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羅漢さんの托鉢日記

私の勤める、葬儀社羅漢では、お客様お一人お一人を訪問する、営業方法をとっています。これを托鉢と称します。  

晴れたり降ったり二丈町

2008-01-17 19:50:43 | 托鉢日記
この地域を托鉢するのは一年ぶりである。
なぜか同じような天候だった。
この町に初めての斎場をオープンしているので、
セールトークも違ってくる。

住宅街というのは、まずインターホーンが関門である。
それもカメラ付きですから・・・
ポスティングでもいいけど、
できることならお会いして話したい。

葬儀社ではありますが、明るい声でニッコリと。
「・・・本日は私共の斎場の案内をさせていただいております。
よろしければ、パンフレットをご覧になっていただけますか。」
お客様の応答はさまざまである。
わざわざ玄関に出てきてくださる方、
ポストに入れといてくださいと言われる方、
・・・・お客様の応答に間があるときは、
「ポストに入れさせていただきますので」と言うことにしている。
ほとんどOKである。

そうこうしていると、ポツリポツリと落ちてきた。
こりゃまずい!
かなり遠くなった車までダッシュした。
マイカーで退散しかけたがまた晴れてきた。

もう少しがんばってみよう。
この区画最後のお宅を訪ねた。
「あらーちょうどよかった。」
「私、87になるのよ」
元気によいおばあちゃん(と呼んでもいいですか?)が出てこられた。
「ずっと山登りをしてきたので、おかげで病気ひとつしたことないのよ」
「あっ私も山登りやってたんですよ」
そんなわけで、話が弾み ”そのうちお世話になるよ”などという。

天気も晴れてきて帰路につく。

チョットチョットチョット

2008-01-09 22:52:54 | 托鉢日記
本日午後、本年初の托鉢に出た。
天気は晴。暖かい。
年回忌のお客様を訪ねた後、
さてと、頭に浮かんだのは志摩町(福岡県)

馬場の六所神社に、二礼二拍一礼した後、
一軒目のお宅のチャイムを押した。
「まだ、必要なことではないでしょうけど・・・」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」
答えたのは、お客様の方。
托鉢を始めた頃を思えば、
ずいぶんお客様の様相が変わってきている。
(私が変わったのかもしれない)

この地区には感慨深いものがある。
まだ、西も東もわからなかった二年半前、
ある方とこの六所神社で出会った、
知人も縁故もなく、文字どうり孤軍奮闘していたとき、
親切なお人柄に、心強く思ったものだった。

もうひとつある。
あのおじさんいるかな?
十数軒訪ねた後、玄関のチャイムを押した。
「おぼえています?」
「いやーまえのことはおぼえとらんなあ」
「まあ、かけんしゃい」
というわけで、商売の話やら、生まれ故郷の話。
この地区の話やら・・・
「“なんの用やー、オレに死ねといいよるのか“
そげん怒鳴られたとですばい。」
(たしかその時は、“そんなふうに怒られてばっかりです“と答えたら、
アハハと笑って話が弾んだ。-こういう方がうち解けたら仲良くなる)
「今は昔のごとなかもんな。優しゅうなってしもうて」と、
好々爺そのものの笑顔で答えた。

「あんたはオレと同年配くらいかね。何年生まれかね?」
(チョットチョットチョット、なにをいいだすんですか)
「24年ですよ」
「オレと二回りくらいちがうのか」
(チョットチョットチョット)
(どこをみてそのような言葉がでてくるわけ)
(頭はこげなふうですけど、この肌ツヤですばい)
「このパンフレット、見といてくださいね」
「ハイ、見とくよ」
「車の多かけん、気をつけていきんしゃい」
「ありがとうございました」

あのですよ、

2007-12-25 11:08:46 | 托鉢日記
「あら、おたくはどこの出身?」
長石(福岡県糸島郡二丈町)を托鉢した時の事。
「この辺の言葉と違うようだけど、」
「もの言いがやさしいでしょう。」(自分で言うか!)

この糸島の地に移り住んで、二年半。
あのですよ、
こがんせんばいかんとですよ。
私が師事する和尚様からよく真似される。
「糸島の人間に成れたね。」
「ハイ、成れましたけど、あのですよ、がまだですね・・・」
「それでよかやないね。」
私の長崎弁は、そのままでいいらしい。
糸島の言葉は、あらけなか(荒い)もんな。

こんにちは、
・・・あのですよ、
この日も、葬儀の話に耳を傾けてくれた人に、
会うことが出来た。
「今度、斎場、見学にいくよ。」
この春、二丈ファミリーホールが、オープン致しました。

人生は「行」である。

2007-12-11 23:18:49 | 托鉢日記
そう言い切った女性に、今日出会った
七十代と思えるその方は
ごく普通のおばあちゃん(失礼)に
私の目には映ったのだが…

ご主人を数年前に亡くされ
娘さんの家族と暮らしているらしい
仕事にでている娘さんにかわり
お孫さんの面倒や、家事を引き受けている
「私は行と思っているのよ。」

仏教の教えでは、
今ある自分の境遇は
すべて過去の自分行いの結果なのであると説く
それは誰のせいではなく
すべて自分にあると
嘆くことも、恨むことも、見当違いなのである

そう思い極めたとき
生きることの意味が見えてくる
人はこの世に「修行」に来たのだ
寒い日の営業もありがたい
玄関払いもありがたい
そして、こういう方に出会えることは
実に、ありがたいことである

あと十年くらいは生きていないとね
おたくの名刺とパンフレットは
ちゃんととってあるから
それでは夕食の支度がありますのでと
その方は家の中へ戻っていった

さあ、もうひとがんばりしてみよう
本日、ワタクシ未熟者

「神業」

2007-01-06 11:09:43 | 托鉢日記
西区を托鉢した時の事。

ちょうど作業をしている工務店に声をかけた。
「コンニチワ、私、羅漢と申します。」
私と同年配と思える男性の方(たぶん社長さんでしょう)は、
顔を上げたが、羅漢って?という表情をしている。

「葬儀社の羅漢と申します。」
「ああー」
「カンナですか?」
「そうです。」
「樫ですか?」
「白樫だよ。」
「へえー鉋も自分で作られるんですか?」
「全国大会に出るんだよ。」
「へえー大工さんの全国大会があるんですか?」
「いや、全国鉋削ろう会ってのがあるんだよ」

どうやら、それ用の鉋を製作しているようだ。
極薄のカンナくずがあったので、
「これ、すごいですね。」と言ったら、
「話のネタに見ていくといい。」そう言って、
奧の引き出しから、更に薄いカンナくずを出してくれた。

カンナくずという表現は、正しくない。
金箔のような薄さといえばいいのか、
いや、もっと薄いのかもしれない。
こういうのを職人技というのだろうか。
いや、神業と呼んだ方がいい。

托鉢させていただくことで、
こういう場面に出会うことがある。
有難いことです。



同じ系統ですね。

2006-11-16 15:12:53 | 托鉢日記
「さあ、行こうかね。」
社長から声がかかる。

昨日夕方の会議で決定した企画案が、
出勤すると、すでにチラシになっていた。
早い!
社長のスピードには、いつも脱帽である。

すべての人に「ありがとう」のお葬儀を。をキャッチフレーズに、
安心の「総額プラン」を打ち出した。

「今日は、師吉団地(福岡県志摩町)に行こう。」
社長との托鉢は、気合いが入る。

「見積価格と、実際の請求価格の差に、驚かれたことはありませんか?」
「私たちは、皆様に安心して頂けるように、葬儀に必要なものはすべて、
このプランに含めました。」
「このプランは、糸島地区では私たちが初めてですよ。」
「”ガイアの夜明け”見られました?・・・私たちも、常に新しい葬儀のありかたを考えているんですよ。」
気合い充分で、セールストークもスムーズにでてくる。

かなりの戸数をお訪ねしたが、
よく話を聞いて下さる方が多かったし、もしもの時はおたくでしますよ。
そう言って下さる方もいた。

社長と合流したところで、ガーデニングをしていたご主人へ声をかけた。
鶏の頭をしていない赤い花が、たくさん咲いていたので、
「これも鶏頭ですか?」
「そうですよ。・・・
・・・で、何か用でしょう。」
「ハイ、私たち、羅漢と申します。」
「ああ、葬儀の・・・うちは他に知り合いがいるから」
どうやら、他の葬儀社と縁つずきらしい。
赤い鶏頭の他にも、黄色い鶏頭も咲いていたので、
「同じ系統ですね。」と言って失礼させていただいた。

シャレは受けたようである。



曇りのち雨

2006-11-11 17:49:20 | 托鉢日記
久々の雨だった。
予報では、一日中降ったり止やんだりするらしい。
9時半頃、空模様が明るくなったので、
昨日にひきつずき、久々の托鉢にでることにした。

托鉢も、いつも同じ調子という訳ではない。
一軒一軒、托鉢させて頂くうちに、
段々、気後れしてくることもある。

玄関に近づくと、犬の鳴き声に攻撃されたり・・・
インターホーンでのご挨拶では、「結構です。」と返事が返ってきたり・・・
今日は、こんな調子がつずく。
退散したい気持ちを抑えて、次のお宅のチャイムを押した。

「おはようございます。羅漢と申しますが・・・」
「羅漢さん、よく知ってるよ。」
70年輩のご主人が答えてくれた。
「自分の時は、おたくでするよ。」
「家族にも、羅漢さんでするように話してあるから。」
お話を伺う打ちに、どうやらS先輩が、ご相談を受けていたようだった。

「縁起でもない!」と答える方もあれば、
この方のように、自分の葬儀のことを、普通に話される方もいる。
人さまざまである。

気をとりなおして、
しばらく托鉢を続けたが、
突然の、大粒の雨にみまわれ、
かなり、遠くなった車までダッシュした。
本日、退散。

「式後訪問」の後で

2006-11-01 19:44:23 | 托鉢日記
気がつけば、すでに二時をまわっている。
そういえば、喪家を辞したのがお昼前だった。
その足で、導師を勤めていただいたお寺様へ
ご挨拶にうかがってからの托鉢だったから・・・

お葬儀の参列者が多かっただけに、
この地域の皆様には、すべてご挨拶しなければと意気込みすぎたようだ。

近くの小店に入り、パンとコーヒーを買って、
遅い昼食をとることにした。
お店の方と少し話ができたので、
ファイルを広げて、”オリジナル創作祭壇”を見ていただいた。

「羅漢さんの葬儀は、今宿あたりでよくみかけますよ。」
「うちは、今のところ葬儀社にお世話になりそうもありませんけどね。」
と笑った。
そういえば、さっき訪問したお宅では、
「亡くなりそうな人がいれば、紹介すればいいのね」
「私も、年だけど」・・・だった。

少しは、こんな言葉をいただけるようにはなったが、
まだまだ・・・
先輩の声がよみがえる。
「何の営業をされている方ですか?」
「私共は、まごころをお届けしております。」
何も、葬儀の話をしなくてもいいんだよ
人にであったら、アラーコンニチワーって話しかけて、
ところで、あなたは何屋さん?
と、思わせるくらいでいいんだよ。

そうでした。執われてはいけません。