ようやく心の傷も少し癒えて、ここに書けるくらいになってきたので。
AX-1というバイクをご存知でしょうか。

僕が公道用に20年近く年乗っていたHonda製バイクです。
「1」ちゅうくらいだからいずれ「2」や「3」にステップアップするのかと思ったんですが、当時Hondaの契約で内部情報にも詳しいK藤Y幸氏によると「"超"がつく指折りの不人気車じゃないですか」ということで、多少のカラーリング変更だけで消えていったモデルです。
でも僕はこのバイクが大好きでした。スリムで軽い車体に前後ディスクブレーキ、安心の最低地上高に片球切れてもまだ大丈夫のデュアルヘッドライト、標準装備のリヤキャリア。
250という排気量は必要にして十分。アクセル全開にしてクラッチをポンとつないでトロい車をパスしても、危険な事もありません。
リッター30kmも走るせいかガソリンタンクがちょっと小さかったけど、その他は僕にとって公道を走るにはほぼ理想のバイクと今でも言い切れます。
野崎史高選手じゃないけど、ヘッドライトには仮面ライダー。確か成田匠選手がクウガに出た頃つけた記憶があります。

ホントはウルトラセブンとか着けたかったかな?
テレビ局勤務時代の通勤も全部これで、毎日往復50kmをこなします。スポーツアイ、Jスポーツでのトライアル番組制作の時も、コイツで出動です。
新車時代からわざと一度も取り替えなかったグリップが、指の形に凹んでいるのも密かな自慢。
公道の走りやすさはもちろんでしたが、たまにオフに入ると多少のスタンディングや段差越えも出来ました。
もてぎの世界戦取材も、体力温存のためセルつきのコイツで回ったこともあります。
おかげでトリップメーターはこの数字。95,230kmだぜい。

こりゃあもうすぐ1回転して、新車に戻るね(^^)
でも仕事内容が変わってほとんど「通勤」しなくなった最近は、あまり乗ることがなく。
オイルが下がり切っているのか、キャブ内のガソリンが劣化しているのか、寒い朝などはエンジンがかかりにくくなってはいました。
でもまさか、先週は気持ちよく鼓動を打ったエンジンが、バッテリーがあがるまでセルを回してもかからないとは?
こいつを買った学生時代から馴染みのバイク屋まで何kmか押して行って診てもらったら、どうやらCDIが逝ってしまっているようです。
「生野さん、これタイヤもチェーンも、ブレーキディスクもまた交換だし、エンジンもだいぶカチャカチャいっているし、これ以上お金かけても無駄かもですよ?部品ももう手に入らないかもしれないし、引き時ですって」
信頼しているメカニックにこう言われても捨てるに忍びなく、何ヵ月か玄関先に置いてあったAX-1。
仮廃車をしてナンバーがなくなってからは、1日に2回も廃品回収業者が訪ねてくることもありました。
ずっと断っていたんですが、場所もとるし直す当てもないし、僕も仕事や生活の変化に合わせてバイクも変えていかなければなりません。
幸い取材用にTY125を持っているので、あれにナンバーつければちょっと街乗りには困らないはず。
というわけで先日一大決心をして、ついに処分しました。
…割り切ったはず。前に向かったはず。
ところが僕はその後、自分でもビックリのものすごい喪失感に襲われてしまったのです。
ああ、バイクさんに悪いことしちゃったなあ。
あいつは僕の人生の激変期を一緒に過ごしてくれたんじゃないか。
今すぐは無理でもいつかお金が出来るまで先延ばしして直してやればよかったなあ…。
業者が置いていった1万円札が、まるでキリストを売ったユダが手にした銀貨のようです。
かからないエンジンを最後にもう一度回した音を聞いて、台所にいた家内まで泣き出しまして。
「いつもあのエンジン音が聞こえたら、あ、帰ってきた♪と思っていた」とのこと。
ちょうどきんぴらゴボウを作っていた家内は、もしかして涙で手元が見えにくくなったのでしょうか。ひたすらゴボウを切りまくり、その夜は洗面器一杯分ほどものきんぴらが食卓に載ったのでした。
・・・この項、あと2回続く。
AX-1というバイクをご存知でしょうか。

僕が公道用に20年近く年乗っていたHonda製バイクです。
「1」ちゅうくらいだからいずれ「2」や「3」にステップアップするのかと思ったんですが、当時Hondaの契約で内部情報にも詳しいK藤Y幸氏によると「"超"がつく指折りの不人気車じゃないですか」ということで、多少のカラーリング変更だけで消えていったモデルです。
でも僕はこのバイクが大好きでした。スリムで軽い車体に前後ディスクブレーキ、安心の最低地上高に片球切れてもまだ大丈夫のデュアルヘッドライト、標準装備のリヤキャリア。
250という排気量は必要にして十分。アクセル全開にしてクラッチをポンとつないでトロい車をパスしても、危険な事もありません。
リッター30kmも走るせいかガソリンタンクがちょっと小さかったけど、その他は僕にとって公道を走るにはほぼ理想のバイクと今でも言い切れます。
野崎史高選手じゃないけど、ヘッドライトには仮面ライダー。確か成田匠選手がクウガに出た頃つけた記憶があります。

ホントはウルトラセブンとか着けたかったかな?
テレビ局勤務時代の通勤も全部これで、毎日往復50kmをこなします。スポーツアイ、Jスポーツでのトライアル番組制作の時も、コイツで出動です。
新車時代からわざと一度も取り替えなかったグリップが、指の形に凹んでいるのも密かな自慢。
公道の走りやすさはもちろんでしたが、たまにオフに入ると多少のスタンディングや段差越えも出来ました。
もてぎの世界戦取材も、体力温存のためセルつきのコイツで回ったこともあります。
おかげでトリップメーターはこの数字。95,230kmだぜい。

こりゃあもうすぐ1回転して、新車に戻るね(^^)
でも仕事内容が変わってほとんど「通勤」しなくなった最近は、あまり乗ることがなく。
オイルが下がり切っているのか、キャブ内のガソリンが劣化しているのか、寒い朝などはエンジンがかかりにくくなってはいました。
でもまさか、先週は気持ちよく鼓動を打ったエンジンが、バッテリーがあがるまでセルを回してもかからないとは?
こいつを買った学生時代から馴染みのバイク屋まで何kmか押して行って診てもらったら、どうやらCDIが逝ってしまっているようです。
「生野さん、これタイヤもチェーンも、ブレーキディスクもまた交換だし、エンジンもだいぶカチャカチャいっているし、これ以上お金かけても無駄かもですよ?部品ももう手に入らないかもしれないし、引き時ですって」
信頼しているメカニックにこう言われても捨てるに忍びなく、何ヵ月か玄関先に置いてあったAX-1。
仮廃車をしてナンバーがなくなってからは、1日に2回も廃品回収業者が訪ねてくることもありました。
ずっと断っていたんですが、場所もとるし直す当てもないし、僕も仕事や生活の変化に合わせてバイクも変えていかなければなりません。
幸い取材用にTY125を持っているので、あれにナンバーつければちょっと街乗りには困らないはず。
というわけで先日一大決心をして、ついに処分しました。
…割り切ったはず。前に向かったはず。
ところが僕はその後、自分でもビックリのものすごい喪失感に襲われてしまったのです。
ああ、バイクさんに悪いことしちゃったなあ。
あいつは僕の人生の激変期を一緒に過ごしてくれたんじゃないか。
今すぐは無理でもいつかお金が出来るまで先延ばしして直してやればよかったなあ…。
業者が置いていった1万円札が、まるでキリストを売ったユダが手にした銀貨のようです。
かからないエンジンを最後にもう一度回した音を聞いて、台所にいた家内まで泣き出しまして。
「いつもあのエンジン音が聞こえたら、あ、帰ってきた♪と思っていた」とのこと。
ちょうどきんぴらゴボウを作っていた家内は、もしかして涙で手元が見えにくくなったのでしょうか。ひたすらゴボウを切りまくり、その夜は洗面器一杯分ほどものきんぴらが食卓に載ったのでした。
・・・この項、あと2回続く。
部品がいろんなお役に立つことを願っております
きんぴらごぼうも食べたかった、、、
まるでAX-1は思い出のつまったアルバムのような存在ですね
そうなんですか、僕はAX-1が5台目か6台目ですが、何十台も乗り継いでもAX-1は特別な存在になるんですね。
それはもう十分派手なバイクと言えるような気がしますね。
>NONOさん
昨年の終わりでしたが今年の始めでしたか、AX-1で伺い、後ろの荷物箱にカニを頂いて帰ったのが最後のお目通りとなってしまいました。
もう一度お地蔵さんの前の階段を上がってみたかったです(^^)/
>のりすけさん
のりすけさんの書き込みを見て、大昔に見た「岸辺のアルバム」というTVドラマを思い出しました。
人の気持ちはたかが「もの」を「思い」に変えるんですね。