はらーめんではなくつけめんの評価なので、これがこの店の真価であるとは思わないが、「渡なべ」の二番煎じとの位置付けから一歩踏み出すためには、この店のオリジナルメニューである「つけめん」のレベル向上を積極的に推進していくべきではなかろうか。


所在地:池袋
実食日04年2月

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