経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

危うい「全世代型社会保障」の 財源

2017-10-26 08:17:09 | 無償教育
◇ 誰が負担することになるのか = 総選挙で自民党が圧勝したことによって、安倍首相が公約した「全世代型社会保障」が動き出す。公約の内容は①3-5歳児については幼稚園・保育園の完全無償化②0-2歳児については所得制限を設けて無償化③低所得者層については大学までの高等教育を無償化――するというもの。さらに待機児童対策として、32万人分の受け皿を20年度末までに整備する計画だ。

政府は年末までにパッケージ法案を作り、来年の通常国会に提出する方針。若い世代を経済的に支援し、子どもたちの教育水準を引き上げる。大変いいことだから野党も原則的には賛成しており、法案はすんなりと成立するだろう。だが問題は、その財源をどう作るかだ。安倍首相は消費増税による税収増5兆6000億円のうち、1兆7000億円を充当すると表明した。しかし、それだけではとても足りない。

内閣府の試算によると、幼稚園・保育園の無償化だけで年間1兆1700億円の財源が必要。高等教育の無償化には、やり方にもよるが最大3兆7000億円が必要だ。さらに保育園の拡充にも相当な費用がかかる。この不足分を、どこから調達するのか。たとえば国債の増発でも賄えるが、これでは財政再建の目標を放棄することになりかねない。

政府部内では教育国債の発行という手段も話題にのぼっているが、これも国債の増発であることに変わりはない。また子ども保険の構想も出ているが、この場合は企業と現役サラリーマンが負担することになる。最も可能性が大きいのは、高齢者向けの年金や医療費の削減。そう考えると「全世代型」という言い方が「世代間のバランス調整型」とも読めてくる。

      ≪25日の日経平均 = 下げ -97.55円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

株価は バブルの様相 : 日米ともに (下)

2017-10-25 08:24:49 | 株価
◇ バブル崩壊か大相場の入り口か = 現在の株価は基本的に、世界同時好況に支えられた企業の好業績によって形成されている。そこへ各国の金融緩和政策が生み出した巨額の過剰流動性が加わり、さらに株価を押し上げることとなった。したがって同時好況が崩れたり、余剰資金が株式市場から流出しなければ、株価が上昇を続ける環境は維持される。では、どんな事態がこの環境を破壊するのだろうか。

まずアメリカ、EU、日本の主要な先進国が不況に陥れば、世界同時好況は途絶する。またインドやブラジルなど新興国の経済が不調になっても、同時好況は持続が難しい。このケースは、アメリカの利上げで資金が新興国から引き揚げられると、発生しやすくなる。さらに共産党大会を終えた中国が経済改革を急ぎ過ぎると、国際商品価格の低落を招いて新興国の経済を圧迫しかねない。

一方、株式市場に集結した過剰流動性は、何か不安な要因が強まると一斉に市場から流出する。たとえば北朝鮮やイランの情勢が緊迫する事態。あるいは大規模なテロ。さらにはヨーロッパにおける反EUの高まり。原油価格の急落。またアメリカやEUが金融引き締めを急ぎ過ぎた場合などなど。数え上げればキリがない。

このような障害物を乗り越えられれば、株価は長期的に上昇する可能性がある。あとから振り返ってみると、17年の株価連騰は大相場の入り口だったということになるかもしれない。もっともその場合でも、現在の株価上昇はテンポが速すぎる。この辺でいったん調整した方が、大相場を実現するためにもむしろ望ましいと思う。

      ≪24日の日経平均 = 上げ +108.52円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ
       

株価は バブルの様相 : 日米ともに (上)

2017-10-24 08:03:33 | 株価
◇ 利益を上回る株価の伸び = 日経平均は23日も上昇、ついに15日間の連騰を記録した。1960年末から61年初にかけて達成した過去最長の記録を上回り、株価の水準も21年ぶりの高さを回復している。一方、ニューヨーク市場ではダウ平均が2万3000ドルを超えて、史上最高値を更新中。ナスダックやSP500も新高値を記録した。さらにドイツやイギリス、韓国やブラジルなどの株価も最高値に達している。

株価を押し上げている基本的な要因は、好調な企業の業績。日本の主要企業は17年度も利益を伸ばし、6年連続の増益になる見込み。アメリカでも9月決算を終えた主要企業の7割以上が、予想を上回る利益を出していると伝えられる。その根底には、世界の主要な先進国と新興国のすべてがプラス成長に転じた“世界同時好況”があるわけだ。

それにしても、株価の上昇は速すぎる。日経平均はこの40日間で、実に2000円も上げている。ダウ平均は同じく40日間で、1000ドル以上も上昇した。しかも今回の世界的な株価上昇には、いわゆる“引き金”が見当たらない。過去の株価連騰時をみると、たとえば60年末からの上昇は、池田内閣による所得倍増計画の導入があった。また09年からの株高は、リーマン・ショックによる暴落の反動だった。

企業利益の増加率と比較しても、株価の上昇率は大きすぎる。過去の株価上昇時には、まずGDPや企業の利益が大幅に伸び、それを追いかけるようにして株価が急伸した。だが今回は、株価の上げ率が企業の増益率をはるかに超えている。こうした現象が起きるのは、各国の金融緩和で生じた過剰流動性の影響だろう。つまり、その分がバブルだと言えるのではないだろうか。

                       (続きは明日)

      ≪23日の日経平均 = 上げ +239.01円≫

      ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


今週のポイント

2017-10-23 08:01:32 | 株価
◇ 日経平均は14日間の連騰 = 世界中の株式市場が、想定外の活況に沸いている。日経平均も先週は302円の値上がり。これで14日の連騰を記録した。つまり10月に入ってからは、1日も下げていない。14日間の連騰は1960年末から61年1月にかけて、過去に1度だけ経験した。当時は池田首相が「所得倍増論」を打ち出し、日本経済が本格的な復興期に入った時期。そのときと肩を並べるとは、だれも想像できなかったろう。

株高の材料は、絶好調を続ける企業業績と、総選挙で自民・公明の与党が勝利を収めそうなこと。国内の投資家よりも海外の機関投資家などが、こうした材料に飛びついて大量の買いを入れた。ただ、この14日間で日経平均は1100円も上昇している。選挙が終わったあと、外国人投資家が依然として買い続けるかどうかは、かなり微妙だ。

ダウ平均も先週は457ドルの値上がり。こちらも連日のように新高値を更新している。週央には2万3000ドル台に載せたが、2万2000ドル台載せから40日しか経っていない。企業業績の好調が株価を支えてはいるが、今週は高値警戒感が強まってもおかしくはないだろう。ニューヨークが足踏みすれば、東京も一時停止を余儀なくされる。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。27日に、9月の消費者物価。アメリカでは25日に、9月の新築住宅販売。26日に、9月の中古住宅販売。27日に、7-9月期のGDP速報が発表される。

      ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2017-10-22 08:25:52 | SF
第1章 ダ ー ス ト ン 星

≪4≫ 胸番号の意味 卵型の小型車に、マーヤと乗っている。病院の玄関から幹線道路に出て、8車線の高速道路へ。すべて自動運転だ。だいいち、この車には運転席がない。きょうは科学院長に会いに行くのだ。高速道路では300キロぐらいのスピードで走った。だから100キロほど離れた隣町の科学院に、アッという間に到着する。それでも、マーヤにいろいろ質問する時間はあった。

まずはきのう受けた手術で、ぼくの左胸に付けられたプレートのこと。病室に戻って鏡を見ると、ガウンの上に緑色のプレートがくっきり。番号は「66」だった。驚いたのはガウンを脱いでも下着のシャツに同じプレートが。下着を脱ぐと、こんどは肌の上にプレートが現われたではないか。

――マーヤ、このプレートはなんなのだ。ぼくの「66」という番号は、何を意味しているんだ?
マーヤは平然とした口調で、こう答えた。
「数字はその人の年齢よ。男の人は青色。女の人は赤。私たちロボットは、みんな黄色です。貴方のような異星人は緑色。お判りですか」

――では、ぼくは66歳になったってこと?
「いいえ。この星では、みんな100から引いた数字で年齢を表します。だから、いま「71」の私も、もうすぐ「「70」に変わります。貴方は34歳。私より5歳上のお兄さんということになりますわ。なぜ、そんな面倒な数字を使うのかは、もうすぐお会いになるウラノス博士に聞いてください」

――ふーん、判った。で、そのウラノス博士は、どんな人?
「この国の重要事項を決める機関が賢人会議です。6人で構成されていますが、ウラノス博士はそのうちの1人です。科学院の院長さんを兼任し、科学や技術の最高責任者。とても博識で判断も間違わないので、国民の間でも人気が高い人ですわ。私にはよく判りませんが、賢人会議でも議長のような役を果たしているのではないでしょうか」

――でも、そんなに偉い人が、なぜ僕と会ってくれるのだろう。
「それも私には判りません。ただロボット仲間から聞いた情報によると、貴方の宇宙船が事故を起こしたとき、素早く宇宙救援隊に出動を命じたのはウラノス博士だということです。昨夜、博士から病院に連絡があって、きょう私がお連れすることになりました。さあ、もう到着します」

                       (続きは来週日曜日)

Zenback

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