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経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

新車販売 ―― 4つのクイズ

2018-01-20 07:46:18 | 自動車
◇ EV(電気自動車)競争のなかで

1) 世界中で、新車は何台ぐらい売れているのでしょうか?  英マークイット社の推計によると、17年の世界全体の販売台数はおよそ9451万台。最大の市場は中国だ。中国汽車工業会の発表によると、17年の新車販売台数は2887万8900台。前年比3.0%の増加だった。特にEVを中心とする新エネルギー車が、前年比53%と大幅に伸びて77万7000台に達している。これは大気の清浄化を目指して、政府が大都市ではガソリン車のナンバープレートを取得しにくくしている影響が大きい。

2) では中国の次に大きい市場はどこでしょうか?  アメリカが世界第2位の市場。オートデータ社の集計によると、17年の販売台数は1723万0436台だった。前年比では1.8%の減少。新車販売の減少は8年ぶりのこと。大量の中古車が市場に出回ったことと、金利の上昇、ライドシェア(相乗り)の普及が原因のようだ。ディーラー協会の予測によると、18年も3%程度の減少が見込まれている。こちらはガソリン価格の低下で大型車の売れ行きがよく、EVへの関心はそれほど高くない。

3) 日本は世界第何位でしょうか?  中国とアメリカに次いで第3位。17年の販売台数は523万4166台だった。前年比では5.3の増加で、2年ぶりに500万台を上回った。このうち軽自動車が184万3342台で、前年比は6.8%増加と健闘している。年末に日産とスバルの無資格検査問題が発覚したが、年間を通してみるとこの2社の販売台数は2ケタの増加を記録。トヨタやホンダの成績を上回った。

4) 今後いちばん伸びると予想される市場はどこでしょうか?  答えはインド。17年の販売台数は401万台で、前年比では10%の増加だった。ドイツを抜いて、世界第4位に浮上している。人口の多さと所得水準の向上で、車が売れ始めた。この調子だと、数年後には日本を抜いて世界第3位に進出する見込み。ただ17年の場合、全体の8割を占める乗用車のうちの半分はスズキ製だ。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +44.69円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   


急発進はしたけれど・・・ : 電気自動車 (下)

2017-09-29 07:46:43 | 自動車
◇ 産業構造の激変を招きかねない = ガソリン車の場合、普通乗用車に使われる部品は約3万種類。厳密に数えると10万種類にものぼるという。ところがEVは約1万種類の部品で組み立てられる。したがって仮にEVが急速にガソリン車を駆逐すると、数多くの部品会社が倒産する。ガソリン車の場合に必要な熟練工によるエンジン部分の組み立ても必要がなくなり、多くの職人が失業することにもなりかねない。

ドイツのメルケル首相は最近「EVの普及とディーゼル車の改良の両方が求められる」と述べた。その意味は、急激なEVの普及で大きな摩擦を生んではならないということだろう。同じヨーロッパでも、フランスやイギリスの首脳が環境問題を重視する立場からEVの普及促進を強調したのとは、ややニュアンスを異にしている。

中国やインド政府の思惑はもっと違う。ガソリン車の製造では、日米欧の大メーカーにとても太刀打ちできない。そこで製造が簡単なEVで勝負するという意図は明白だ。この政策目標からすると、EVは普及しても電気そのものを火力発電に頼っているので、環境の改善にはつながらない恐れも十分にありうる。

組み立てが容易だから、新規参入組も増える。アメリカのステラや中国のBYDが、その好例だ。さらにガソリンと電気を併用するハイブリッド車、水素を燃料とするFCV(燃料電池車)も、普及台数を伸ばすだろう。そして無人運転の技術。各メーカーはどこに経営資源を投入したらいいのか。その判断を間違えたメーカーは淘汰されることになる。

      ≪28日の日経平均 = 上げ +96.06円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

急発進はしたけれど・・・ : 電気自動車 (中)

2017-09-28 08:22:05 | 自動車
◇ 前途にはいくつもの障害物 = 米ゴールドマン・サックス社の推計によると、全世界の自動車販売台数に占めるEVの割合は17年が1%。それが40年には32%に増大する。ところが富士経済社の予測では、16年の比率が0.5%、35年でも4.6%にしか上昇しない。これはEVの普及にはまだ多くの解決すべき問題が残っており、それらの問題を解決できる可能性をどう見るかで、推計に大きな差異が生じることを物語っている。

最大の問題は、やはり1回の充電で可能な走行距離。現在は280キロ程度で、各メーカーはこれを400-600キロに伸ばそうと懸命になっている。いまでも搭載するリチウムイオン電池を増やせば、走行距離の延長は可能だ。しかし、そうすると販売価格が大幅に上げってしまう。要するに、リチウムイオン電池の性能を急速に伸ばせるかがカギ。そのスピードが、EV普及のスピードをも左右することになる。

充電に要する時間の短縮も、大きな問題だ。ガソリンの給油は数分で済むのに、充電に何時間もかかるようでは勝負にならない。また日本国内にある充電スタンドはいま2万か所まで増えたが、これももっと増やす必要があるだろう。家庭用の電気を電源とし、EVそのものを家庭用の蓄電池として使えるようになれば申し分ない。

安全性の検証も欠かせない。衝突事故で車体が大破した場合、電流が車内に流れ出す危険はないのだろうか。洪水時に車体が水に浸かっても大丈夫なのか。そしてモーターや電池の耐用年数は。このように数多くの問題点が、まだ残っている。これらの解決に時間がかかれば、EVの普及は遅れることになる。

                          (続きは明日)

      ≪27日の日経平均 = 下げ -63.14円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

急発進はしたけれど・・・ : 電気自動車 (上)

2017-09-27 07:32:20 | 自動車
◇ 雪崩を打った自動車メーカー = フォルクスワーゲン、BMW、ジャガー・ランドローバーが牽引するヨーロッパの自動車メーカー。トヨタ、日産、ホンダに代表される日本のメーカー。世界の自動車メーカーが一斉に、電気自動車(EV=Electric Vehicle)に向けて走り始めた。フランクフルトで開幕した国際モーターショーは、まるで新型EV車の発表展示会のようだと伝えられている。

世界最大の販売台数を誇るフォルクスワーゲンは、25年までにEVの車種を50以上に増やす。30年までの投資額は200億ユーロ。BMWは1回の充電で600キロ走れる中型クーペを売り出す。ジャガーは、すべての車種についてEV仕様を製造することになった。日本勢も負けてはいない。日産は10月からフル充電で400キロ走れるEV「リーフ」を発売すると発表した。ホンダは30年までに、全世界で販売する車種の3分の2をEVにする計画だ。

自動車メーカーの背中を押したのは、フランスとイギリスによる環境重視の新政策。フランス政府とイギリス政府は7月、相次いで「40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を全面的に禁止する」方針を打ち出した。それに追い討ちをかけたのが、インドと中国。インドは「30年までにEV以外の販売を禁止」すると発表。中国も同様の措置をとる可能性が強まっている。特に中国は世界最大の自動車市場。16年の販売台数は2811万台に達した。

こうした状況をみて、世界のメーカー各社は一斉にアクセルを強く踏み込んだ。その結果、今後10-20年のうちに“EV全盛時代”がやってくるとの見方もないではない。だが、その道は決して平坦ではありえない。急速なEV化は産業構造に大きな変革を及ぼし、各国の雇用や経済全般にも大きな影響を与える。それに対応する準備は、残念ながらまだ整っていない。

                      (続きは明日)

      ≪26日の日経平均 = 下げ -67.39円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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