この坂を登れば

こないだ岡山へ行った際、自分達の思い出の場所をたどるドライブをしたんだけど、その時一緒に自分が下宿していた場所へも…前にもチラッと立ち寄ったことがあるけど、あれからもう何年経つんだろうか。

アパートを借りていた他の友人と違って、自分は小さな木造平屋一戸建てを借りていた。間取りは”３ＤＫ”。学校へは少し距離があったけど、一人で住むには少し広い。だから「何かをしよう」となったらたいていは自分の下宿先に集合していたし、親や友人は当然のこと、友人とその彼女…という、今考えれば男一人で住む家には少し奇妙かと思われるような取り合わせ(笑)の人たちも泊めたことがある。
部屋が広いのと引き換えに難点もあった。まずシャワーがない。風呂に入るとなったら、ガスで水から沸かさなければいけなかった。だからすぐに入りたくても最低３０分はかかる。それにトイレが水洗じゃなかった。最初、コレにはちょっと参っていたんだけど…まぁ慣れればなんてこともなかった。それ以外は日当たりがほんの少し悪いくらいで、住むのにはまったく問題がなかった。
まぁ元々が古かったから、そこは自分が卒業してすぐに取り壊された。今はどこにでもあるような二階建てのアパートが建っている。面影はほんの少ししか残っていない。それが分かっていても「あの頃の自分は今の自分にどう映るのだろう？」と確認するように、当時の自分を探してしまう。
写真はその下宿先近くの坂道。登りきったところに下宿先がある。逆にここはまったく変わっていない。当時は自動車を持っていなかったから、見た目の割には少しキツイこの坂道を、自分は自転車で走っていた。雪の日には自転車で思いっきり(しかも何度も)転んだり…ここでは書けないことも(笑)。

今でも目を閉じれば、あの頃へ戻ることができる。１０年前の自分は間違いなくここにいて、この道を通っていました。