†意識の記録† 理解のブログ

私の私の視点による私の経験の記録。私の視点で見る限り誤りのない認識で記事を書いている。一切の苦情は受け付けない。

手ブレ補正

2021-12-27 18:05:20 | Camera
皆さん、こんばんは。

お久しぶりになります。
単純に記事の更新をサボっておりました。

書こうかなと思ったことはしばしばありました。
ただ、実際に書くまでいかなかったという話になります。


さて、本日の話題、デジタル一眼カメラの手ブレ補正です。
以前も話題にした気がしますけれど、もう少し細かい話をしようかと思います。

最近は、8段補正とか、とんでもない補正段数を公表しているメーカもあります。
それでも、基本のブレの計算方法に何ら変わるところはないはずです。


先ず、ブレには、手ブレと被写体ブレがあります。

先に被写体ブレから。
被写体の画面前後方向(手前~奥行方向)のブレは、 AF-C で追うか、被写界深度内に入れて防げます。
対して、画面上下左右方向のブレは、防げないというのが常識でした。シャッタースピードを高速にするしかなかったわけです。

しかし、今はもう時代が変わりました。
静物に限りますが、ミラーレス化によって被写体の移動方向と速度が測定できるようになったのです。
(画像認識技術向上の賜物ですね。)
先ず、カメラそのもののシフトブレ量(画面上下方向へ平行移動する手ブレ)と、回転ブレ量(ヨー、ピッチ、ロール方向へ回転する手ブレ)は、カメラ本体内のジャイロセンサ、及び加速度センサ(とレンズとの通信で得た情報)から、求めることができます。
それを補正した時、それでも被写体の移動ベクトルが検出されれば、それは被写体ブレということになりますから、それを補正する分だけイメージャをシフトしてやれば良いわけです。

キヤノンの EOS R5 等は、このような画像認識を手振れ補正に用いているという記載があります。
※ 公式に被写体ブレの補正と銘打ってはいなかったと思いますが。

尚、技術的な話をすると、回転ブレ量を出すには、ジャイロセンサで得られる角速度を積分する必要があります。
しかし、ノイズその他によって、積分して得られる回転量はドリフトしていきます。これは不可避です。
それを抑える為には、角速度センサの値を使うのですが、カメラそのものがシフトブレしている場合には、自由度的にもっと他の検出手段が無ければなりません。
その為に、画像認識による被写体の移動ベクトルを使っているわけですけれども、当然、被写体ブレの補正にも使える、という話になるわけです。

更に面倒な話をすると、被写体ブレの検出こそ行っておりませんが、一眼レフでも、 AE センサを被写体認識っている場合があります。
これは、 AE センサが実質的に数十万画素の RGB-CMOS センサを使っているからできることです。
ということは、ここを高画素化すれば、一眼レフでも同様の技術を使えるかも知れません。
哀しいかな、その前に、一眼レフ全盛時代は終わりましたが。


さて、手ブレの話に移ります。

以前、記事で紹介した時は、無限遠時の手ブレの話に絞ったと思います。
これは問題が簡単になるからです。
※ 尚、以下の話は、純粋に数学的な話であって、各社のカメラやレンズでどうしているか、とは全く関係ありません。

古い記事をもう一度参照して頂くのは馬鹿らしいので、無限遠の場合から、もう一度解説していきます。
※ 自分用の備忘も兼ねているので。

無限遠の場合、ブレ量 B [mm] 、焦点距離 f [mm] 、回転量 θ [rad] として、
B = f x tanθ
で、ブレ量を求めることができます。

一般的な手ブレは、±0.5度ぐらいらしい(ソース失くしました)ので、概ね最大 1 [deg] ≒ 0.0175 [rad] です。
θが小さい時、 tanθ≒θですから、焦点距離 50 [mm] の標準レンズの場合、ブレ量最大約 870 [um] と計算できます。

尚、無限遠では、シフトブレはありません。
これは、例えば星を観察する時、隣にいる人と全く同じ角度に望遠鏡を向ければ、画面上の同じところに像があることを想像すれば分かるでしょう。
まさか、1メートル離れたところに居る人は、望遠鏡の角度が異なるなんてことないですよね。鏡筒は全く平行です。
※ 厳密に言えば星は無限遠ではないので、視差と呼ばれるものがありますけれども。

だから、標準レンズより、望遠レンズの方が、同じ手ブレの回転量でもブレ量が大きくなるわけです。
カメラボディ内のイメージャをシフトして補正する場合、望遠レンズで不利と言われるのはここが原因です。
ボディ内のイメージャのシフト量には当然、イメージサークルから来る制限などがありますからね。
従って、広角~標準域なら、ボディ内の手ブレ補正で十分でも、望遠レンズでは不足する為、レンズ側の手ブレ補正機構が欲しくなるわけです。

実際、最近のミラーレスカメラは、ボディ内の手ブレ補正機構が当たり前になった為、望遠レンズ以外は手ブレ補正機構を内蔵しないレンズが増えてますよね。
ニコンなんかは分かり易くて、 APS-C ミラーレスボディはボディ内に手ブレ補正機構が無いので、 APS-C 用レンズは全てレンズ内に手ブレ補正機構があります。
対して、フルサイズミラーレスボディはボディ内に手ブレ補正機構があるので、 105mm マイクロ、 24-200mm 高倍ズーム、 70-200mm f/2.8 、 100-400mm f/4.5-5.6 にしかレンズ側の手ブレ補正機構がありません。

他に分かり易い例では、ペンタックスがありますね。
ペンタックスは SR と呼ぶ手ブレ補正機構をボディ側が持ってますけれども、超望遠レンズを装着すると、イメージャがシフト限界に達して、端っこに当たるカタカタという音がします。
※ 最新機種でも音がするかは分かりません。少なくとも昔はそうでした。


次に、無限遠ではない場合を解説します。
複雑なので、イメージャを中心に回転する場合をまず解説します。
ファインダを覗いている場合は、ほぼイメージャを中心に回転すると考えられます。
ブレ量 B [mm] 、撮影倍率 β 、撮影距離 D [mm] 、回転量 θ [rad] として、
B = βx D x tanθ
で、ブレ量を求めることができます。

撮影距離は、カメラ上面にあるフィルム位置マークから、物体までの距離です。
※ レンズ前玉から物体までの距離は、物体距離=ワーキングディスタンスと言い、違うものです。
撮影倍率は、等倍マクロで至近端なら 1 、無限遠でゼロです。

例えば、クォータマクロ(撮影倍率 0.25)で、撮影距離 200 [mm] 、回転量 1 度なら、
B = 0.25 x 200 x 0.0175 ≒ 870 [um]
となります。
普通、撮影倍率は最短撮影距離でないと我々ユーザは知ることができないことに注意です。
※ 例えば NIKKOR Z MC 50mm は、等倍マクロで最短 0.16 [m] です。

そして、ここにシフトブレが足されるわけです。
シフトブレは、ブレ量 B [mm] 、撮影倍率 β 、移動量 X [mm] として、
B = βx X
となります。

先ほどのクォータマクロ(撮影倍率 0.25)なら、移動量 1 [mm] として、
B = 0.25 x 1 = 250 [um]
となります。
※ 回転ブレ量と合わせれば、 1120 [um] になります。

当然ですが、等倍マクロなら、移動量とブレ量は一致しますから、手がちょっとプルプルしただけでブレちゃうわけです。
逆に、クォータマクロですら 1 [mm] ずれてこんなものなので、通常の撮影ではシフトブレを気にする必要はないとも言えます。


式を見れば当たり前の話ですが、シフトブレや、無限遠でない時の回転ブレ量を計算するには、撮影倍率が必要となります。
これは、電子接点の無いレンズを装着した際、カメラへ入力しない情報ですよね。
(普通は、焦点距離の情報だけ入力しますよね。)
だから、オールドレンズでも手ブレ補正が効くぜぇ!ヒャッハー!とか思っている方は、あくまで無限遠時のみ適正な補正が行われているに過ぎないことを認識しないといけません。
※ これがあるので、オールドレンズとピッタリの焦点距離を入力出来ない場合は、近い数字ではなく、短い方の数字を選んでおかないと過剰補正になる可能性があります。

このせいなのかどうかは分かりませんが、 NIKON Z カメラに F マウントのレンズを着けるとシフトブレ補正してくれません。
きっと、 F マウントの通信データに撮影倍率の情報が無いんでしょうね。だから、有限距離の回転ブレ補正も Z レンズに比べれば劣っているのかも知れません。
※ フラッシュの露出補正はできるから、撮影距離の情報はあると思いますが、それだけでは足りないです。
新しいマウントや、新しいレンズ、カメラほど、ボディ・レンズ間でやり取りしている情報が増えているから、やれることも増えて当然ということです。


さて、最後に、ファインダを覗かずに撮影している場合をちょっとだけ解説します。
簡単に言えば、ライブビューモードにして、 LCD 画面を見ながら撮影する場合などですね。
この場合、回転中心がイメージャよりも物体側へズレるか、手前側へズレるかで、ブレ量が増減します。
※ 回転中心は、カメラがボディ内のジャイロセンサ、加速度センサで求めている(と妄想しています)。
回転中心がイメージャ上にある場合からの、ブレ量の補正量 B' [mm] 、撮影倍率 β 、イメージャから物体側へ D' [mm] ズレたところで回転する時、
B' = -β x D' x tanθ
が、ブレ量の補正量です。

つまり、カメラを持っている手首や、肘を中心に回転させてしまった場合、 D' < 0 となるので、ブレ量が増えてしまうわけです。
というか、普通はそうなるので、ファインダを覗かずに撮影すると、ブレ量が本来より増えて、ブレ易くなるのです。
ファインダを覗いている場合、カメラを支えやすくなってブレにくくなると説明している人がをりますけれども、それだけが原因ではなくて、純粋に数学的に、回転中心のズレによるブレ増もあると考えてよいです。
最悪なのは、マクロ撮影時です。ただでさへ撮影倍率が大きいのに、無理な体勢となる上、ライブビューモードを使いがちですからね。

逆に、三脚の自由雲台に望遠レンズの三脚座を固定して、動かしながら撮影する場合は、 D' > 0 ですから、ブレ量が本来より減ることになります。
ただでさへブレやすい望遠レンズに三脚座があるのは、重すぎてマウントが歪むという問題以外に、こういう意味もあるわけですね。
なので、望遠レンズで撮影する時は、レンズ前方を支えている手が支点になるようにして撮影すると、ブレを抑えられるわけですね。


今日は、長々とカメラのブレについて数学的側面から解説致しました。
では皆さま、よいお年を。



以上。
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