経済なんでも研究会

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政府 vs 民間 : 24年度経済見通し

2024-01-06 07:54:56 | 景気
◇ 実に重大な官民予測の相違 = 政府は昨年末の閣議で「24年度の経済見通し」を了承した。それによると実質GDPは568兆円となり、18年度の555兆円を抜いて過去最大になる。実質成長率はプラス1.3%で、23年度の見込みプラス1.1%を上回る見通し。賃上げと減税の効果によって個人消費が1.2%増加、企業の設備投資も3.3%増加する。一方、消費者物価は前年度比2.5%の上昇になると予測している。

日経センターは昨年末、民間エコノミスト38人が発表した24年度の経済見通しを集計した。それによると、実質成長率の平均予想値はプラス0.88%。消費者物価の上昇率は前年度比2.2%の上昇だった。毎年のことだが、政府の予測は民間より高く出る傾向がある。というのも成長率の予想を高めにしないと、税収の見積もりが増えず新年度予算を編成しにくくなってしまうからだ。だが、それにしても、今回は官民の相違が大きすぎる。

しかも、この相違はもっと重大な問題につながってくる。政府見通しによると、減税と賃上げの効果で、所得も3.8%増加する見込み。一方、物価は2.5%の上昇という見通しだから、所得の増加率が物価の上昇率を上回る。岸田首相が待望する「経済の好循環」が始まる予測になっているわけだ。しかし民間の予測では、そうならない。

最近は大幅賃上げを伝えるニュースも多い。しかし、主として大企業が中心の話だ。雇用の7割以上を支える中小企業の大多数は、そんなに大幅な賃上げは無理。したがって全体としての所得は、それほど増えない。その反面、人手不足で賃金が上がるとしても、その分は価格に転嫁される。だから物価はもっと高くなる可能性が大きい。すると「賃上げ>物価」の好循環は、実現しない。民間エコノミストの多くは、こう考えているのだろう。

        ≪5日の日経平均 = 上げ +89.13円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝0敗】     


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