経済なんでも研究会

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円安の副作用が 深刻に

2023-08-22 07:34:58 | 円相場
◇ 物価上昇が消費を抑制 = 外国為替市場では先週17日、円の対ドル相場が一時146.5円まで下落した。この水準は昨年9月、政府が介入したときの145.9円を下回っている。このため投機筋も介入を警戒して、やや円売りをためらっているのが現状だ。しかし最近の円相場の水準は、コロナ前に比べると45円も安い。しかも米ドル以外の通貨に対しても値を下げており、日本の輸入物価を高騰させている。

円安が進行した原因は明らか。アメリカでは消費者物価が13か月ぶりに反騰、小売り売上高も予想以上に堅調だった。このためFRBによる利上げが長引くと予想され、長期金利が4.3%程度にまで上昇。これに対して日銀は長期金利の上限を1%まで許容することに姿勢を修正したが、実際には0.65%程度に抑え込んでいる。その結果、日米間の金利差はむしろ拡大、これが円安を進行させることになった。

円安は輸入物価の上昇を招き、物価高の大きな原因となる。たとえば7月の消費者物価は、食料品とエネルギーを除いても前年比4.3%の上昇だった。これが平均的な賃上げ率を上回ったため、実質所得は減少。家計の消費支出を減退させる結果となっている。そして1つの重大な変化が現われた。これまでは円安が株高をもたらしてきたが、最近は円安は株安に。企業が物価高による消費の減退を心配するようになったからである。

要するに、円安の副作用が許容できる範囲を超えてきたと言えるだろう。にもかかわらず、日銀は相変わらず超金融緩和に固執し続ける。いったい何のためのゼロ金利政策なのか。日銀は弁明すべきだろう。日銀が円安の進行を助長する政策を続けながら、政府は「介入も辞さない」と言う。こんな変てこな政策を見て、世界中が笑っている。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +114.88円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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