9月29日(木)ゲヴァントハウス弦楽四重奏団&仲道郁代(Pf)
東京オペラシティコンサートホールタケミツメモリアル
【曲目】
1. ハイドン/弦楽四重奏曲第67番ニ長調「ひばり」Op.64-5,Hob.Ⅲ-63
2. ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 「アメリカ」Op.96
3. シューマン/ピアノ五重奏曲変ホ長調 Op.44
【アンコール】
シューマン/ピアノ五重奏曲~第3楽章
弦楽四重奏団のコンサート通いが続く。今夜聴いたゲヴァントハウス弦楽四重奏団は200年以上の歴史を有する世界最古の弦楽四重奏団だそうだ。メンバー交替のために世代を越えて長期で活動することが困難な弦楽四重奏団が多いが、300年近い歴史を誇るゲヴァントハウス管弦楽団を母体にしているために、安定した活動を続けて行ける強みがある。更にヴァイオリンの2人は既に20年以上に渡り、このカルテットでの活動歴があり、伝統を受け継ぐ要件も備えている。
名曲コンサートのようなブログラムだが、今夜の3曲は初めて聴いても楽しめそうだし、何度聴いても発見があり、万人向けの曲目。それだけに演奏の真価が問われる。
最初の「ひばり」、軽やかな下3声の弦に乗って聴こえてきたファースト・ヴァイオリンによる「ひばり」の旋律は柔らかくて繊細。そしてそれを優しく包み込むように下3声が呼応する。穏やかな幸福感に包まれた演奏だが、やや生気に欠ける印象を持った。第2楽章はしかし、そうした穏やかさが最高の形で昇華された演奏だった。ヨーロッパの宮殿の暗い広間で 、ろうそくの光の下、4人が膝を寄せあって演奏する様子が目に浮かぶ。ファースト・ヴァイオリンの太めのろうそくと、それを囲む小さな炎が奏でるハーモニー。デリケートで親密、自分だけに語りかけてきているようなプライベートな感覚。第3、4楽章では、第1楽章で欠けているように感じた生気も取り戻し、自然な息遣いで美しく整った演奏を展開した。
続く「アメリカ」、これも繊細で心のヒダに優しく入り込むような演奏だが、やはり大人しく、もう少し元気が欲しい。同郷人ではない難しさはあるだろうが、民族的な血の沸き上がる様子を感じたいし、第2楽章ではもっと吐息や「泣き」をストレートに出して欲しかった。全体に節度を保った、整った演奏だった。
後半は仲道さんが加わり、シューマンのピアノ五重奏曲。シューマンが「室内楽の年」に書いた充実した作品だが、これも少々物足りない。仲道さんのピアノも、大人しめの弦に合わせてか、控えめな印象を受けた。この曲はピアノが主導権を握る部分も少なくないので、時には弦を押し退けてもっと主張して出てきてもいいし、仲道さん持ち前の艶やかな美音を華々しく聴かせるところがあっていい。その中で一番印象に残ったのは第2楽章。息を潜めて、ひたひたと近づいてくる人影が、何かを探し求めている様子が、静かな力となって引き込まれて行った。
アンコールでは、このクインテットから第3楽章をもう一度演奏してくれたが、これは、全曲を演奏したときよりもより自由で伸び伸びとしていて、聴いていて自然に一緒に体が動いてしまった。このノリで全曲をやってくれれば、更に印象の強い演奏になったのではないだろうか。
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
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2. ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 「アメリカ」Op.96
3. シューマン/ピアノ五重奏曲変ホ長調 Op.44
【アンコール】
シューマン/ピアノ五重奏曲~第3楽章
弦楽四重奏団のコンサート通いが続く。今夜聴いたゲヴァントハウス弦楽四重奏団は200年以上の歴史を有する世界最古の弦楽四重奏団だそうだ。メンバー交替のために世代を越えて長期で活動することが困難な弦楽四重奏団が多いが、300年近い歴史を誇るゲヴァントハウス管弦楽団を母体にしているために、安定した活動を続けて行ける強みがある。更にヴァイオリンの2人は既に20年以上に渡り、このカルテットでの活動歴があり、伝統を受け継ぐ要件も備えている。
名曲コンサートのようなブログラムだが、今夜の3曲は初めて聴いても楽しめそうだし、何度聴いても発見があり、万人向けの曲目。それだけに演奏の真価が問われる。
最初の「ひばり」、軽やかな下3声の弦に乗って聴こえてきたファースト・ヴァイオリンによる「ひばり」の旋律は柔らかくて繊細。そしてそれを優しく包み込むように下3声が呼応する。穏やかな幸福感に包まれた演奏だが、やや生気に欠ける印象を持った。第2楽章はしかし、そうした穏やかさが最高の形で昇華された演奏だった。ヨーロッパの宮殿の暗い広間で 、ろうそくの光の下、4人が膝を寄せあって演奏する様子が目に浮かぶ。ファースト・ヴァイオリンの太めのろうそくと、それを囲む小さな炎が奏でるハーモニー。デリケートで親密、自分だけに語りかけてきているようなプライベートな感覚。第3、4楽章では、第1楽章で欠けているように感じた生気も取り戻し、自然な息遣いで美しく整った演奏を展開した。
続く「アメリカ」、これも繊細で心のヒダに優しく入り込むような演奏だが、やはり大人しく、もう少し元気が欲しい。同郷人ではない難しさはあるだろうが、民族的な血の沸き上がる様子を感じたいし、第2楽章ではもっと吐息や「泣き」をストレートに出して欲しかった。全体に節度を保った、整った演奏だった。
後半は仲道さんが加わり、シューマンのピアノ五重奏曲。シューマンが「室内楽の年」に書いた充実した作品だが、これも少々物足りない。仲道さんのピアノも、大人しめの弦に合わせてか、控えめな印象を受けた。この曲はピアノが主導権を握る部分も少なくないので、時には弦を押し退けてもっと主張して出てきてもいいし、仲道さん持ち前の艶やかな美音を華々しく聴かせるところがあっていい。その中で一番印象に残ったのは第2楽章。息を潜めて、ひたひたと近づいてくる人影が、何かを探し求めている様子が、静かな力となって引き込まれて行った。
アンコールでは、このクインテットから第3楽章をもう一度演奏してくれたが、これは、全曲を演奏したときよりもより自由で伸び伸びとしていて、聴いていて自然に一緒に体が動いてしまった。このノリで全曲をやってくれれば、更に印象の強い演奏になったのではないだろうか。
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