経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (109)

2022-04-23 07:47:57 | なし
◇ 警戒を要する中国の‟異変” = 世界の感染者は累計5億0705万人、この1週間で513万人増加した。週間の増加数は5週連続で縮小している。死亡者は620万7817人で、1万8009人の増加。4週連続で縮小した。全体として緩やかな改善が続いている。特にブラジル・インド・メキシコ・インドネシアなどの新興国では、死亡者の増加数が1000人を切った。そうしたなかで、中国だけが感染者の増加を止められない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計99万0208人。この1週間で2148人増加した。ただ増加数は4週連続で縮小している。続いてブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが36万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。このうちインドが微増したほか、あとはみな増加数が縮小した。

中国の感染者は累計69万3165人。この1週間で20万6000人増加した。死亡者は4655人で、週間17人の増加。上海・長春・西安など22都市で厳重な都市封鎖が実施されているのに、感染の拡大が止まらない。上海市の外出規制は4週間にもなるが、なぜ効果が出ないのだろうか。感染力が著しく強まった新型の変異種が発生したのか。情報はないけれども、地理的に近い日本は警戒する必要があるだろう。

日本の感染者は累計754万2909人、この1週間で29万6735人増加した。増加数は2月上旬の半分に減っている。死亡者は2万9209人で、週間317人の増加。増加数は7週連続で縮小した。減り方は鈍いが、着実に改善している。ただ来週から始まる大型連休の結果がどうなるか。中国の状況とともに注視して行きたい。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -447.80円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

燃料の輸入代金が 激増 : 21年度

2022-04-22 07:51:50 | 貿易
◇ これでは景気はよくならない = 財務省は20日、21年度の貿易統計を発表した。それによると、輸出は85兆8786億円で前年度比23.6%の増加。過去最大を記録している。一方、輸入は91兆2534億円で、輸出を上回る33.3%の大幅な伸び。この結果、貿易収支は5兆3749億円の大赤字となっている。ウクライナ戦争の影響でエネルギーや資源・食料品の価格が高騰、円安の進行が加わって輸入価格が大きく押し上げられた。

食料品や木材・鉄鉱石などの原材料をはじめ、ほぼすべての品目で輸入金額が増加した。なかでも際立って増加したのが、エネルギーの輸入代金。原油・天然ガス・石炭など鉱物性燃料の輸入額は19兆8002億円にのぼった。数量は伸びていないのに、金額は前年より87.0%も増えている。戦争の影響とはいえ、異常な激増ぶりだ。

鉱物性燃料の輸入先は、半分近くが中東地域。輸入金額は9兆1320億円で、前年比95.1%も増加した。これらの輸入代金は、企業や家計が電気・ガス料金、あるいはガソリン代の値上がりという形で支払っている。20年度の鉱物性燃料の輸入額は10兆5878億円だったから、21年度はそれより約9兆円多い。それだけ企業や家計の負担が重くなったことを意味している。

仮に9兆円というおカネが海外に流出せず国内にとどまったとすれば、大部分が消費や設備投資に回っただろう。それがなくなってしまった状態で、景気がよくなるはずはない。したがって、いまは国内のエネルギー自給率を少しでも上げる努力をすべきである。ところが政府は原発にも手を着けられず、ガソリンへの補給金でお茶を濁している始末だ。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +335.21円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

誰のための 金融緩和なのか? (下)

2022-04-21 08:09:35 | 日銀
◇ ゼロ金利政策に高まる批判 = 超金融緩和政策が惹き起こす円安のマイナス面が、誰の目にも明らかとなってきた。このため経済界やエコノミスト、マスコミも、ようやくゼロ金利政策への批判を始めている。お断りしておくが、この「経済なんでも研究会」では、2年も前からゼロ金利政策には反対してきた。ただ、その理由は「円安になるから」ではない。

いま日本の企業と家計は、合計すると1400兆円もの現金と預金を保有している。だが預金をしても利子が付かない。金融機関は貸し出しても金利が取れない。いわば1400兆円もの資産が‟死に金”になっている状態だ。仮に預金に1%の利子が付けば、家計には年10兆円もの利息が入り、それだけ消費も増える。景気を良くするためにはゼロ金利から脱却すべし、という主張だった。

黒田日銀総裁は13日、信託大会で「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と力説した。しかし18日になると、衆議院で「急速な円安はマイナスになる」と発言。高まる批判を意識したのだろうか、少し姿勢を変えた。だがメンツもあって、とうてい「ゼロ金利を止める」とは言えない。その一方でアメリカの金利は着実に上がって行くから、円相場はさらに下落するだろう。

こうした予測を基に、最近は「135円説」も強まってきた。そうなれば、それだけ輸入物価を押し上げ、ゼロ金利のマイナス効果はさらに増大する。さすがに見かねたのか、鈴木財務相も「いまの円安は悪い円安だ」と論評した。しかし円安の原因であるゼロ金利にまでは踏み込めない。結局は、日銀自身が「誰のため、なんのためのゼロ金利なのか」を考え直すしかない。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +232.76円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 =  上げ≫

誰のための 金融緩和なのか? (上)

2022-04-20 07:30:32 | 日銀
◇ 円安でマイナス面が噴出 = 円相場の下落が止まらない。対ドル相場は今週128円台まで低落、02年5月以来20年ぶりの安値に落ち込んだ。この1か月で12円も下がっている。原因は日米の金利差が拡大したこと。アメリカが政策金利の引き上げに踏み切り、日本はゼロ金利政策を継続しているからだ。ウクライナ戦争の影響でエネルギー・資源・食料の国際価格が急騰。日本の輸入代金が増大してドルの需要が強まったことも、円安を助長している。

世界経済は、いちだんとインフレ色を濃くしている。このためイギリス・カナダ・オーストラリアをはじめ、ブラジル・タイ・マレーシアなどの新興国も続々と金利を引き上げた。この結果、これら多くの国の通貨に対しても、円相場は下落。BIS(国際決済銀行)の調査によると、日本円の実効為替レートは50年ぶりの低水準に下落している。これら諸国からの輸入価格も、それだけ上昇しているわけだ。

こうしたなかで日銀は、相変わらずゼロ金利政策に固執。最近は国債に対する指し値オペまで実施して、長期金利を0.25%以下に抑え込んでいる。黒田総裁が強調するように「円安は日本経済にとってプラス」だと、信じ込んでいるためのようだ。だが本当にプラスなのだろうか。たしかに国庫と輸出産業、それに借金をしている企業や個人にとってはプラスである。

このうち国庫は、金利が1%上がると利払いが3兆7000億円も増える。だから絶対的にゼロ金利の方がいい。しかし輸出産業のメリットは部品や原材料、燃料代の高騰で、プラスが大きく減殺されている。借金のある企業や個人も同様だ。つまり円安のプラス面は大きく縮小、逆に物価の高騰がすべての企業・個人に大きなマイナス効果をもたらし始めた。このため最近は、平均株価が円安でも上昇しなくなっている。

                          (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +185.38円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

苦しくなってきた 中国経済

2022-04-19 07:38:42 | 中国
◇ 習政権の目標達成に黄信号 = 中国統計局は18日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、前年同期比でみた実質成長率は4.8%。昨年10-12月期の4.0%を上回っている。しかし同時に発表された3月の主要な経済指標をみると、全体として景気の伸びは鈍化した。これはコロナの拡大で、上海・長春・西安などに厳重な都市封鎖が実施されたため。ウクライナ紛争の影響で輸入物価も高騰しており、習政権の経済的なカジ取りはきわめて難しくなったと考えられる。

鉱工業生産は1-3月期に6.5%増加したが、3月だけをみれば5.0%の増加。小売り売上高は1-3月期に3.3%増加したが、3月は3.5%の減少に転じている。輸出は1-3月期は12.9%の増加だったが、これも1-2月期の13.6%増を下回った。また固定資産投資額は1-3月期に9.3%の増加、政府によるインフラ投資の拡大に支えられている。

習政権が強力に推進した不動産バブルの抑制は、効果を挙げたようだ。1-3月期の不動産販売高は前年比13.8%の減少。不動産投資額も0.9%増に落ち着いている。しかし、この成功は経済成長率にとってはマイナス効果を持つ。その一方でウクライナ紛争の影響で、輸入物価が急騰、卸売物価は8%台の上昇。やがて消費者物価に転嫁されることは避けられない。

政府はインフラ投資の増大と預金準備率の引き下げで、景気を下支えしようと試みている。しかしコロナとウクライナの悪影響は、長引く可能性が大きい。だが刺激策をさらに強めれば、インフレを加速させてしまう。習政権はことしの成長目標を5.5%に設定したが、よほどカジ取りをうまくやらないと、その達成は困難になってきたようだ。

        ≪18日の日経平均 = 下げ -293.48円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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