Grossa Speaks Final

コンピュータに関するテーマを
気の向くまま取り上げています。
(時々雑談...)

第3のCADについて... 少し長い

2007年07月05日 | CAD
第3のCADソフトについて
作成年月日 2007年07月04日
作成者   Kim Grossa

1.始めに
 建築電気設備の図面(設計図、施工図)作成は、どうしても建築図が必要となる。不要なのは、系統図や姿図など。
 しかし、図面枠自体は発注者サイドのものを使用する場合が多い。

 で、建築サイドのCADファイル形式だが、今までの経験(建築電気設備担当歴は約25年。経験だけは長いが.....)では,
地場設計事務所、地場建設会社は圧倒的にJw_cadが多い。大手はAutoCAD(LT).
 自社仕様(特注品)を使用している大手設計事務所、ゼネコンもある。
 
 というわけで、実際に現在使用しているCADソフトは次の通り。

Jw_cad Version 5.11e Jiro Shimizu & Yoshifumi Tanaka フリーウェア (以下JWWと略す)
BricsCAD Classic V7.1 English(AutoCAD Clone) BRICSYS 225 USD(約3万円) (以下Bricsと略す)

 各ソフトの習熟度は、まー普通。基本的な機能はヘルプなどを参照しなくても、使用できるレベル。

 BricsはJWWを知らない。また、JWWはBrics,AutoCADを知らない。
 で、直接お互いのファイルをやり取り出来ない。DXFファイルでのやり取りになる訳だが、色々と変換上問題がある。
 また、各ソフトの操作方法が異なるので、少し混乱する場合がある。(うーん、年令的な問題かも。1950年生まれ。)

 そこで、JWWファイル、DWGファイルを読み書きできる第3のCADソフトの導入を検討する事にした。
つまり今後、同一ソフトのみを重点的に使おうというもくろみ。

 なお、金額的には、個人購入なので、数万円台をめどにする。

 電気設備専用CADは機能も豊富で、他CADファイルの読み書き機能も充実している。金額も数十万円台。
 しかし、図面作成時は、本来のCAD作業より、事前作業にも時間がかかる。
 ここがCADを知らない人が誤解している点。CADソフトを使えることと、図面が書けることは別の問題。
 CADオペレータはドラフトマン(いわゆる図面屋さん)ではないと思う。
 
 あまり、CAD,CADというのもどうかなとは思う。
 極端な言い方をすれば、建築電気設備用CADの操作ははシンボルを配置して、配線を記入。テキストでコメントを入れる。
 そんなに複雑な事をしているわけではない。

2.検討したCADソフト
  AR_CAD Ver1.3.0 株式会社 システムハウス福知山 フリーウェア(以下ARと略す)
  DJ!!Standard Version 2.15 株式会社 テクニカルスタッフ  フリーウェア(以下DJと略す)
  おもしろUI-Designer Version 5.20 ユーアイトライアングル株式会社 フリーウェア(以下UIと略す)

ARは以前から、JWWファイルとDWGファイルのコンバータとして、使わせていただいていた。
 有難い事です。

 なお、JacConverterというシェアウエアを以前試用していたが、2ヶ月の試用期間完了後にライセンスを購入しなかった。
 2,500と安価であるし、機能も充実しているが。

 一般的な話だが、Windows、Macの世界にあるシェアウエアに違和感を感じる。
 PC Unixの世界には、プロが販売しているソフトより、優れたものがいくらでもオープンソースとしてある。
 例えば、OpenOffice.org,GIMP等々。(シェアウエア作者の皆さん、すみません)

 DJ,UIは有償版がある。まず、無償版を使ってみて気にいったら、買ってくださいという事だろう。
DJ!!Proffesional ダウンロード版 1ライセンス 9,500(本体価格)
    UIDesigner Version5.5 エコノミー版 1ライセンス 19,800(本体価格)

 日本のIntelliCADはJWWとのやり取りを考慮しているが、何となくだが、各ベンダーに好印象が持てない。
 これが、IntelliCADとして、BricsCAD(日本製ではない)を購入した理由のひとつ。

3.検討内容
 さて、以下の項目に絞って検討した。
 なお、マウスは800dpiの光学式ホイールマウス。ノーブランド。確か、千円位。
 マウスは左手、キーボードは右手。右利きだが、マウスを持ち替えなくてよいから。
 
 (1)見た目(起動したあとの全体のイメージ) 
 まー、これは多分に好みの問題かもしれないが。

 AR
すっきりした感じ。背景がデォルトが青。ツールバーがワイド、シンプル、非表示と選択出来るのが親切。

 DJ
少し派手だが、暖かい色つかい。JWWは慣れれば建設業用としては使いやすいが、画面が少し寂しい。
  背景もデォルトはグラデエーションのかかった青。

 UI
派手な色使い。少し、ごたごたしている。また、背景がデフォルトが黒。これが、元MacUserとしてはなじめない点。
  JWのDOS版を使わなかった理由のひとつ。今でも、JWWで新規に図面作成の場合は、背景を白としている。

 (2)PAN,ZOOM(パン、ズーム)
 CADソフトの使い勝手を左右する重要な項目だと思う。
 各コマンドの体系は使っていくうちになれるが、図面をパンしたり、ズームする操作が直感的でないと、ストレスがたまる。

 AR
拡大縮小はホイール。下で縮小。上で拡大。移動はホイールを押しながらドラッグ。AutoCADと同じ。違和感なし。
  ただ、再描画の際にワンテンポおくれるのが、少しつらい。

 DJ
拡大縮小、移動はAutoCADと同じ。再描画の際もARより反応が早い。Bricsより若干遅い感じだが、ストレスは感じない。

 UI
拡大縮小がAutoCADと逆。変更は出来るとは思うが。移動が直感的にわかりにくい。ホイールモードが色々あるのも煩雑。
  キーボードの矢印キーでも移動出来ない。
  再描画の際の反応はAR,UIよりよい。

  某社所有の某電気設備専用CADの移動方法がやはり、わかりにくかった。確か、Shiftを押しながら、何かのキーを押すというもの。
  こういう点で、もう使いたくなる。結局、真面目に操作を覚えなかった。何十万円もするCADソフトがこのありさま。
 
 (3)JWW,DWGファイルの読み書き
 読み込めるのは当然として、書き込みもしたい。紙媒体への出力で完了なら、固有のファイル形式で保存でもよいだろう。
 しかし、データとしては、JWWまたはDWGファイルとして、保存したい。
 JWW,DWGファイルともヴァージョンの問題もある。

 テスト用のファイルは、
 JWWファイル JWW Version 5.11eで作成。762KB. A1 尺度 S=1:20,S=1:30,S=1:50が混在。
 DWGファイル Bricsで作成。1,787KB.AutoCAD 2000ファイル.

(3-1)JWWファイルの読み込み

AR
(文字)--->文字化け、位置ずれなし。OK.
(線色)--->OK.
(線種)--->OK.ピッチも再現。OK.
(その他)-->寸法線の黒丸(端末記号)をJWWでは、大きくしているが、再現できない。
DJ

(文字)--->文字化け、位置ずれなし。OK.
(線色)--->OK.
(線種)--->OK.ピッチは再現できない。
(その他)-->寸法線の黒丸は再現できた。

UI
対応していないというメッセージ。で、JWWサイドで、V3.51-4.10aにヴァージョンを落として保存。
 今回は、開けた。しかし、見えない。
 開いた当初は、オリジナル図の全体が見えない場合はある。しかし、図面全体を見る操作が簡単なら、たいした事ではない。
 で、ヘルプを見る。
 Ctrl+PageUPとか、Ctrl+Shift+上ホイールと書いてある。Ctrl+PageUPはノートパソコンではほぼ出来ない。
 Ctrl+Shift+上ホイールでやったが、出来ない。で、断念。

 AR,DJには各々名称はちがうが、わかりやすいツールがある。

(3-2)DWGファイルの読み込み

AR
デォルトでは出来ない。読み込むためには、SHFWEB会員(入会金、年会費無料)に登録して、マニュアル付でダウンロード。そのマニュアルに
 方法が記載されている。で、その設定を完了後、再読み込みする。
 (文字)--->文字化け、位置ずれなし。OK.
(線色)--->OK.
(線種)--->OK.ピッチもOK.

DJ
読み込み設定のダイアローグが出るが、そのままでOK.
 (文字)--->文字化け、位置ずれなし。OK.
(線色)--->OK.
(線種)--->OK.ピッチもOK

UI
 (文字)--->文字化け、位置ずれなし。OK.
(線色)--->OK.
(線種)--->OK.ピッチもOK

と、三者ともOK.どういう風にファイルコンバートしているかわからないが、何となくだが、DXFファイルを中間に介在させ、
それをチューニングしているのでは。DXFファイルの仕様がAutoDeskから公開されているのは、こういう時に有利かも。

JWWの英語版がでれば、世界中とはいわなくても、アジア諸国でおおいに活用されるという話題が某BBSであった。
これほど優れたソフトが日本だけでしか使えないのは、残念だと思うのだが、開発者の意思を尊重しなければいけないのかも。

(3-3)JWWファイルへ書き込み
各ソフトで、加筆して見る。まだ、操作になれていないので、水色の円(破線)を1つ適当な半径で描く。
それをJWWファイルで保存する。(エクスポート)

AR
 JW_CAD Win[V2.30-4.00]で保存。保存設定はディフォルトのまま。
OK.破線のピッチがちがう。
DJ
Standard版、Professional版では不可。今夏発売のRootProCADでは、対応予定。
なお、RootProCADについては、後述する。
UI
どうも出来ないようだ。

(3-4)DWGファイルへ書き込み
各ソフトで、加筆して見る。まだ、操作になれていないので、水色の円(破線)を1つ適当な半径で描く 
それをDWGファイルで保存する。(エクスポート)

AR
デォルトの設定で保存。(R12).Bricsで読み込む。色、線種はOK.ピッチはこない。
 ただ、フォントでBricsで作成したSytle名Japanese(BigFontをvisiojp.shx)が再度Bricsで読み込むと欠落。StandardはBigFont.
で、文字化け。まー、これはIntelliCADだから仕方がない。
DJ
Professional版でないと出来ない。フリー版だから、やむを得ない。
UI
要素数が限度オーバのため出来ない。フリー版だから、やむを得ない。

4.検討結果
DJに決定。DJ!!Professionalを購入する事にする。先日、株式会社 テクニカルスタッフに問い合わせのe-Mailを送った。
早速、本日下記のような丁寧な返信がきた。

-----------返信の始まり--------
お問い合わせいただきまして、ありがとうございます。
テクニカルスタッフの****と申します。

>連続線のコーナ処理についての質問です。
>連続線のみでは、コーナ処理は出来ないようですが、
>今後実装の予定はあるのでしょうか。電気配線には欠かせない
>機能なので。

 連続線のコーナー処理については、8月公開予定の
「DJ!! Professional」の後継製品である「RootPro CAD」での
 新機能として搭載いたしますので、公開までお待ちいただければ
 と思います。

>要望
>クロスカーソルを使いたい。
>作図部分の挿入角度を簡単に変更できたら......

 クロスカーソル、作図部品の挿入については、今のところすぐの
 搭載予定はありませんが、ご要望を多くいただいており
 弊社としても追加したい機能として挙げています。
 
 今後、バージョンアップしていく上で、お客様のご要望を取り入れながら
 操作性を改善して参りたいと思います。
 
そのほか、お気づきの点などございましたらご連絡ください。
今後とも「DJ!!」をよろしくお願いいたします。
------------返信の終わり---------

すばやい対応、丁寧なご回答。好感度アップ。
以前、日本製のIntelliCADの購入検討の際に、担当者にe-Mailをおくったが、なしのつぶて。

さて、RootPro CADの公開まで待つかが問題。また、Enterprise版の外部API機能が魅力。
日本製IntelliCAD + 日本製アドオン(電気用)よりコスト的に安くなる。
また、建築電気用作図コマンドもそれ程必要でないと思われる。

Professional版が9,975(税込).RootPro.CAD公開後のEnterprise版へのアップグレードが特別価格で4,400(税込.
合計14,375(税込).約1万5千円。機能面からいえば、安いと思う。
で、操作に少しでも慣れるためにProfessional版を購入する事にする。
 

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