実習

2007-04-24 23:02:47 | Weblog
 心理学系の授業で架空の商品を考えだし、そのセールスポイントや価格を設定してその商品を周囲の学生同士で売り込み合うという実習がこの前あった。架空の商品と言っても『新型の傘』に限定するとの教授からの指示。しかし今までなかったような斬新、かつマトモな傘を5分間で急に考えろと言われても土台無理な話である。どうせ撥水性やら省スペース系のネタばかり出てくるんだろうなぁと思ってたら、案の定周囲からはその手の新型傘のオンパレードである。とはいえ、自分も良いアイディアが全く浮かばず呻吟していた所、残り時間も僅か30秒たらずに。というわけで止むを得ず、泣く泣く、苦し紛れに『コーラン傘』なる物を発案。構造は単純。傘に、コーラン(クルーアーン)を音読したテープを流すためのaudio機器をつけるだけ。

セールスポイント:イスラム教徒増大
価格:1000円

 いわゆる破格である。audio機器を取り付けるだけで赤字経営になること必至なわけだが、どこぞの馬の骨だか判らぬ人達に作って貰う事で人件費が削減され、価格が抑えられたものと仮定していただきたい。とはいえ、交渉が始まるも、拙者の饒舌虚しく、当たり前のように売れないコーラン傘。イスラム教だけではなくキリスト教やユダヤ教、もちろん仏教や新興宗教のプロパガンダなんかにだって応用可能な技術なのに全くニーズが無いらしく、友人にすら爽やかに購入拒否される始末。雨が降るというこの単純な気象学的事実を、audioから美しく響き渡るコーランの言葉を使用する事でアッラーへの帰依を誓う若者を続出させイスラム共同体の繁栄に利用してしまうという、この画期的な新型傘ではあるのだが、聞けども聞けども購入者欄に次々と連なっていく購入拒否のマ-ク。『なるほど、これが日本であった』と意味不明な一人合点をする。実習後に改めて購入拒否のマークの塊を見ていると、日本人の精神を形作るも、その影響が顕在化せずに無視され、そして変形してきた仏陀や八百万の神々達の歪んだ微笑の一端を見たような気にさえなる4月下旬の春雨時である。無論、こんな傘が売れてしまうと中東のみならずこの小さな島国においてもジハードの危険性は益々高まるわけだが。しかもイスラム教の断食の文化が浸透してしまうと日本の美しい食文化が衰退してしまうのではないかという懸念も残る。さらには、交渉中に『中東では売れる』と断言してはみたものの、どうやらあちらはあまり雨が降らなさそうである。何はともあれ、CMは電通に依頼するとして

朝食べた焼き魚定食 600円

使いかけのピンクな玩具 1個 820円

新品のコーラン傘 1本 1000円

西暦からヒジュラ暦への変化  priceless

お金で買えない価値がある。



※この実習の本来の目的は、説得的コミュニケーションがどのような形で行われるのかという事を考える心理テストでした。ちなみに、もちろん私は宗教の信仰を持っておりませぬ(笑)