経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

またまた⇑ 原油の国際価格

2023-09-09 07:27:21 | エネルギー
◇ 燃料の輸入額は増えるばかり = 原油の国際価格が、またまた上昇し始めている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は5日、1バレル=88ドル台に上昇。およそ10か月ぶりの高値を付けた。この春80ドル台前半まで上昇したあと値を下げ、夏には70ドルを割り込んでいた。今回は円安の効果が重なって、輸入価格が大幅に上昇する。するとガソリン価格はすぐ上昇、しばらくして電気・ガス料金も引き上げられる。インフレの再燃が心配される状況となってきた。

値上がりの原因は、サウジアラビアとロシアが歩調を合わせて「自主減産を年末まで延長する」と発表したこと。この両国は原油価格を下支えするため、それぞれ日量100万バレルと30万バレルの減産を続けている。期限は9月までだったが、それを12月まで延長した。仮にアメリカや中国の景気が好転すれば、100ドルを超える可能性も十分に考えられる。そのうえ日本の場合は、円安の効果で輸入価格が上がる。円相場は6日、一時147円後半まで下落した。

政府はガソリン料金の高騰を抑えるため、石油元売り会社に対する補助金の支給を7日から再開した。電気・ガスに対する補助金も、再び実施するに違いない。「原油価格の高騰+円相場の下落⇒補助金の支出」という政策決定プロセスが、完全に出来上がってしまった。国民の側からみれば「いつか来た道」である。だが、そんな繰り返しをしているうちに、事態はどんどん悪化している。

財務省が発表した貿易統計によると、ことし1-6月期に輸入した鉱物性燃料は13兆9420億円に達した。ウクライナ戦争が始まる前の21年1-6月期は6兆9466億円だったから、ほぼ2倍に増加している。それだけ日本人の資産が流出しているわけである。この間、原油や天然ガスの価格は上昇した。円安も大幅に進行した。さらに日本の消費量も増えている。つまり日本のエネルギー海外依存体質は全く改善されていないどころか、むしろ大きく悪化した。。補助金内閣、最大の弱点である。

        ≪8日の日経平均 = 下げ -384.24円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


コメントを投稿