経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

景気は どうなる? : 2017年

2017-01-05 07:59:52 | 日記
◇ 海外の状況に左右される = 政府が昨年暮れに策定した17年度の経済見通しによると、実質GDP成長率は1.5%で16年度の見込み1.3%をやや上回っている。また名目成長率は2.5%で、こちらは16年度の見込み1.5%より1ポイントの拡大となっている。一方、民間エコノミスト40人の平均予測値は実質成長率が1.1%、名目成長率が1.4%だった。政府の方が民間より強気な予想ということになる。

政府見通しの内訳をみると、個人消費は16年度の0.7%増が0.8%増へやや改善。設備投資は2.1%増から3.4%増に、輸出は0.8%増が3.2%増に改善する。政府も消費の拡大による景気の押し上げは、難しいとみているようだ。その代りに輸出と設備投資に期待を寄せているわけだが、これらは海外諸国の経済状況と円相場の動向に左右される。

また政府は、消費者物価の上昇率を1.1%と予想している。もし実際に物価が上昇すれば9年ぶりのこととなり、景況感もよくなるだろう。だが、この予想はちょっとマユつば。物価上昇を見込まないと、名目成長率は上がらない。すると税収が増加しない。このため17年度予算を組めるように、物価の上昇を見込んだ感じが強い。

要するに17年度の景気は、海外要因によって決まりそうだ。このうち海外諸国の経済情勢は、アメリカをはじめ中国や新興国なども改善に向かっている。しかし肝心の円相場については、トランプ新政権の出方しだいで全く予測できない。円相場が上昇し輸出が伸び悩めば、企業の設備投資も慎重になるだろう。トランプ政権の政策が明らかになるまでは、ことしの景気予測はできないというのが現実である。

      ≪4日の日経平均 = 上げ +479.79円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ

今週のポイント

2017-01-04 08:06:06 | 日記
◇ 投資家心理を映す鏡に = ダウ平均株価は昨年2337ドル上昇した。この上げ幅は13年に続いて史上第2位の大きさ。年初の中国経済不安や原油価格の急落、年央のイギリスEU離脱などを乗り越え、11月からはトランプ経済政策への期待で大きく上昇した。終り値は2万ドルの大台まで、あと240ドルという水準に迫っている。ただ先週は8週間ぶりに下げ、週間では171ドルの値下がりとなった。

年末に値下がりしたのは、正月休みを控えて投資家の多くが利益を確定しておきたいと考えたためと解説されている。その半面、トランプ経済政策に対する疑問が強まったという見方も出てきた。たとえば5兆ドルにのぼるインフラ投資や減税が、議会の審議を経て実際に実行されるのは5月ごろになってしまう。それまでにドル高や金利上昇によって、景気は下降する心配があるという観測だ。どちらの投資家心理が勝るのか。今週の市場は、その判断材料を提供することになるだろう。

日経平均も、年末最終週には313円値下がりした。昨年の上げ幅は、わずか81円。円安が持続し、企業業績も持ち直しそうなので、ことしは株高の期待も高まっている。だが基本的な条件は、円安基調が続くかどうか。したがってアメリカがドル高是正に動くと、この条件は崩れやすい。東京市場も、ニューヨークの投資家心理に左右されるのではないか。

今週は5日に、12月と16年の新車販売台数。6日に、11月の毎月勤労統計。アメリカでは3日に、12月のISM製造業景況指数。4日に、12月の新車販売。5日に、12月のISM非製造業景況指数。6日に、11月の貿易統計と12月の雇用統計が発表される。なお4日は大発会。

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


「結果が出る年」になる : 2017年

2017-01-02 08:22:54 | 日記
◇ 花を咲かせられるのかどうか = ことしは重大な結果が、次々と明らかになる年になりそうだ。タネはすべて昨年のうちに仕込まれている。順調に育って、美しい花を咲かせればよし。枯れてしまうと厄介なことになる。いちばん大きなタネは、アメリカで播かれた。1月20日にスタートするトランプ政権が、公約通りアメリカ経済の成長率を引き上げられるかどうか。景気が過熱し、インフレになる心配はないのか。結果はことし中に見えてくる。

TPP(環太平洋経済連携協定)は、おそらく消滅するだろう。だがアメリカを除く太平洋諸国が、そこで新しい自由貿易構想を立ち上げられれば、見栄えのする花が咲く。ダメだと世界経済は薄暗くなってしまう。日本にまとめ役を買って出る熱意とチエがあるのかどうか。これも、ことし中にははっきりする。

ヨーロッパでは、イギリスの国民投票が反EUのタネを播いた。ことしはオランダ、フランス、ドイツの3国で総選挙や大統領選挙が実施される。その結果、フランスやドイツで反EU勢力が大きく伸びれば、EUは本当に崩壊の危機に直面する。官僚化したEU委員会が、こうした勢いを抑えられるのか。かなり心配である。

日本でも、昨年播かれたタネの結果が出る。参院選挙では、自民党がまたも圧勝するのかどうか。オリンピックのコストが十分に削減され、準備が軌道に乗るか。東京都議会選挙では、小池知事を支援する勢力が過半数を占めるかどうか。また量的金融緩和が限界に近づいており、日銀は金融政策をどう変えるのか・・・等々。今年末になれば、みな答えが出ているはずだ。

株価は5年連騰で越年 : 2016年

2016-12-31 08:05:26 | 日記
◇ 日経平均は5年で2.3倍に = 2016年の日経平均は1万9114円37銭で終わった。ことしの上げ幅はわずかに81円。かろうじて、12年から数えて5年連続の上げ相場となった。この5年間の上げ幅は1万0659円、上昇率は2.3倍に達している。こうした数字を眺めていると、東京株式市場は順風満帆のようにも見えてくる。だが、ことしの相場は大荒れだった。

とにかく株価の上下動が激しかった。最も下落したのはイギリスのEU離脱が明らかになった6月24日。日経平均は1296円と、史上第8位の下げを記録した。東証1部では1954銘柄が下げたが、これは過去最大。次いでアメリカの大統領選挙でトランプ候補の当選が伝わった11月9日、日経平均は920円の下げを演じている。

ところが、このとき株価はあくる日に大きく反発した。11月10日の日経平均は1092円と、史上第13位の上昇を記録している。ことし日経平均は2月15日にも1069円上げた。このときは特別な事件もなく、割安感が強まった日本株に買いが集中したのが原因。こうして、ことしの日経平均は2度にわたって1000円を超す値上がりを記録したが、これは24年ぶりのことである。

ことしを前半と後半に分けてみると、前半の日経平均は3458円の下落。それを後半で取り戻した。特にアメリカ大統領選挙後、トランプ政権の経済政策に対する期待が高まったことから、株価は一気に盛り返した形。投資家別にみると、外国人投資家と国内の個人投資家は1年を通じて売り越し。これを日銀とGRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など機関投資家の買い越しで埋め切った。

      ≪30日の日経平均 = 下げ -30.77円≫   

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


「経済的格差」が 世界を動かした : 2016年 

2016-12-30 06:04:37 | 日記
◇ 国民投票は「まさか」の連発 = 2016年の世界は、3つの国民投票の結果に大きな衝撃を受けた。まず6月23日のイギリス国民投票。EU離脱派が勝利して、世の中を驚かせた。次いで11月8日のアメリカ大統領選挙。泡沫候補だったトランプ不動産王が、正統派とみなされたクリントン候補を打ち破った。そして12月4日のイタリア国民投票。政府の憲法改正案が否決され、レンツィ首相は辞任。EUの結束に厳しい注意信号が灯った。

国民投票が「まさか」の結果となった共通点は、国民が社会・経済の“格差拡大”に不満を抱いたことに求められる。イギリスとアメリカでは、その象徴として移民問題が持ち出されている。イギリスではEUによる移民の押しつけ。アメリカでも大量の移民流入が問題となった。イタリアでは、移民を含むEUの政策に対する反発が政権を覆す原動力だった。

イギリスでは多くの地域で、社会環境が移民の流入により激変した。アメリカでは、移民によって白人の職が奪われたり、賃金が上昇しなくなった。イタリアではEUの指令によって緊縮政策が求められ、国民の生活が厳しくなった。こうした状況のなかで、既存の政権は何ひとつ画期的な手を打てない。そこで国民は政権を変えて、新しい風を吹かせようと考えたわけだ。

さらに現状でも、既得権益を有する一部の人たちは豊かに暮らしている。逆にかつての中間階級は、苦しい生活を余儀なくされた。この格差に対する積り積もった不満が、投票行動に表れたのだろう。こうした民意の変遷は、来年も確実に持続する。欧米だけでなく、アジア各国に広がるかもしれない。韓国の政変にも、そんな色彩を感じないでもない。日本も要注意だろう。

      ≪29日の日経平均 = 下げ -256.58円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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