さいこの部屋

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安永徹&市野あゆみ デュオ・コンサート

2011-05-23 23:55:19 | 演奏会・観劇覚書

さて、演奏会。その2。
そうです。この日は演奏会を2つ立て続けに聞くことになっていたのです
場所もともに京都コンサートホール(大ホールと小ホールの違いはありますが)。
昼以降、コンサートホールに居続けです。
京響定期(レセプションも)が終わった後、そのまま3階へ。

【京都ミューズ クラシック・シリーズ2011第1回例会 安永徹&市野あゆみデュオ・コンサート】
2011年5月21日(土) 18:00~@京都コンサートホール 小ホール
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第40番 変ロ長調 K.454
ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト長調 op.78 「雨の歌」
プロコフィエフ:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番 ヘ短調 op.80
エルガー:「夜の歌」/「朝の歌」
演奏:安永徹(Vn)、市野あゆみ(Pf)

安永徹さんといえば、クラシックをかじっている人なら知らない人はいない、という人物。
ベルリンフィルのコンマスとして、長きにわたり世界有数のオケを率いてこられた方です

一気にひきこまれました。すごい音色です。
「のだめ」の中に、同じ「ベルリンフィルのコンマス」カイ・ドゥーンの音色を聞いた千秋が「ベルリンフィルの音がする…」と感動する場面がありますが、まさしくそんな感じです。
同じヴァイオリンでも、昼間に聞いたレゴツキ氏の音色と全く違います。
何と言うか…「気品あふれる宝石のような音」というか。洗練され尽くした音色です。
繊細かつ大胆で、ヴァイオリンという一つの楽器から出せるすべての音色を出していらっしゃったように思います。
また市野さんのピアノの音色も物凄く深くて、ピアノってこんなに美しい音が出るんだ…と思うほど。
その2つの音色が柔らかく絶妙に絡まり、心も体もふわりとくるまれたような気がしました。

〝天才”モーツァルトのソナタは本当に美しかった。
さらっとした音楽ですが、これは実は演奏するのは物凄く難しい曲なんだろうなあ…と思わせる、そんな曲でした。
しかし息もぴったり。本当に心地よいモーツァルトでした。

私の大好きなブラームス。私の中ではこれがこの日のメインでした。
ほぼ1年前、同じクラシックシリーズで取り上げられた、竹澤恭子さんのリサイタルでも同じ曲を聞きましたが、その時とはまた違う「雨の歌」。
この曲、大好きです。
哀愁が漂いつつも、どこか暖かい…「秋の夜に部屋で雨音を聞いている」そんな雰囲気の音色でした。

メインプロのプロコ。
実は私は…プロコが苦手なのです。
この人の曲はどうにも難解で、自分の中にすとんと落ちてきたことがない。
そんな先入観もありつつ聞いていましたが、これまた素晴らしい音色でした。
やはり曲そのものはすごく難解なのですが、「Don't think, just feel」ってまさしくそんな感じで聴いていました。
不思議なことに、この曲も「夜」を感じさせました。
冬の寒い夜…霧の濃い…そんな雰囲気を感じさせました。

ラストのエルガー。
安永さん自身もおっしゃっていましたが、立ち位置としてはすでに「アンコール」なんでしょうね。
エルガーらしい柔らかく暖かい曲です。
この「夜」は春の夜ですね。まだ寒いのだけれど、どことなくほのかな暖かさがあり、さわやかな朝が訪れる…。

こんな風に感じたのは、私だけかもしれませんが、同じ「夜」なのにこんなにも違う、それを目に見えるかのように感じさせてくれるような演奏でした。
すごい。すごすぎる。

アンコールはグラズノフの瞑想曲。この日はグラズノフに縁のある日だったようです。
グラズノフの作品、実はいいものが多いのでは、と思います。これから少しずつ聞いてみようかな。

終演後、ひょんなことから打ち上げにお誘いいただき、参加させていただきました。
安永さん、市野さんご両名ともたくさんお話しさせていただいて、本当に光栄でした
私生活でもご夫婦のお二人、お互いを大事に思っていらっしゃるのがとても良く分かりました。
安永さんは物凄く謙虚な方で、とても丁寧にお話しくださいました(本当にすごい人って、本当に腰が低い方が多いですよね…)。
最後にお話しになっていた内容が、とても印象的です。
「私たちは舞台で2人で演奏していて、2人で会話をしているようだけれども、そうじゃなくて3人、3者なんです」と。
つまり、お客さんからの沈黙の中にある反応が伝わってきて、あ、今自分たちの語ったことが伝わった、そしてこういう反応が返ってきている、じゃあ次はこうしよう、ということが言わなくても分かる、と。
すごいなあ…と思いました。自分はまだ自分の表現を表に出すことで精いっぱい。
先日の「マタイ受難曲」も、「表現する」こと自体はよくできたと思うのですが、お客さんからの反応を即時に反映させて表現を十色に変えていく、ということに到達できるのはいつのことか…。

最後に一緒に写真を撮っていただきました。
自分のヴァイオリンケースの中に飾って、お守りにします(それだけで何か上達しそうな気がするほどです…)。


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