F 嫁 log
アリーナ・コジョカル というダンサーとの出会いは、偶然ネット上で目にした一枚の写真だった。
ジゼルの2幕、ウィリの衣装でアラベスクのポーズ。
その姿は忘れがたく 「 彼女は何者なのだろう… 」 と調べ続け…勢い余ってロンドンまで行ってしまった。
そして、バレエの魅力にはまり込んだ私達。
アリーナの魅力は、まるで音と戯れて踊っているようにさえ見える音楽性。
そして若々しく愛らしい容姿だ。
大ファンである私であるが、以前はコジョカルが若さを武器に出来なくなった時どうなるのだろう…と思っていた。
しかし怪我から復帰してからの彼女の成長は目覚しく、見るたびに私を( 嬉しい意味で )裏切ってくれた。
素晴らしいアーティスト。
この 「 ジゼル 」 も彼女の高みを更に引き上げた。
これからますます彼女の創り上げる世界から目が離せなくなるであろう。
第 1 幕よりつづく
第2幕
さて、オケが始まり幕が開く。
夜の墓地。
鬼火が揺れる。
ミルタが登場。冷たく美しく踊る。
そしてウィリ達が登場。
冷たく静かに…
( ドゥ ウィリの一人、奈良春夏さんがとても繊細で美しい踊りで目をひいた )
そして、ウィリ達が縦二列になり、いよいよジゼルウィリ登場。
頭に被った白い布がさっと引きはがされて…
中央に走り出て、アラベスクの回旋。
早い!! ( 隣でオペラグラスでガン見するFが 「 フュー 」 と声にならない息を吐き出した )
ファイイ・アッサンブレで舞台を右へ左へと漂うジゼル。
上半身は弛緩しているかのごとく柔らかで、しかしながら空中を漂うがごとく跳躍している。
まさに鬼火。
ジュテのあとの高速シェネ。
まるで床から 5 センチくらい浮いているようだ。
そこへ白い百合を抱えたアルブレヒト登場。
アルブレヒト登場のシーンは、白いゴージャスな百合の花束を肩にスターオーラを輝かせての登場…のイメージが私にはある。
が、ヨハンの演じるアルブレヒト。
大切に腕に抱えた白い百合の花束は可憐に清楚に見え、まるでアリーナ演じるジゼルを抱きかかえているかに見えた。
深い哀しみが押し寄せる。
そしてお墓の前で、ウィリになったジゼルがアルブレヒトの周りを舞い始める。
第1幕では言葉がひとつひとつ聴こえてくるような二人の踊り。
しかしながら、第2幕ではまったく無音になった。
そう、アルブレヒトは精霊( 亡霊 )になってしまったジゼルの存在を感覚のみで感じている。
見えてはいない。
でも、側にいる。
彼は、聴覚・皮膚の感覚をフル回転させてジゼルを追っている。
隣でFがオペラグラスを外した。
ディテールにこだわるFはオペラグラスを多用する。
しかしながら目前のシーンは肉眼、いや全神経で見るべきだ。
そうFも感じたのだろう。
私達は舞台の上で唯一の人間であるアルブレヒトの気持ちにリンクしていた。
長い長いアラベスク、ゆっくりと高いア・ラ・ズゴンドでのバットマン・デヴロッペ、そしてアラベスク。
今思うと、もの凄いものを観たのだと思う。
たぶんその部分だけを切り取って、ガラコンサートで演じたとしても大喝采だっただろう。
素晴らしい技術と鍛錬。
でもそれ以上に素晴らしかったのは、アリーナとヨハンはジゼルとアルブレヒト以外の何者でもなかった事だ。
すごい技術であったが、ウィリはたぶんそういう風に踊るのだろう…とすんなり思えた。
アルブレヒトに 「 気付いて!気付いて! 」 と踊るジゼル。
感じようとするアルブレヒト。
それを見ている私達。
大きく息をしたら、ジゼルが消えてしまいそうで息も出来ない。
ついにジゼルの存在を確信し、つかの間、幸せに浸るアルブレヒト。
そしてミルタとウィリ達が登場。
アルブレヒトは自分の意志とは別の何かに操られ踊り狂う。
何か大きな磁石が遠くに存在し振り回されて踊っているようなアルブレヒト。
彼もまた、普通の人としての踊りではない。
もっと踊りなさいとけしかけるミルタから彼を守る為に踊るジゼルウィリ。
ア・ラ・ズゴントからデヴロッペしてアラベスク旋回。
相変わらず肉体を感じさせない…デヴロッペする時に上げるのはもちろん、足を下げながらアラベスクに移る時の速度といったら…
まるで紙が空からゆっくりヒラヒラと落ちてくるよう。
そして、足を後ろに跳ね上げながらピョンピョン(スーブルソー?)跳ぶさまはキョンシーを彷彿とさせた。
お化けなんだ…と確信する。ただし、とても美しい動きのお化けだ。
彼女の筋肉はどうなっているのだろうか。
多分、肉体的にはとてもハードな踊りなのに、アリーナのジゼルが発する空気は慈愛に満ちている。
静謐な美しさ。
オペラグラスを覗くと、それは美しい美しいジゼル。
アリーナはこんなに美人さんだったろうか(笑)
確かにウィリはヴァンパイアでもあるのだから…人間を惑わすくらい美しくなくてはいけない。
アリーナ完璧♪
そして、アルブレヒト最大の見せ場であるソロのヴァリエーション。
呪われて踊り狂うアルブレヒト。
アントルシャ・シスを繰り返し飛び続ける。
肩は上がり下がりして苦しそうだが、美しい足先は確実正確なテンポで飛び続ける。
嫌でも踊らされ続けているのだろう…赤い靴を履かされた少女のように。
いやはや呪われているのだからしょうがないのだが…凄い踊り。
もうダメだ…とアルブレヒトが力尽きようとした時に日の出の鐘が鳴る。
走り去るウィリ達。
そして名残惜しげに去っていくジゼルウィリ。
その時に落ちた小さな花一輪。
たった三つの花弁の花。
アルブレヒトが気づいて手に取る。
「好き…嫌い…好き…」
微笑むアルブレヒト。
素晴らしい舞台。
ジゼルの物語を堪能した。
アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーは素晴らしいダンスカップルだと思う。
前回 「 ロミオとジュリエット 」 の際に、Fが 「 コボーがロミオだったら、コジョカルちゃんの死体っぷりはもっと上がったはず 」
とボヤいていたが…確かにそうだと再確認した。
次は彼女はどんなものを見せてくれるのだろう…
ロンドンに行きたい気持ちになってしまった夜だった。
でも、マノンは大丈夫そう
コジョカル、本当に可愛いですよね。
舞台を見ながら(このまま瓶詰めにして持ち帰りたいくらい可愛い~)っていつも思ってしまいます。(笑)
それから、さすがsoraさんは、演奏もきちんとチェックされていますね。
私はピーとかプーとかの時はわかりますが…。
でも、今回は音が気にならなかったので、とても踊りと音楽が合っていたのでしょうね。
木曜日に向けて、ちょっと予習をしています。
グルヴェローヴァの椿姫を観ています。
今にも倒れてしまいそうなコジョカルジゼルの後のせいか、とても健康そうなヴィオレッタに戸惑っているのですが(苦笑)
でも、一幕から超絶難曲で声のコントロールの凄さに驚いています。
ロイヤルオペラでヘロヘロしてましてすっかりコメントが遅れてしまいました。
私は一日目を鑑賞してきました。私も真ん中ゾーンですが似たような位置でした。
やっぱり‘可憐’ですよね。
ホントに少女マンガ?の世界から抜け出てきたようなお姿とお顔です。
一幕はとにかく何から何まで可愛くて可愛くて。。。
ジゼルはこれで今年のニーナさんに続いて2回目ですが、やっぱり演じる人によって違うものですね。どちらも素晴らしかったですが、ニーナさんのはやっぱり大人でしたね。もちろん悲しんでいるのですが、達観してる感じでした。一方のアリーナさん、ひたすら悲しそうに私には感じられました。可哀想でうるうるです。
コボーさんって、背も高くなさそう、スタイルも良くはなさそう、そして何よりくどそう、という失礼な予想をしていたのでどうなるかと思っていたのですが、なかなか好印象でした。そんなに凄い技を見せるわけではないんですけど、演技が上手いのでしょうね。不自然な感じが無くて良かったです。
あと、アリーナさんを持ち上げるのがホントに上手くて、まさに軽々ふわっとでした。
後、今回は演奏にも満足しました☆
ソロなどは色々不満もありましたし、ちょっともたつくところもありましたが、全体を通して安心して聴いていられる演奏でした。
ゆうぽうとって、やっぱり小さいホールですよね。結構音量がでかくなりがちなので、あんまり近くで聴くんじゃなくて、ちょっと席が離れた方が視覚的にも私には合う気がしました。
それからウィリ達とミルタが横一直線で並んで踊るところ辺りがまじで凄かったです。
次回はいつ観られるのでしょうか。
オペラなどでいっぱいいっぱいですが、アリーナさんおこれからの来日は絶対に見逃しません!!
コジョカル嬢とコボーが見て「全然、違うじゃん」と突っ込まれたらどうしよう(汗、苦笑)
実は今回のジゼルは
「コジョカルだったらこう演じて踊るだろう」という私達の予測をかなり逸脱していました。
コボーの作り上げたアルブレヒト像、二幕での超絶技巧(長い長いバランスなど)…
やり方によっては、「やり過ぎ」「役柄を歪めている」とも言われかねないギリギリの所で、ジゼルの世界を作っていたように思います。
でも、素晴らしいテクニックと二人のパートナーシップによってまとめ上げられていたような…。
実は、コジョカルちゃんのジゼルにこんなに興奮すると思っていなかった私達。(私)
仕事も忙しい週(私が)だったのと、ちょっと大人ぶって出待ちはしないと決めていたのですが…
家に帰ってから、じわ~じわじわ~と舞台の良さが蘇り、今頃(やはり出待ちすれば良かったな~)と思っております。
先ずは「ありがとうございました」とお礼申し上げます。
音楽もそうですが、観た&聴いた&感じたことを他人様に伝えるのは至難の業ですね。(なかなかお二人のように書けません。苦笑)本人がその世界に踏み込んで、それなりの勉強をし(苦笑)、そして感じとる力がないことには、残念ながら心からその芸術を楽しむことは出来ませんものね。
そこが芸術の芸術たる所以かも、、、ですが。
今回ジゼルを拝見してダンスがこれほど表現の可能性に満ちたものだと再確認できました。そしてコジュカルのその表現力の豊かさに脱帽しました。感動ものでした。
多少はバレエ芸術の世界へ近づけた気がして嬉しくもますますその深みにハマった気がしています。(笑)