日米非武装地域へ
小出
「🇨🇷コスタリカの平和文化がぜひ🌍️世界に広がって欲しいし、広げて欲しいと思います。いま、もっとも🌎️世界に発信して行きたいことは何ですか❔」
アリアス氏
「人類社会から対立が消えることはありません。ですから、🌕️対立の解決法が重要です。🌕️対立する問題点を対話を通じて解消することが、もっとも文明的な方法です。
コスタリカが1949年に軍隊を廃止したのは、たまたま成り行きで夢を実現したのではありません。❇️強い意志があったからです。❇️軍隊廃止はやればできるのです。コスタリカは、周辺の国にそう呼びかけています。
🌕️コスタリカの南の隣国、🇵🇦パナマも1994年に軍隊を廃止しました。私たちの説得を受け入れて、憲法を改正したのです。
🌕️もし近い将来、北の隣国、ニカラグアを同様に納得させることができたら、おそらく中米が世界で初の非武装地域になるでしょう。
🌕️中米非武装地域が成立すれば、その事実が世界に広がるでしょう。🌕️特にアフリカに広がることを期待しています。
アフリカには、極貧国が集中しています。▼そこに富裕な工業国が武器を売り込んでいます。これこそ、犯罪、不道徳というべきでしょう。
🌕️みなさんの国のある北東アジアにも、非武装地域ができたら、と思います。
🌕️私は、他のノーベル平和賞の受賞者たちとともに、武器取引に関する倫理規定の創設に力を注いでいます。
▼独裁者のいる国、
▼人権侵害のある国、
▼国民を武力で抑(おさ)えつけている国、
▼他国を侵略する国、
▼テロリズムを支援する国
などに、🌕️武器の売り込みを禁止するというものです。
(👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏)
🌕️特に、アフリカのサハラ砂漠の北側に位置する国々に、軍事縮小を説いています。
あの地域には、仕事がないので兵士になっている人がたくさんいます。そこで❇️5万人の兵士を2万人に削減するためには、🌕️まず職業訓練が必要です。🌕️そこにお金を回すように、私たちは説得し支援しています。❇️こうした支援が軍備縮小につながると確信しています。▼貧しい国が貧しくあり続けるのは、💀武器に貴重なお金を浪費しているからにほかなりません」
(👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏)
👑平和を輸出する
小出
「コスタリカの平和を世界へ輸出する、ということですね。平和の輸出を続けてゆくことを、コスタリカの人々はごく自然体で支持しているようです。やはり平和文化の教育の成果でしょうか。アリアスさんをはじめこの国のリーダーのみなさんは、そのことに自信を持っているといっていいでしょうか」
アリアス氏
「コスタリカは資源のない貧しい国です。地図を見てもらえばすぐ分かるように、ごく小さな国です。次世代の子どもたちを育てるために、まだ欠ける点があるのも確かです。
それでも私が、ノーベル平和賞を受け、非武装地域構想を発信してゆくことができるのは、コスタリカの人々と価値観を共有しているからです。
1990年に大統領の任期を終えてから、ずいぶん外国へ出かけました。ノーベル賞の受賞者はみな同じですが、世界中でセミナーや講演会や円卓会議などに参加し、平和について話す機会に恵まれます。
日本にも何度か行きました。多いのはアメリカやヨーロッパです。大学や高校で若者に話す機会があります。私はこうした機会にコスタリカ人の価値観を広めているのです。
平和の価値と意義を発信することは、いまの世界を考えると、ほんとうに大切なことだと思います」
小出
「話は変わりますが、武器とともに世界が問題にしている麻薬について、どう考えていますか」
アリアス氏
「一般的に麻薬問題が話されるとき、焦点が麻薬を生産している側にあり、需要の側は除かれていることが多いようです。
しかし、需要がある限り、生産が続くのです。麻薬を消費しようとする人々がいる限り、麻薬の供給も続くのです。
武器の場合と逆です。
武器生産国は『自分たちが売らないと、他の誰かが売り込む。だから、自分たちが売り込む』と言います。生産国が自分たちの都合で売り込んでいます。
しかし、麻薬では、消費する側にもっと目を向けるべきだと思います。ですから、麻薬の需要を減らすために、消費する国々で、いま以上に対策が必要です。
小出
「最大の需要国はアメリカです。アメリカはもっとこの社会問題解決に努めるべきだということですか」
アリアス氏
「ええ、確かにアメリカの需要は最大ですが、他の富裕な国も同様です。🌕️結局、教育や倫理観の強化で解決しなければならない問題です。
ただ、繰り返しますが、需要がある限り、コロンビアやペルーやミャンマー、そのほかの国で、いまも、これからも麻薬生産は続くでしょう。海外から入らなくなれば、北米の町でも需要に応(こた)えるべく、生産されるでしょう。
▼麻薬は倫理観の問題です。❇️21世紀に通ずる新しい倫理観を創造しなければならないのです」
🌕️麻薬対策も一種の応用問題である。❇️自己の平和を出発点にして、他者との平和を築き、社会から自然までの人類を取り巻く環境との平和を実現する。
🌕️平和文化の理念に基づく教育を進めてゆくなかで、こうした❇️人類の大きな課題に取り組む人材が出てくる。
❇️アリアスさんの確信を感じた。
(👧わたしが自分にとって大切なものがあるなら、他人にも大切なものがあることを教育(先生と本、親、環境)から知ることができました。日本が自由に本が読める国であることにとても感謝しています。わたしと他人(人類)を取り巻く環境整備(平和)こそ自分たち(人類)の課題である。それに気付けば戦争など人命と人心と環境の破壊にすぎないことを知りました。
❇️自分の平和を考えることを出発点にして、他者との平和を築き、社会から自然までの人類を取り巻く環境との平和を実現する。
貧しい子供の自己責任なんてない。親の時代から貧しいからだ。努力してお金を儲けたり親がお金を持っている人でなれば大学などに入れない、最高の学問は学べないシステムが間違っているとも思います。どんな環境の子どもにも教育を❗そのためには良い環境を❗そのためには戦争をやめる❗)
ノーベル平和賞受賞者
コスタリカ大統領
オスカル・アリアス・サンチェス氏と語る
小出五郎 著
📖『戦争する国 平和する国』(佼成出版社)
中米コスタリカを舞台にした未来のためのドキュメンタリー・リポート。
元えぬえいちけー解説委員、科学ジャーナリスト小出五郎氏が、オスカル・アリアス・サンチェス大統領を徹底取材。非武装中立、環境保全、教育重視の平和政策はどう実現されているのか。その理想と現実を追う。
「……❇️平和は平和的手段でのみ達成できるのです。平和的手段とは、
🌕️対話、
🌕️理解、
🌕️寛容、
🌕️自由、そして
🌕️民主主義
です。
……中米の将来は中米にまかせて欲しい。戦争を強いるのではなく、中米地域の努力を支援して欲しい。……もし自国の事情で武器の在庫を空にしなくてはならない場合であっても、少なくとも中米には関わらずに平和な状態にしておいて欲しい……」(本文より)