経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

100ドルを超える恐怖 : 原油価格 (下)

2023-10-27 07:24:19 | エネルギー
◇ 日本はこの50年間なにをやったのか = ちょうど50年前の1973年10月6日、エジプトとシリアが共謀してイスラエルを奇襲。いわゆる第4次中東戦争が始まった。結果はイスラエルの勝利に終わったが、OPEC(石油輸出国機構)はイスラエル寄りの先進国を牽制するため、突如として原油の輸出価格を4倍に引き上げた。これが石油ショック。各国の物価は急騰、景気は下降を余儀なくされた。日本でもトイレット・ペーパーの買い占め騒ぎが起こり、当時の福田赳夫首相はこの現象を‟狂乱物価”と命名している。

この経験から、日本は実に多くのことを学び取った。原油の輸入先の分散、輸入先国との良好な関係維持、省エネの推進、エネルギー輸入依存度の引下げ、備蓄の増強など・・・。このうち省エネの推進や備蓄の増強、それに原油から天然ガスへの切り替えなどは、そこそこ進捗した。しかし中東への依存度は当時の80.7%から、最近は95.2%へと悪化している。

なかでも重要なのは、エネルギー輸入依存度の引き下げだ。総発電量に占める輸入化石燃料の比率をみると、1972年度は94.0%だった。それが22年度には72.4%まで下がっている。しかし50年間で、これしか下げられなかったと言うべきだろう。もし50%にまで下げていたら、現在の貿易赤字は大幅に縮小。物価もこんなには上がらなかったはず。

エネルギー輸入依存度の引き下げは、国内自給率の引き上げによって達成される。つまり日本はこの50年間に、もっと原発を安全に稼働させ、太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電量を増やしておくべきだった。これは歴代政府の失政だったと言えるだろう。産油国側は「減産による価格維持」を学んだが、日本政府は50年前の教訓を生かしきれなかった。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -668.14円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 100ドルを超える恐怖 : ... | トップ | ‟危ない金融商品”の 季節 »

コメントを投稿

エネルギー」カテゴリの最新記事