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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

矢野顕子さとがえるコンサート2017

2017年12月14日 | pocknのコンサート感想録2017
12月10日(日)矢野顕子さとがえるコンサート2017
矢野顕子 さとがえる/ひきがたるツアー
"ひとりでみんなに届けます"
~NHKホール~



曲目
汽車に乗って、Full Moon Tomorrow、野球が好きだ、六本木で会いましょう、ふりむけばカエル、Bye Bye、きのうにドドンパ


Soft Landing、引っ越し、Wives and Lovers、津軽海峡・冬景色、ラーメン食べたい、夕焼けのなかに
アンコール
SUPER FOLK SONG、SUPER FOLK SONG RETURED


毎年楽しみにしている矢野顕子の「さとがえるコンサート」、今夜はあっこさんただ一人のオール弾き語り。いつもは共演のゲストがいて、バンド演奏やデュオに、楽しいトークも入るこのコンサートで、オール弾き語りは初めて。いつもとは違った意味でとても楽しみに出かけた。それは、MCでも言ってたが、あっこさんの音楽活動の原点はピアノの弾き語り。僕が矢野顕子に惹かれたのも、最初に買ったアルバムも弾き語りだったから。

「ピアノさえあれば身ひとつでどこでだってできる」と言いながら、今夜のピアノはいつものスタインウェイじゃない。オペラグラスで”C.Bechstein”の文字が見えた。音に特別なこだわりがあるクラシックのピアニストがたまに使っているが、あっこさんによれば、"C."のついた"C.Bechstein"は、ただの"Bechstein "よりも値が張るんだそうだ。そしてこのピアノは、単純な3和音に別の音が加わったハーモニーが、すごくいい感じで響くんだそうだ。今夜のピアノの音がいつもに増して味わい深く感じたのは、その話を聞いたからかも知れないが、そんな「特別なピアノ」での弾き語りコンサートは、やっぱりいつもとはひと味違う特別な時間だった。

先月末に発売されたばかりのニューアルバム”Soft Landing”の収録曲を中心に、あっこさんワールドに浸って改めて実感したこと、それは、ピアノの「伴奏」を超えた大きな存在感。あっこさんのピアノは本当にセンシティブ。ピアノもボーカルと共に語り、歌っている。ポロロンと指を軽く転がせば、ちょっとした息遣いの変化が聴こえ、あるハーモニーにもうひとつ音を加えるだけで、一瞬の気分の変化を伝えてくる。あっこさんのピアノは、歌と同じくあっこさんそのものだ。

あっこさんが声と言葉とピアノで伝えるメッセージは、ホントに多種多様だけれど、共通するのは、伝えたいメッセージがブレないこと。「夕焼けのなかに」の切ない思い、「ラーメン食べたい」の熱いこだわり、「ふりむけばカエル」での、楽しくやろうや!という晴れやかさ、「Soft Landing」でのはるかな時間旅行、「津軽海峡・冬景色」が、あっこさんの手にかかると、カバーと言うよりも全く別のものに聴こえても、石川さゆりの歌の「魂」はそのままで、熱いパッションがビンビンと伝わってくる。

ユニットの中で歌うときは、メンバーとのやり取りからいろんなものが生まれるが、ただ一人の弾き語りでは、あっこさんが一番大切にしているもの、一番伝えたいものがまっすぐ親密に心に届く。今夜の「さとがえるコンサート」はあっこさんを再発見する贅沢で満ち足りた時間だった。

矢野顕子×上原ひろみ「TOUR 2017 ラーメンな女たち」 ~2017.4.25 昭和女子大学人見記念講堂~
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

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