四駒笑劇漫画

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メカニカルマン(機械人間) 誰も知らない驚異のロボットバトル

2007年03月31日 | 誰も知らないZ級映画評
メカニカルマン(機械人間)
1921年公開:日本未公開
Mechanical man(L' Uomo meccanico)

監督・脚本・主演:アンドレオ・ディープ

今日のタイトルを見て「知ってる!」という人はかなりの通です。
知らなくて当たり前、日本じゃ公開されたかどうかも定かではないとの事。
そんな1921年のイタリアの作品です。
しかし、そんな古い作品面白いの?って思われる方が殆どでしょう。
実際、何を隠そう私もそう思ってました。
しかし、これが意外や意外。
メチャクチャ面白い。

まず、登場しますのは悪党マド。
なんと、こやつ美女にして片目、して天才的犯罪者なのです。
この設定だけでも時代を感じさせません。



次に登場しますは、メカニカルマン!
ロボットですが、ただのロボットではありません。
人間の約2倍の巨体に秘められた能力は驚異的。
走らせれば車より速く、攻撃させればドアなんか一撃、手には火炎放射器まで設備。
その上、遠隔操作で動くという話を聞き、何を思い出します。
そう、あの横山光輝「鉄人28号」でしょ!
もちろん横山氏がこの映画を知ってか、知らないでかは確認のしようがありませんが、
その姿、その能力、そしてストーリーは瓜二つ!
(もう、この時点で喰いついた貴方はこのDVDを購入すべきです)

お話をする前に少し…
実はこの作品、現在、米国のAlpha Videoが発売しているものが唯一の映像なのです。
しかも、Alpha Videoの出しているDVDもフィルムして740mm(約25分)ですが、
オリジナルは1821mm(約60)分だという事です。
しかし、このDVDのマスター・フィルムも
ブラジルのブラジリアンフィルム社で発見された物とされていますが、
誰が見てもVHSテープ。
(よう、そんな事、云えるわと思ってしまう)
ですから、紛失した部分はAlpha Videoさんの推測による字幕でフォローされています。

科学者アクアロは巨大ロボット『メカニカルマン』を発明します。
しかし、それを知った女悪党マドとその手下は博士にメカニカルマンの設計図を渡すよう命じます。
拒否したアクアロはマド達に殺されてしまいます。
ラムベリー刑事はマド達をあっさり逮捕。
刑務所にぶち込みます。



しかし、このマドという女、ただ者ではありません。
独房で隠し持っていた薬を打ち、重体になり、監視の甘い警察病院に入院します。
警察病院では看護婦の隙を見て、巧妙な手口で放火!
たちまち、火の海になります。
そして、その隙に脱走。


その後、今度はアクアロの甥っ子で美少女エレナを誘拐し、
要求として叔父の隠し持つ設計図を渡す様に言います。

エレナの親戚のおじさんにあたるサルタレロはかなりのおっちょこちょいな人物。
その上、出しゃばりなので誤解を受け易いタイプ。
ラムベリー刑事はサルタレロを誤認逮捕します。

叔父はマドに設計図を渡し、エレナは開放されます。
エレナはすっかり落ち込んでいます。
刑務所から出てきたサルタレロは彼女を勇気づけます。
すっかり、元気になったエレナを喜んで、
(またまた親戚の)ドナディフィー伯爵夫人は、彼女の家で、パーティーを開いてくれます。



そこに現れたのは巨大ロボット・メカニカルマン!
ドアを一撃で破り、襲いかかってきます。
サルタレロはあわてて逃げますが、ロボットに投げられ、
危うく絶命する処を、持ち前の運の強さで乗り切ります。



あくる日からメカニカルマンは街中で大暴れ、
壁に備え付けの金庫も手から発射されるレーザーで持ち去り、
入口や壁も簡単に破壊します。

エレナの父や叔父のサルタレロも抵抗しますが、敵うはずもなく、反対に車で逃げ出します。
ところがメカニカルマンは車を追ってきます。
しかも、かなり速い!
(このシーンの合成は大爆笑まちがいなしです!)
ところが流石のメカニカルマンもこの行動には無理があったようで、回路がショート。
たちまち故障してしまいます。

ここをクリック!!動画が観れます。PCのみ


そうとは知らず、サルタレロは駆けつけた警官をマドの仲間と思い、銃撃します。
その中には御存知ラムベリー刑事もいて、またしてもサルタレロは逮捕されます。

その隙にジプシーに化けたマドとその手下がメカニカルマンを回収しにいきます。

日が変わって舞踏会の日。
みんな思い思いの扮装をしてオペラ座に集まります。
美女オルガは舞踏会の女王に選ばれます。



そこに現れた謎の仮装。
しかも巨大な仮装はその名も『メカニカルマン』。
みんなは大喜びで大歓迎。
メカニカルマンの方もテーブルについてオルガにシャンパンを振るまいます。



これに嫉妬した男性が決闘をはじめます。
その時、一人の男が叫びます。

「こいつは本物のメカニカルマンだ!!」

(気づくのが遅い!)
オペラ座は大パニック!
先程の決闘を挑んだ男は投げられて、踏みつけられ死亡。
さらにメカニカルマンは美女オルガを捕まえ、服を破き、裸にして二階から下に投げつけ、惨殺します。
(この描写はなかなかバイオレンス!)



---------ネタバレ------------

舞踏会の少し前にアクアロの弟はマドに対抗する為、
メカニカルマン2号機を完成させます。

2号機を研究室で操り、1号機のいるオペラ座に向かわせます。
かくして、二人のメカニマルマンの対決は始まります!

その頃、警察を抜け出したサルタレロはラムベリー刑事に追われています。
サルタレロは山のふもとの風車小屋に逃げ込みます。
そこには大きなモニター、そしてあのマドが一人で何か機械を操作しています。
そう、ここはメカニマルマン1号を操る秘密のコントロール・ルームだったのです。



モニターを見て、大事を知ったサルタレロは機械を壊します。
機械はショートして大爆発を起します。
マドはその爆発で死んでしまいます。

当然、メカニカルマン1号は動かなくなり、2号が勝利します!

なんと、ラムベリー警部がマドの片目の仮面をとると、あの優しいドナディフィー伯爵夫人の姿が!
彼女がマドだったのです。

事件は無事解決。
エレナとその父に送迎され、
疑いの晴れたサルタレロは今日も陽気に帰って行きます。




てな具合です。
まあ、お話だけだと普通の物語のようですが、
これが今から90年近く前に作られたお話だと思うと凄いでしょ。
だって、まだ機関車の時代ですよ。
もちろん、白黒だし、映画もサイレント。
テレビを発明する5年以上前。
電気を多用し、レーザー光線や、リモートコンロールや車より速いロボット。
これを想像したアンドレ・ディープはかなりディーバな知識の持ち主だろう。
いやまさに天才だろう。
本当に信じられない映画でした。

でも、日本では未だに知る人の少ない隠れた作品なのです。
よければ、皆さんもこの機会にアマゾンで購入していませんか?


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