行ってみませんか... こんな 素敵な世界へ

好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

ブルターニュ紀行 52 < ラ・ロッシュ=ベルナール ルドン > ペン=ラン岬 から ヴィレーヌ河 に沿って遡る

2021-06-02 00:15:35 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ラ・ロッシュ=ベルナール(ベルナールの岩)の岩山の砲台

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
52


東から流れてくる『La Vilaine ヴィレーヌ河』を
ペン=ラン岬から遡ってみよう

ヴィレーヌ河の河口

Map by ⒸGoogleMap

地図の左端(東)に「モルビアン湾」
赤いカメラのマークが「ペン=ラン岬」
そのまま河を遡行して
地図の右端下段が『La Roche-Bernard ラ・ロッシュ=ベルナール』
河口から10kmあまり
途中に『Arzac アルザック』(右岸)と『Carmöl カーモル』(左岸)という町で
堰と水門がある


下流から遡って堰の直前

Photo by ⒸMilithium3D

右が下流で左が上流
言い換えると
下が右岸の「アルザック」で上が左岸の「カーモル」

上流側から見た堰


干潮時に上流側の水位を下げない堰の横に
閘門付きの水路と
閘門のない水路とがある


ヨットのマストを立てたままで通れるように
橋が上がる


 こんな岸辺を左右に見ながら遡行し
また船溜りが有って橋が見えてくると


そこが「ラ・ロッシュ=ベルナール」


この橋は
1883年に架かり1911年に架け替えられたものの後
ほんの少しだけ下流側にずらしてかけ直し1960年に完成した3代目

向こう側に
前の代の橋の橋脚部分が残っている



1883年に完成した初代は


19世紀末の絵葉書

そして
1911年に架かった二代目が


戦前の絵葉書


これらの橋は三代とも川の中に橋脚はなく
両岸の橋脚を台としてつり橋をかける形式だ

そして
町の名前「ベルナールの岩」の由来が


この岩
この下の波止場から「ヴレーヌ下り」の遊覧船も出る



一つ前の写真の岩の背後にも徐々に高くなって行き
最上段まで行くと
下流から攻め登って来るであろう敵船を見張るのに
これ以上絶好のポイントはない

岩山の頂上の砲台

『1629年 宰相リシュリュー枢機卿の命により
ここ
ラ・ロッシュ=ベルナール工廠に於いて
3段甲板を持つ大型外洋定期船《La Couronne 王冠号》が建造された』
という銘板が設置されている

両岸から川面まで高度差があるので
この町は
砲台の町
高台の町 坂の町 港町





当然階段が多くなる


そして川岸の眺めを川から見るとこうなる
川岸は港










斜面の中段に素朴な城が残っている


一つ上の建物

『Château des Bassesfosses 下段堀の城』


上まで登って川の反対側に回ると



入り口があって


この中は『ヴィレーヌ川海洋博物館』に使われている




『Maquette de la Couronne』

1627年リシュリューの命によりこの町で建造された
「ラ・クゥロンヌ号」の模型


水夫の奥さんたちの風俗と日常の道具


海軍高級士官用のブーツの靴作り職人の道具





それでは「ラ・ロッシュ・ベルナール」から
さらに上流に行ってみよう

※  ※

ヴィレーヌ川を更に15km遡ると『Redon ルドン』に着く



この「ルドン」も当然「川の街」




当然港があって水門もある






旧市街の川岸の家並みは
当然美しい


その川岸から
かつての大修道院が見える

『Abbatiale de Saint-Sauver 聖救世主大修道院聖堂』

この「聖救世主大修道院」の聖堂を外陣から見ると
実に堂々たるゴシックの大伽藍だ
右奥の細い尖塔が西側正面の鐘楼なのですが
実はつながっていない


18世紀に大火災に遭遇し
西側正面玄関口から被災したアーチ4本分を撤去した結果
身廊が20m短くなってしまった
見取り図の「10」の部分
鐘楼は西側正面の横に接続して建てられていたが
その後単独で残された

単独で残った鐘楼


内陣と翼廊との交差部の屋根は
明かりとりの開口部を持つ角を丸めた巨大な四角い塔となっている


この形の交差部の塔は他に類を見ない独特のもの

その鐘楼の正面からやや左後方に
小さな城のような市役所がある



聖堂を右後方から見ると
市役所は修道院とは関係ないことがわかる


しかし
真横から見ると聖堂らしくない
聖堂内部は


身廊部は創建当時12世紀のロマネスクの素朴な壁構造で
天井も低い半円筒形アーチ


身廊から主祭壇に有る内陣を見ると
後陣(外部)から見て分かった通り見事なゴシック
つまり時代が後なので
天井が高く
壁のない骨組みだけの構造である
その差がよくわかる




回廊部はしっかり残っているが
今では修道院としては機能していない


回廊の後方に見える交差部の屋根の塔から右に
内陣の屋根が続いている
左側にあるはずの身廊の天井は低くて隠れている

旧市街の中は落ち着いた雰囲気


新旧の家々が入り混じる石畳の通り


租税として収められた塩を保管した「蓄塩倉庫」



木の柱と梁の家々も
この2軒の切妻の部分にはアルドワーズ(粘板岩)の石瓦を貼り付けてある


そして
何度見返してもよく分からない
古そうな建物の「角の部分」だけを台座に乗せて保存したような家もある




日が沈んだばかりの夕景も美しい
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旅行の実態に関しては以下のサイトもどうぞ
https://veritas21.com 『こんな旅がしてみたい 誰も真似のできない旅のプランナー』
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