PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2017年全日本トライアル 第1戦関東大会

2017-03-21 16:34:03 | 日々の事
毎年地面が凍っていたり、まるで日本海側の冬のような鉛色の雲に覆われる開幕戦ですが、今年は小春日和のような穏やかな天気に恵まれました。

でもその分花粉症の方はエラいことだったようです。

今回はエントリーが130名を越え、車検も長蛇の列で1時間待ちという状態です。
トライアルは人気が出てきたのかなあ?


セクションは全体に非常にハード。助走は短いし、ステアは高いし、やたら長くて時間は足りないし。

ここをどう走るのか、注目はやはりスーパークラスのトップライダーです。


チャンピオン小川友幸選手は、今年も開幕戦前はやや練習不足とのこと。

海外でのデモンストレーションがようやく終わって帰ってきたら、練習場が大雪で全く乗れず、なんて状態だったようです。
でもインタビューには「体の調子もいいですし、ライディングに影響はないと思います」とのこと。

インジェクション装備の新型マシンを昨年終盤に手に入れた黒山健一選手。このオフでどこまでマシンの可能性を引き出せたでしょうか。




昨年スコルパに乗っていた野崎史高選手は、今年はシェルコ。まだマシンに慣れていないかと思ったら、基本同じマシンなので何の問題もないとのこと。

今年は新しいスポンサーも獲得して、昨年果たせなかった優勝を目指します。

いつにも増して気合の入っている柴田暁選手は、新しいアシスタントでの参戦。


小川毅士選手も、アシスタントを変えてきました。


吉良祐哉選手も新アシスタント。この髪の毛がずずずーっとヘルメットに収まる姿は、DVDの発売をお楽しみに(^^)


ほか、新昇格の久岡孝二選手、磯谷玲選手など注目がいっぱいです。




どの選手も公平にチャンピオンへの可能性を持っている開幕戦。
いったい誰が飛び出すのか、と思ったら、1ラップ目から圧倒的な走りを見せたのが黒山選手。


他の選手が3点の所はクリーンで、5点のところは3点で確実にアウトしていきます。


セクション待ちの間も、集中力を乱しません。


一方友幸選手は、1ラップ目第1から「ありゃま」の足着き。


ほか、出口直前までたどり着きながらの転倒や、あと一歩でのタイムオーバーなども。


極めつけは第9セクション。
確かにここは全員が5点。どこからどう狙ってもとてつもなく小さなピンポイントに後輪を当てなくてはならない、とんでもなく難しいステアではありました。
でもマシンを壊してしまうほどの友幸選手は、ここ何年も見たことがありません。






対する黒山選手は全員が5点のここをただ1人クリーンで上がって、この段階でこの日の勝負を決めてしまった感すらありました。


友幸選手のアシスタント、田中裕大さんは「今回セクションがキツイので、頑張っていればまだ逆転のチャンスはある」と言います。
でも逆にきついセクションにことごとくはまった友幸選手の減点は、どんどん増えてしまいます。


友幸選手は実はあの第9セクションの大転倒で左足首を傷め、踏ん張りが効かなくなっていたのです。


1ラップが終わって、黒山選手はただひとり一桁減点の合計8点。友幸選手は24点で3位。
失敗を最小限に抑えた小川毅士選手が、合計17点で2位に着けていたのです。


4位には野崎選手。
野崎選手は1ラップ目の中盤にパンチカードを紛失。
15分を超える捜索の末発見されたのは良かったのですが、精神的動揺からこのあと大きく乱れてしまい、今回は勝負から脱落してしまいました。


野崎選手といえば、1ラップ目第8セクションでこんなアクシデント。
ヒルクライムの上で待ち構えていたたアシスタントを、轢いてしまったのです。

慌てながらも野崎選手は絶妙な抜重をしたのかアシスタントに怪我はなく、野崎選手はここでクリーンを記録。
マシンがアシスタントに接触したので、5点と言われてもしかたのない状況でした。

試合は2ラップ目。やや減点を増やす毅士選手に対して友幸選手は10点以上減らして追撃しますが、なかなか追いつけません。


あの第9セクションは、2ラップ目も選手たちを叩き落とし続けます。

吉良選手はベータの先輩、野本佳章選手のバックフリップに挑戦したような転倒をしてしまいますが、幸運にも体もマシンも問題なし。

柴田選手もこの状態です。


友幸選手は今度は転倒はこらえたものの、セクションアウトで5点。


あとから入った毅士選手も、同じようなコースアウトです。


全員が5点なので、黒山選手はあえて足を出す安全策の余裕で、2ラップ目もただ1人ここを走破です。


2ラップ目第11セクションまでは、毅士選手30点に対して友幸選手は37点。
もうほぼ3位は確定かと思ったのですが、2ラップ目最後の第12セクションで毅士選手が失敗。


ここを友幸選手はクリーンして、なんとか2点差にまで追いつきます。


黒山選手は2ラップ目も点を突くようなライディングを続け、乱れません。


そして2ラップがが終わった段階で、とっとと優勝を決定してしまったのです。




次の注目はここまで35点の毅士選手対37点の友幸選手の、SSでの勝負です。
「優勝はもうしゃあないけど、2位か3位ではタイトル争いが全然違ってくる」と何とか2位を獲りたい友幸陣営。
裕大さんは「SSの第2はおそらく全員が5点かな。なので第1が勝負ですね」と読んでいました。


今回はトップ10名が、ここまでの順位でスタートするSS。
このため先に走ることになった友幸選手は、SSの第1をクリーン。これで毅士選手に大きなプレッシャーをかけます。


SSを待つ毅士選手は、パドックでマッサージを受けながらVサイン(あるいは2位獲得宣言)の余裕。


そしてSS第1では、友幸選手のプレッシャーを跳ね返してクリーンをとります。

ああ、これで毅士選手の逃げ切りで友幸選手の3位が決まりか、と思ったのですが…。

最後のSSの第2は、斜面の木を切って開発した新しいセクション。
誰も走っていないため地面がまったくグリップせず、裕大さんの「おそらく全員が5点」もリアリティーがあります。


実際岡村将敏選手と野崎選手は3点で抜けたものの、他は全員が失敗。
2点を追いかけここも先に入る友幸選手でしたが、なんとクリーンで抜けたのです。


これでまたまたプレッシャーをかけられた毅士選手は、結果3点。

最後の最後に逆転され、惜しくも1点差で2位を逃しました。

優勝は黒山選手。世界チャンピオンを目指していた頃を思い出させる、圧倒的な強さでした。

最後にチャンピオンの強さを発揮した小川友幸選手は、2位に滑り込み。「開幕戦を落としてからタイトルを獲ったことの方が多いはず」と今後に希望をつなぎます。
今回の不調の原因には、どうやらマシントラブルもあったようです。
毅士選手は惜しかったものの、久しぶりに勝負に絡めたことで今後の全日本が楽しみです。




優勝 黒山健一 18c16
2位 小川友幸 37c14
3位 小川毅士 38c15
4位 野崎史高 51c10
5位 柴田 暁 69c5
6位 斎藤晶夫 86c2
7位 野本佳章 93c4
8位 吉良祐哉 99c4
9位 岡村将敏 109c0
10位 久岡孝二 109c0
-------以下SS不出走-------
11位 藤原慎也 105c1
12位 成田 亮 109c1
13位 磯谷 玲 111c0
14位 砂田真彦 111c0

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