goo blog サービス終了のお知らせ 

経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

とうとう出た 手放し運転自動車

2019-07-20 08:16:56 | 自動車
◇ 事故の責任はだれが負うのか = 日産自動車は16日、高級セダン「スカイライン」の新型モデルを9月に発売すると発表した。このうちのハイブリッド車は「運転者が直ちにハンドルを操作できる状態なら」という条件付きだが、高速道路での手放し運転が可能だという。価格は547万ー632万円。他のメーカーも、同様の手放し運転車を次々に発売するとみられている。

手放し運転車の走行には、道路交通法など関連する法律の改正が必要だ。このため政府はいち早く、先の通常国会で改正案を成立させている。ところが、この改正案が何とも判りにくい。ふつうの法律は厳格な言葉が並んでいて難解だが、この改正法は表現が曖昧で判りにくい。高速道路を走行中に、運転者は「直ちにハンドルを操作できる状態にあること」が、条件だとは書いてある。

しかし具体的な事例として「携帯電話の送受信やメールの発信、スマホの操作や読書、テレビの視聴」はしてもいい。だが「睡眠や飲酒」はダメだという。ここで大きな疑問が発生する。スマホをいじっていたり、読書をしていて「直ちにハンドルを操作できる」だろうか。何秒かでもハンドル操作が遅れれば、それだけ事故の確率は高くなる。

車線変更した車が前方に割り込んできて衝突。こちらの車では、運転者がスマホでゲームに熱中していた。でも法律違反はしていない。いったい事故の責任は、割り込んだ車にあるのか。それとも手放し運転をしていたドライバーにあるのか。あるいは事故を避けられなかった車のメーカーにあるのか。首をかしげない人は、いないだろう。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +420.75円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   

新車販売は 世界的に下り坂

2019-05-11 08:14:38 | 自動車
◇ メーカーは生き残りを賭けた競争へ = 業界団体の集計によると、1-4月間の国内新車販売台数は660CC以上の登録車が120万3574台で、前年を0.5%下回った。また軽自動車は70万9117台で、前年比は0.8%の増加だった。前回の消費税引き上げ時には半年前から駆け込み需要が発生したが、今回はそれがない。登録車については政府の減税方針が功を奏しているのだろう。しかし減税されない軽自動車にも駆け込みがみられないことに、関係者は首をひねっている。

この数字からみる限り、日本の新車需要は前年並みで落ち着いている。だが海外に目を向けると、欧米の自動車メーカーは販売の不振と業績の悪化に苦しみ始めている。アメリカではGMなど大手3社の1-3月期の新車販売台数は、輸出や現地生産も含めて前年比4%の大幅な減少となった。業績も軒並み大きく悪化している。19年の国内販売予想も芳しくない。

ヨーロッパでも状況は同じ。ドイツの大手3社も、1-3月期はそろって減益に。特にBMWは純利益を75%も減らしている。フランスのルノーを含めた独仏の大手5社では、平均8%の減益になったと伝えられる。これら欧米のメーカーは、特に中国での販売不振が業績に響いたようだ。この点、これまでのところ日本車は中国市場で健闘している。

米中貿易戦争、中国の経済不振、排ガスや燃費に対する規制強化、カー・シェアリング。こうした阻害要因が重なったうえに、EV(電気自動車)の開発競争が激化し、コストが増大した。これら自動車メーカーの経営を圧迫する要因は、今後もいっそう強まりそうだ。昨年度に2兆5000億円という巨額の利益を生みだしたトヨタ自動車の豊田章男社長が「トヨタといえども安心はできない」と強調したのは、こうした情勢を見据えたうえでの発言である。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -57.21円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   

無茶苦茶な 道交法改正案

2019-03-16 08:02:06 | 自動車
◇ 自動運転に“ながら運転”を認める = 自動運転車なら「運転中にスマホでメールのやりとりをしても構わない」という内容の道路交通法改正案が、先週の閣議で決定された。飲酒や睡眠はダメだが、テレビで野球中継を見るのはOKだという。なんという無責任な法律を作るのだろう。安全性を度外視した政府の姿勢には、全く腹が立って仕方がない。

この“ながら運転”許可は「緊急時に手動運転に代われること」が前提だという。しかし“ながら運転”中に、緊急時をいち早く察知することは困難ではないのか。メールに熱中している運転者が、緊急事態を感知することはまず不可能だろう。だから、この法律は内容的に矛盾していると言わざるをえない。

事故の責任は、いったい誰がとるのか。事故を起こしたとき、運転者はメールを打っていた。この行為は合法なので、無罪と認定されるのか。交通事故は一瞬の判断の遅れが、命取りとなる。その一瞬の遅れを生むことになる“ながら運転”の解禁。どう考えても、法律の意図が呑み込めない。

自動運転が最も進んでいるアメリカでも、試験走行中の事故の多さが大問題になっている。ニューヨーク市では、いまだに公道での試験走行を認めていないそうだ。ましてや、道路が狭い日本で。こんな悪法を作った国土交通省のお役人もさることながら、閣議で何も議論しなかった大臣たちの知能程度が疑われる。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +163.83円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  

自動車が映す 世界経済の現況 (下)

2019-01-11 08:01:05 | 自動車
◇ 政治に振り回されて右往左往 = GM(ゼネラル・モーターズ)はアメリカとカナダにある40工場のうち5工場を閉鎖することになった。解雇される従業員は約6300人。トランプ大統領が鉄鋼とアルミの輸入関税を引き上げたため、原料コストが上昇し採算がとれなくなった。トランプ大統領はお冠りだが、GMとしても背に腹は替えられない。同様の環境に置かれたフォードも、操業の縮小を検討中と伝えられる。

米中貿易戦争では、両国が自動車の輸入関税を引き上げた。また中国では、アメリカ製品を排除する傾向も出始めている。このためアメリカの新興メーカーであるテスラは、中国の工場を閉鎖し完全撤退することを決めた。逆にスウェーデンのボルボは、生産の一部をアメリカから中国に移すことになった。BMWも同様の措置をとるが、同時にエンジン工場をアメリカに新設して、トランプ大統領の怒りを買わない防御策も講じている。

イギリスのEU離脱は3月29日に予定されているが、どうやら“合意なき離脱”になりそうだ。するとイギリスにある自動車工場は、大陸側からの部品供給に支障が生じる。日本はトヨタ、日産、ホンダがイギリスに生産拠点を持ち、合計で年80万台を生産している。その部品供給をどうするか。さらにEU側の販売認証を取らなければならない。本社機能をEU側に移すことも大作業だが、工場の移転は不可能に近い。

トランプ大統領が強引に締結させた新NAFTA(北米自由貿易協定)で、カナダとメキシコで生産する自動車はアメリカ製の部品を75%も使用しなければならなくなった。日本のメーカーは、150万台分の対米輸出車について対応しなければならない。こうした状況の大変動に対して、世界の自動車メーカーは大胆な決断を迫られている。だが、その結果が裏目に出れば、大きな損失を招きかねない。自動車各社が乗り入れる19年という道は、かなりの悪路であることに間違いはない。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -263.26円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

自動車が映す 世界経済の現況 (上)

2019-01-10 08:32:23 | 自動車
◇ 日米は横ばい、中英は下降 = 業界団体の集計によると、日本国内の18年の新車販売台数は527万2067台だった。前年比では0.7%の増加で、ほぼ横ばいとなっている。このうち軽自動車の規格を超える登録車は1.3%の減少、軽自動車は4.4%の増加だった。軽自動車の性能が、格段に向上したためだと思われる。ただ業界の販売総額という点では、前年を下回ったようだ。

米オートモーティブ・ニュース社の集計によると、アメリカ国内の18年の新車販売台数は1733万台だった。前年比では0.6%の増加で、こちらもほぼ横ばい。トランプ大統領の大型減税に助けられて高い水準を維持したが、ローン金利の上昇もあって息切れ気味。GMやフォード、それにトヨタなどの主力メーカーは、そろって前年割れとなっている。

中国は世界最大の自動車市場。17年の新車販売台数は、日本の5.5倍に当たる2888万台だった。しかし18年は7月以降ずっと前年割れ。汽車工業会の推計だと、通年では前年比3%の減少になる見込み。前年割れは28年ぶりのことになる。中国経済の減速を映し出していると言えるだろう。またEU離脱で苦しむイギリスの18年の新車販売台数は、前年比7%の減少となった。

このように各国の新車販売台数と景気動向の相関性は、かなり高い。だが、それだけではない。いま世界経済は米中貿易戦争やイギリスのEU離脱など大きな問題に揺り動かされているが、その影響をまともに受けているのが自動車業界だ。したがって自動車メーカー各社の対応策には、これらの問題の本質がくっきりと映し出されている。

                                (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 上げ +223.02円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>