ある家族葬をお世話させていただいた時のことでした。
まだ若い息子さんを亡くされたご家族様の要望は、
身内だけで送りたいとのことでした。
仮通夜をご自宅で家族だけでいとなみ、
翌日、お迎えにあがり、ファミリーホールにおつれしました。
花に囲まれた息子さんの遺影のまえに立たてたとき、
はじめてお母さんは泣き崩れました。
(・・・このご様子は察してあまりあるものでした)
お通夜では、
ごく身近のかただけで故人を偲んでおられましたので、
あえて式進行はひかえることにしました。
悲しみのさなかにある時、
憤り(いきどうり)と背中合わせにあり、
そのやり場をだれにぶつけようもなく、
そんな中で、ご遺族様と接する私たちは時折、
そのやり場を引き受けます。
ご遺体をご自宅へ安置したのちの、
お父さんがそうでした。
ご身内だけでの家族葬とはいえ、
ご近所のかたのお参りをご遠慮いただくことや、
ご親戚の香典をお断りすることの大変さ、等々、
私たちの経験上、アドバイスさせていただかねばなりません。
お父さんはの対応はすべて、ノーでした。
ここは、時間が必要でした。
翌日、(通夜の日)お伺いしたとき、
お父さんは穏やかな顔をされておりました。
送り化粧をほどこして、
まるで、眠っているような息子さんの顔を
いとおしげなまなざしで見ておられました。
そして、
昨夜の私たちのアドバイスを受けてくださり、
お呼びする親族のかたの香典をうけ、
返礼品と会葬礼状を用意して下さいと言われました。
葬儀当日、
「喪主挨拶はしない」も撤回されました。
「簡単にいいます」
そう言って、挨拶文のひな形を受け取ったのです。
そして、
二十名ほどの、参列者(ご身内だけの)と、
私たちスタッフは、
喪主様の大きなサプライズをいただいたのでした。
「ここで、本日ご会葬いただきました皆様方へ、喪主様より、ご挨拶がございます」
正面に立たれた喪主さまに、
女性スタッフがマイクを渡そうとしたとき、
お父さんは肉声で語り始めたのです。
そして、おひとりおひとりの席まで歩み寄り、
「○○伯父さん、いつもいつも、気にかけていただいてありがとうございました」
「○○おばちゃん、中学生の時、遊びに行ったとき、いつもおいしいごはんをつくってくださって、
ありがとうございました」
「○○君、(故人の甥っ子)約束を果たせなくてごめんね」
泣きながら、でも、崩れることなく、
とても、自然に、
それでいて、語りかける順番も、ちゃんと決まっているようでした。
息子さんの兄弟に語り終えた後、
最後に、
「お母さん、大丈夫?お母さんのことが一番心配だよ。
大丈夫、お母さん。・・
○○(息子さんの名前)にかわって、お礼を言うよ」
喪主様は、
父の言葉として、息子さんの言葉として、とつとつと語りました。
それは、
温かく、悲しく、おごそかなひとときでした。
参列の人々のすすり泣きがそれを物語っているようでした。
ふとスタッフのほうを見やると、全員涙ぐんでいました。
私は次の式進行に、呼吸を整えなければなりませんでした。
こんな感動的な喪主挨拶に立ち会うのは、始めてでした。
私の勤める まごころ葬儀羅漢はこちらです
まだ若い息子さんを亡くされたご家族様の要望は、
身内だけで送りたいとのことでした。
仮通夜をご自宅で家族だけでいとなみ、
翌日、お迎えにあがり、ファミリーホールにおつれしました。
花に囲まれた息子さんの遺影のまえに立たてたとき、
はじめてお母さんは泣き崩れました。
(・・・このご様子は察してあまりあるものでした)
お通夜では、
ごく身近のかただけで故人を偲んでおられましたので、
あえて式進行はひかえることにしました。
悲しみのさなかにある時、
憤り(いきどうり)と背中合わせにあり、
そのやり場をだれにぶつけようもなく、
そんな中で、ご遺族様と接する私たちは時折、
そのやり場を引き受けます。
ご遺体をご自宅へ安置したのちの、
お父さんがそうでした。
ご身内だけでの家族葬とはいえ、
ご近所のかたのお参りをご遠慮いただくことや、
ご親戚の香典をお断りすることの大変さ、等々、
私たちの経験上、アドバイスさせていただかねばなりません。
お父さんはの対応はすべて、ノーでした。
ここは、時間が必要でした。
翌日、(通夜の日)お伺いしたとき、
お父さんは穏やかな顔をされておりました。
送り化粧をほどこして、
まるで、眠っているような息子さんの顔を
いとおしげなまなざしで見ておられました。
そして、
昨夜の私たちのアドバイスを受けてくださり、
お呼びする親族のかたの香典をうけ、
返礼品と会葬礼状を用意して下さいと言われました。
葬儀当日、
「喪主挨拶はしない」も撤回されました。
「簡単にいいます」
そう言って、挨拶文のひな形を受け取ったのです。
そして、
二十名ほどの、参列者(ご身内だけの)と、
私たちスタッフは、
喪主様の大きなサプライズをいただいたのでした。
「ここで、本日ご会葬いただきました皆様方へ、喪主様より、ご挨拶がございます」
正面に立たれた喪主さまに、
女性スタッフがマイクを渡そうとしたとき、
お父さんは肉声で語り始めたのです。
そして、おひとりおひとりの席まで歩み寄り、
「○○伯父さん、いつもいつも、気にかけていただいてありがとうございました」
「○○おばちゃん、中学生の時、遊びに行ったとき、いつもおいしいごはんをつくってくださって、
ありがとうございました」
「○○君、(故人の甥っ子)約束を果たせなくてごめんね」
泣きながら、でも、崩れることなく、
とても、自然に、
それでいて、語りかける順番も、ちゃんと決まっているようでした。
息子さんの兄弟に語り終えた後、
最後に、
「お母さん、大丈夫?お母さんのことが一番心配だよ。
大丈夫、お母さん。・・
○○(息子さんの名前)にかわって、お礼を言うよ」
喪主様は、
父の言葉として、息子さんの言葉として、とつとつと語りました。
それは、
温かく、悲しく、おごそかなひとときでした。
参列の人々のすすり泣きがそれを物語っているようでした。
ふとスタッフのほうを見やると、全員涙ぐんでいました。
私は次の式進行に、呼吸を整えなければなりませんでした。
こんな感動的な喪主挨拶に立ち会うのは、始めてでした。
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